レポート59
俺は悩んでいた。
自分の気持ちにとかそういうのではなく純粋に『虫嫌い』についてだ。
ダメなものはダメだけどゲーム内でくらいせめてどうにかしないと。
虫の大進行イベントとかが起きた時に何もできなくなる。
「まあ、そんなふうにあの森の虫の敵に醜態を晒したわけだけどそうすればいいと思う」
「なんでそれをアタシに?」
俺はマスターの喫茶店でララルと話していた。
マスターがある素材をとりにいくため店番を頼みたいと言われて今日はここにいるわけだ。
それなりに繁盛はしているがマスターのホームメイドが働いている部分もあって俺がやることはあまりない。
そして偶然きたララルにそんな相談をしてみた。
「いや、偶然ここにきたし。あと他の人にいうとなんというかからかわれそうだし」
「いや自分でいうのもあれだけどアタシもからかう部類だと思うんだけど」
「まあからかいつつも対策考えてくれそうだなって思って、あと俺を踏み台にしたことを忘れたとは言わせん一案で手を打とう」
「またかなり前のことを……え~でも、苦手なもの克服って。倒せればいいってだけなら遠距離のサブ武器つかえるようにすればいいんじゃないの?」
サブ武器か。
たしかに一理あるな。
「でも遠距離武器って何があるんだよ」
「アタシが見たことあるのは弓とボウガンと少数で銃かな。火縄銃とかそういう系のだけど」
「あぁ、なんかめっちゃ燃費悪いロマン武器とか書かれてたな。威力は値段に見合うらしいけど」
「そういうこと。あとは好きなの選べばいいんじゃない? どれも長所も短所もあるし……ってそろそろいかないと」
「またのお越しをお待ちしておりまーす」
「対応早くない!? あとでユミさんの店にもいきますから。ではまた!」
ララルが去っていった。
その後もマスターが帰ってくるまで接客しつつ色々と考えてた。
「すまなかったな、少年。これは報酬だ」
「いつもお世話になってますし全然構いませんよ。でもゲーム内とはいえ商売してる身なのでありがたくもらっておきます」
マスターから報酬を受け取り俺は自分の店に戻る。
「マスターおかえりナサい」
「ただいまー」
「結構お客さんがきて青のミドルコートの在庫がなくナリまシタ! 大人気デスね!」
「売れるのはいいことだ。補充しておく」
コートを店に補充してログアウトする。
翌日の学校からの帰り道にスポーツ広場へとよった。
俺が住んでいるところの近くには大きなスポーツよう施設があり大会などもよく行われる。
クラスメイトの一人がスポドリ忘れたとかメールしてきたから仕方なく買ってきたわけだ。
明日の昼食はパン一個おごってもらうかな。
そんなくだらないことを考えながら友人にスポドリを渡して施設をあとにしようとした時、遠くから歓声が上がっていた。
俺もそこに行ってみるとアーチェリーが行われていた。
「あれって……確か前のオリンピックでた選手か? 公開練習かなんかかな」
あんなに遠くによく当たるな。
しばらくそれを見た後に公開練習が終わる前に帰った。
終わりまで見てると時間がわからないし混雑しそうだし。
しかし、そうか。
弓っていうとあれも弓の一種なのか。
ゲーム内なら結構遠くまで見えんのかな。




