レポート41
イベント終了メッセージとともに俺達は最初いたポータル前へと移動させられた。
リアル時間を確認してみると予定よりは少し早めに終わったらしい。
『イベントお疲れ様でした。優勝チームには優勝景品のリストを送ります。それぞれ欲しい物を選んでください。その他のチームにも参加賞として【海の狩人】の称号を送ります』
俺は優勝チームだったので景品のリストがウィンドウで現れる。
中身はどれもそれなりにいいなというレベルのものだったけど、まあこの人数だと良すぎるものとかは渡せないよな。
だが俺の中でひときわ目を引くものが一つあった。
【海の宝石】
素材アイテムだったが【装飾】のレベルを上げて指輪にしたりできるならかなり得なものな気がする。
俺はこのアイテムを選んだ。
「大将、何選んだ? あとこの海賊アバターはどうすればいい」
「俺からの早めのクリスマスプレゼントだ。受けとっておけ、ユウは何選んだんだ?」
「俺は【海獣の鉱石】ってやつだな。魔法加工で使うと武器に水属性を付加させられるらしい」
「俺は【海の宝石】ってやつで……うわっ」
「すげえ、綺麗だな」
こういうものにあまり関心が強くないユウですら少し見とれるものだった。
現実でいう純度が高めの真珠という表現が正しいのだろうか。
「ほほう、そのようなものもあったか」
「あ、ガリウス。お疲れ様」
「おつかれさーん」
「もう少し労っても良いではないか! 俺も大型船ではかなり戦ったのだぞ!」
ガリウスは【一本モリ】を選んだようだ。
現実で存在するモリそのものだが、いがいとこういう武器は作るのが難しかったり存在しないらしい。
「じゃあ俺はみんなに挨拶周りしてくるぜ。そんじゃな」
「俺もフレンド登録を忘れぬうちにしてこなければ! ではなユミよ!」
「おーう」
ガリウスとユウはそれぞれ去っていく。
その後俺も挨拶、軽くしておこうと思ってた人たちに挨拶していく。
「マスター、お疲れ様です」
「お疲れ様だ。今回、普段は中々できない魚系食材の料理ができいい経験になった」
「それはたしかに、そうですね」
「それではな、戻ってきたならば店を開かねば。余裕があったらくるといい、グッドバイ」
「お疲れ様でした」
無理に英語にしなくてもいいのにな。
「ユミちゃん、おつかれ~」
後ろから頭を乱暴に撫でられた。
「いきなりやめろよ。まあ、お疲れ様」
「髪結ってたの気に入ってたんだけどな。ほどいちゃったのか」
「俺は男だ」
「髪長いなら結うなりしたほうが男っぽい気がするんだけどな。ストレートとかセミロングみたいなほうが女に見えるし」
「マジで!?」
知らなかった。
でもそういえば男でも髪を結ってる人たまに見かけたな。
なんというかアニメのサムライみたいだったり単に後ろでしばってるとか色々だけど。
「まああれだぜ。ユミちゃん、木工関係で何か依頼があったら俺達に頼みな」
「いいのか?」
「あたりまえだぜ、なぜなら俺達が」
「「「「木工野郎Cチーム!!」」」」
声をハモらせて自信の一番の筋肉を見せるそのポーズ。
正直もう少し考えたほうがいいと思った。
「つうわけで、俺達はこのへんでな」
「お疲れ様」
木工野郎達も他のチームにいた【木工】持ち達のほうへいった。
こういう所で繋がりを作っておくってのもあるんだろうな。
その後も俺は他のチームの人たちとも話して最終的に女子メンバーの挨拶が最後になった。
「お~、ユミちゃん。お疲れー」
「お疲れ様なのです」
「ユミさん、お疲れ様です」
「お疲れ様」
エイナさんとユリナちゃんとナルの3人だ。
「兄さん知りませんか?」
「フレ登録しにいくって言ってたしほっておいて大丈夫じゃない」
「そうですか……まあ時間が時間なので夕飯の時間だけあとで教えておきます」
一応夕方に入るかそこらの時間だけど、家庭によっては夕飯の時間かもしれない。
「ユミさん、相変わらず不思議な槍使いしてたのです」
「システムアシストの存在を知った時にはもう我流の型のが使いやすくなってたからなぁ……」
「使いやすいならそれがいちばんと思うのです。私も移動撃ちはアシストなしで編み出した技です」
「そうだったんだ。自由度高いっていう利点なのかもね、そのへんは」
ナルってこう考えるとかなりの腕の持ち主なきがしてきた。
そもそも弓って意外と使ってる人は多く見たことはない。
死に技能とまではいかないけど魔法の遠距離と比べるとってことかもしれないな。
とはいえ俺の周りだとナルと他にもマスターがクロスボウを使ってたりとかなり強い印象があるけど。
「ユミちゃんお疲れ~。あ、そうだあたしもフレ交換よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「そこの二人とはさっき交換してね~。なんていうか若いっていいよね」
「俺からみたらあなたも十分若いと思いますけど」
「まあ一般的にみたら大学生は若いと思うけど、こう上の比較対象がいない環境だとね」
たしかに、ていうか大学生だったのか。
軽く言っちゃってたけど大丈夫かな。
この後もイベントの話や軽い世間話などをして解散となった。
「あ、あのエイナさん」
「どうしたのユミちゃん」
俺はあることを少し聞いておきたかった。
「あ、あの男で髪結ってる人ってそんなにいるんですか?」
「伸ばしてる人なら結構いるきがするけど?」
「そ、その。あんまりそういうやり方知らなくてあとで教えてもらえませんかね」
「……ほう。あたしがそれを断るわけがないじゃない。任せなさい」
あとで教わる約束をしてエイナさんとも別れた。
その後、ログインしていたランとアイちゃんと遭遇してしまった。
「お兄ちゃん今日はイベント参加してたんだよね?」
「おう、さっき終わったばっか」
「どんなイベントだったの?」
「……季節外れの海イベントだったよ。後半はジャングルでの戦争みたいだったけど」
俺はイベントの中で起きたことなどを二人に話した。
「あ、そういえばアイちゃんのお姉さんもいたよ」
「えっ!? お姉ちゃんに何かされたりしなかった?」
「髪結われた」
「あぁ……でもお兄ちゃん似合いそう」
「ユミさんなら……絶対似合う、でもなんかお姉ちゃんが原因だとそれはそれで複雑というか……」
なんかアイちゃんの声が小声になって最後の方聞こえなかったな。
まあ気にしないでおこう。
「いいな~、ララルとミルナが予定あわなくて今回は参加しなかったんだよね~」
「私はそもそも戦闘イベントとかだと役に立てないからね」
まあやっぱりこういうのは人それぞれなんだろうな。
「あと、アイちゃん。槍すごいよかったよ」
「あ、ありがとうございます」
「なんかアイちゃんが突然赤くなってる。お兄ちゃんに一体何の魔力が! まさかその笑顔は特殊魔法!?」
「んなわけあるかっ!」
今回のイベントはこんなふうに最初から最後まで忙しなく進み幕を閉じた。
リアルでの季節はもう冬だけど、意外とそんな中の海イベントもよかったな。
第3章終了となります
この章はあまり書いたことのない長期的なイベントを書いてみました
少し詰まった部分もじつはあってfowでは今後は一章つかっての大きい固定場所イベントは書かないかもしれません
ですが良い経験になりました
予定は未定ですのでまたかくかのうせいもありますが今後もよろしくお願いします




