レポート50
数日間俺は【裁縫】と【装飾】を駆使して試作を繰り返した。
そしてようやく完成直前までは作れるようになった。
あと1日やれば一つ目が完成できるはずだ。
そう思っていたのだが。
「お兄ちゃん明日からのアップデートの内容見た?」
「あ……」
「もしかして忘れてたの」
「うん……」
蘭に言われてようやく思い出した。
明日の朝からアップデートだったんだ。
だけどもう今夜はログアウトしちゃったしなにより疲れたから朝まで徹夜とかはできないし。
ていうか明日学校休みなんだよな。
暇になった。
とりあえずパソコンでアップデート内容を確認する。
蘭もなんか気づいたら俺の部屋はいってきてたけどまあいいや、見られて困るものないし。
「えっとなになに……まずは武器と防具、道具の増加」
「まあ大型だし敵も増えたら武器とかも増えるってことじゃない?」
「多分な~。そんで他には」
増える敵などの情報がズラッと並んでそれを流し読みして下に行くと。
「あっ、これ。『着色塗料の実装』? お兄ちゃんこれどういうことかな。詳しく書いてないけど」
「多分武器の持ち手とかあとは船とか家とか着色できるペンキみたいなやつじゃないのか」
「あぁ……そおいえば今までは木の装備とかって全部統一色だったもんね。一応勝手に完成するとつくけど」
「そういうことだな。店開く時看板とか色も凝れそうで俺的には嬉しい」
「素材集めは任せてね。その代わりアバターあとで頂戴」
「素材提供によるな……まあひとつくらいは前からいってたしつくってやるけど」
そのまま読み進めていき最後の情報になった。
「配達業NPC追加? どういうことかな」
「えっとなに……配達NPCに一定の金を払うことで配達を頼むことができる。これはプレイヤーとプレイヤー間のみ可能である……つまり生産職にオーダーメイドを頼んだ場合直接渡すか配達分のお金も払っておいて配達して同時にログインしていなくても渡せるようにするかってことかな」
「おぉ、つまり今までログイン時間が原因で頼みづらい相手にも」
「そういうこと。仕事が頼めるようになる。蘭にしては勘がさえてるな」
「お兄ちゃんが鈍いだけだと思う」
「え?」
俺って鈍感だったかな。
もしかしてモテ期見逃してたりしたのか。
絶望的だな。
いや、人生にはモテ期2回あるとか聞いたことあるし大丈夫だ。
気張っていこう。
そして次の日、アップデートだからログインはできないし何するかな。
そんなことを思いながら起床して朝食までのサイクルをこなした。
「お兄ちゃんゲームセンターにいこう!」
「いきなりどうした……別にいいけど」
妹と久しぶりにゲームセンターへ向かった。
半年ぶりくらいかな。
「そんで、一体何しに来たんだよ」
「私はパイロットになりきた!」
「あぁ……いつものやつな。俺もやろうかな」
「店内で同時発進いっきまーす!」
球体のようなゲーム媒体で中にいくとレバー二つと椅子があるゲームがある。
国民的有名なロボットアニメのパイロットになれるというゲームだが意外とこれが楽しい。
ファンだからっていうのもあるんだろうけど。
ちなみに階級は蘭が中佐俺が少佐だったりする。
やりこみ時間が違うからさすがに追い越せないな。
この日はこれ以外にもカートゲームやシューティングゲームを軽くやって過ごした。
「あ~楽しかったー」
「VRMMOでもロボットに乗れるゲームとかでたらいいのにな」
「そしたらお兄ちゃんと兄妹コンビとして有名になる!」
「慣れたらいいな……まずでたらいいな」
そんな夢の様な話をしながら帰って夕飯を食べ風呂に入り寝た。
アップデート後には店の開店準備を進めないとな。




