レポート43
後日、金と完成予想図がメッセージで送られてきた。
自然の中にあるログハウスショップ的な雰囲気だ。
俺はこういうのが好きだったりするから大満足。
そして金だが、ギリギリ足りた。
あえて言うなら防具のためにためてた金を混ぜたら足りた。
ただ防具はもうしばらく自作のコート系を使うことが決定した。
実は【裁縫】でつくれる服系の防具で俺はコートのレシピしか持ってないのだ。
増築完了までに時間がかかるらしく、しばらくは冒険者ギルドなり宿屋で部屋を借りるとして。
レシピ本をドロップする敵がでるところでもいくか。
ということで帰宅してから蘭に聞いてみた。
「レシピ本? えっとお兄ちゃんだと裁縫か装飾だろうから……この森か、この遺跡でみたことあるって聞いたことあるけど」
「どっちがどっちだ?」
「森が裁縫で遺跡が装飾だったとおもうよ」
「わかった、ありがとな」
「いえいえ、兄妹の利点だから!」
そして俺はその夜、その森へと出向いた。
「学校あると夜のフィールドばっかになるのが辛いな……観察眼育てて夜目ってとれるのかな」
入り口から少し進んだらすぐに道という道がなくなった。
とりあえず邪魔な草などを手でどかしながら進んでいく。
暗くてよく見えんな、そう思っていると後ろで何か動く音がした。
「ん? さっきそんなところに何もいな……」
暗さにも慣れてそれなりに何かが見えるようになるのが人の目だけど。
今日は今までの人生の中で一番それを恨む。
そこにいたのはでかい蜘蛛だった。
「いや……ちょっとまって……まってってばぁぁ!!」
俺は即座に逃げ出す。
俺は虫の類は大の苦手なのだ。
その上、人の腰ぐらいの高さがある大きさってなんだよ!
ただ後ろから来てたってことはもちろんそのまま逃げたら森を進んでいくわけで……
「あ、あれ? 挟まれた……」
前からも当然、敵はでてくるわけだ。
ていうか蘭はこの事知ってて俺に教えたのか、あいつ俺が虫ダメなこと知ってるだろ。
もしそうだったら恨むぞ、マジで。
「い、いやぁぁぁぁぁ!!」
自分でも女々しいと思うけどダメなものはダメなんです。
俺はそのまま声の低い女子のような悲鳴を上げながら倒されて帝都へと強制転送された。
ついでに死亡数が100になり新たな特攻称号を手に入れた。
「新しい称号……嬉しくないことの連鎖がおきてるし。この震えはデスペナじゃなくてあの蜘蛛に襲われた地獄絵図が原因だろうな」
とりあえずあそこの攻略は後回しかだれかに手伝ってもらわないと無理だ。
そんで今日はもうなんつうかデスペナが終わってもフィールドにでたくない。
よし、寝よう。
俺はログアウトしてベッドに入った。




