レポート52
「すっげぇ、雨……」
学校の帰り道、大雨にあって折り畳み傘だと小さくてどうにも防ぎきれないレベルだから雨宿りしている。
降るとは聞いてたけどここまでとはな、ものぐさしないで普通の傘持ってくればよかったな。
「蘭がくるまで待つか……」
俺は委員会があって少し遅くなった結果こうなった。
蘭は家に帰ってたみたいで傘持ってきてくれるとメールできたため待機するのが正解だろう。
ただ暇だな。
「そういえば、この店ってなんだ……」
少しガラスこしに中を覗いてみる。
ものすごい高級感のある店内だ。
「俺には縁がない所だな……ん?」
よく見るとなにか展示されてる。
綺麗に装飾が施されている赤いドレスだ。
すごい綺麗だな。
さすがにジロジロと中を見ているわけにもいかないと思い見るのをやめたが。
頭に焼きついた。
そこまで印象強いものだった。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「すまんな。家帰ったのにこさせて」
「この雨じゃ仕方ないよー。それより早く帰ろう」
蘭と一緒に家に帰った。
「ここが、こうで……」
「おぉ~。すごい」
帰ってすぐ俺はfowにログインしてドレス作りをしてる。
さっきの頭に焼き付いたドレスを基準にして装飾品をつけていく。
ドレスによって多少の差はあるが今まではドレスそのもののイメージがわいてなかった。
今回は基礎が頭のなかにあるため作業もスムーズに進んでいく。
そしてついに
「できたぁ!」
「おめでっとう~!」
俺の初のドレスが完成した。
といっても黒のミニドレスに宝石の装飾をいくつかつけただけだが。
「でも妹としてちょっと複雑だよ」
「なんでだよ」
「兄が女性用ドレスを真剣に何日もかけて作ることを挑戦してるって……」
「たしかに俺デザイナーでもなんでもないしおかしいな。普通に見たら……でもいいんだ! できたから!」
できたのはいいんだけど、どうしよう。
レシピができて今後はこのタイプのドレスなら結構すぐ作れるようにはなった。
ただやはり初作品というのは扱いがムズカシイ。
最近多くなった俺の考えこみを華麗にスルーしてランが提案してくる。
「店の内装考えて、作品のサンプルというか展示として飾れば?」
「その手があったか!」
失念していた。
ということで内装を考えることにする。
だがこの辺についてはやはり男と女の感性の違いなのだろうか。
ほぼランの意見によって作られていった。
「完全にちょっと高めの服屋みたいな内装だなこれ……」
「アバターと服系防具売るならそれくらいでいいんだよ……材料足りる?」
「まあ床の敷物とかはつくれるし棚は今あるやつ移動してみて足りなかったら発注する」
「じゃあ早速移動してみよう!」
兄妹協力して棚など動かして予定の位置に動かす。
棚は足りていたので、とりあえずミニドレスとその他コートやワンピースなども1つずつ飾り付ける。
「なんとか形になったか」
「だね~。あとは……お兄ちゃんは攻略とかも結構参加するし店員NPCとかそれに近いシステム、もしくは店番協力してくれる人を探すのと外装だね」
「外装はなんとなく構想はできてるからあとは塗るだけなんだよな……といっても看板とかに文字書いたりするだけだけど」
「まあここだとログハウス風で木の見た目のほうがいい感じだもんねー」
でもたしかにNPCとかか。
「そろそろいい時間だし。明日にするか」
「アイちゃんに明日時間取れるか聞いておこうか? お店持ってる先輩みたいなもんだし」
「あぁ……頼むわ」
「りょうかい~」
今日の作業はここまでにして俺はログアウトした。
NPCか、なにか大事なことを忘れてる気がする。
「本日もお疲れサマでシた! マスター!」




