レポート69
イベント開始後、俺は南の砦へと向かった。
到着すると既に結構な人数がいるが敵もそれなりの数がいた。
さすがレイドイベントだぜ。
まだ砦の中に飛び込んだ人はおらず様子をうかがってる。
「大将、ドラゴン型が多いぜこれ」
「だな……さてどんぐらいの強さか」
先陣を誰がきるかざわざわしていると一人の男が名乗りを上げた。
「俺が行こう」
「お、お前は！ 死亡数ランキングチャンピオン！ ロケットマン・トガー！」
「へへっ、始めて見たぜ。だけどロケットマンなら安心して任せられる」
「【特攻の王】の称号は伊達じゃねぇってわけか」
なんかすっごい堂々とでてきたけど、ようするに死にまくってんだろ。
そして周りの人立ちもなんでそんなにマンガ的発言してるの。
「だが、俺一人では……勢いがたりん。せめて、せめてもう一人いてくれれば！」
やばい、あのロケットマンものすごいこっちチラチラ見てる。
ですよね、ランキングに俺も名前乗ってるもんね、バレるよねそりゃ。
「さぁ、いくぞ！ 【特攻の匠】よ！」
「呼ぶなよ！ ってまてこらぁぁ！」
ロケットマンの武器は鎖鎌だったようで気づかない内に鎖で足が捕まってた。
そしてそのまま砦へと引っ張ってかれた。
「さぁ！ 匠よ！ 王と力を合わせて殲滅しようぞ！」
「そういうイベントじゃねえから！ 巻き込むなっ！」
「まぁ、いいじゃないか。特攻、好きだろ」
「好きで死んでるわけじゃないからな！ おい！」
ツッコミが足りない気がする。
そんなことしてるうちに囲まれてるし。
「ドラゴンばっかりだな……HP多いし」
「そして一体一体体の色が違うな……なにか法則があるのか。確かめるべきだ！」
そう言いながらロケットマンは防御なんて投げ捨てたような格好で攻撃に転じる。
うわぁ、マジ特攻野郎だな。
「もういいよ！ やってやるよぉ！」
俺も半分ヤケでドラゴンの手段に突っ込んだ。
そしてものの数分で2人揃って帝都イベント用キャンプ地へと強制搬送された。
まあ要するにHPがなくなった。
「デスペナが長いぃ……」
「な、なに。俺に比べれば短い方だ……ぐふっ」
「チャンピオンと比べられても困るぜ……がふっ」
意識を失うわけじゃないがデスペナでかなりステータスが下がっている。
俺は最後の力を振り絞ってユウへと手に入れた情報をメッセージで送信した。
イベントでも特攻野郎はやっぱり特攻野郎だったぜ。
俺を含めてな。
