レポート40
「こなくなったね……そろそろ船のほうに戻ろうか」
「ですね」
洞窟に待ち伏せしても敵がこなくなった。
補給を諦めたか人員が減ったかだろう。
「そおいえばさ、ユミちゃん」
「はい」
「アイとはどういう関係?」
「い、いきなりなにを……どういうって言われても友達とかじゃないですか? というよりエイナさんこそ」
「あたしはアイの姉」
「へぇ…………え?」
なんでこう俺の周りの人って重大なことさらっというのかな。
アイちゃんお姉さんいたんだ。
「そうだよ、今度うちにくればいいじゃない。妹ちゃんはたまにきてるし」
「き、機会があったら……それよりそろそろですよ」
「了解」
俺とエイナさんは息を潜めて更に移動する。
戦闘音が聞こえてくる場所へとついた。
そこでは大型船がかなりダメージを受けた姿だったが、敵の投石機らしきものもほぼ壊れてて近接戦にうつっている。
「俺があっちの岸でエイナさんがこっちを」
「はいは~い」
そういって俺は川に飛び込み向こう岸へと移動する。
エイナさんはこちらの岸から船内を狙っている弓や魔法使いを倒していく。
「なぁ、なんか川から泡出てないか?」
「魚でもいるんじゃねえの?」
そんなことをいいながら俺の方を覗きこんでくる敵。
俺は川からでると同時にその敵の腹に槍を突き刺した。
HPゲージがなくなり敵は消える。
「なっ!?」
「遅い!」
もう一人もそのまま槍をないで倒す。
「ユミ! 無事だったか。すまんがそいつらたのむ。多分ここにいるやつら全員倒せば俺達の優勝だ」
「了解した!」
船内もかなりの乱戦になっているようだ。
だが岸にいた敵も俺に気づいて先にこちらを倒そうと囲んでくる。
「初めて使うスキルだけど上手くいってくれよ」
俺はスキル発動の構えを取る。
武器技能の中のスキルには特別スキルが存在し、それを発動するばあいは思考や発言だけでなく構えも必要となる。
「てめえらやれ!」
「『舞槍・五月雨』」
【長槍】のスキル技の一つである。
槍をもち舞うように攻撃を行っていく。
周りを囲まれたような時しか使い道がないが、逆にその状況なら絶大な効果を発揮する技だ。
俺は普段と違いゲームのスキルアシストにしたがって敵を舞倒していく。
「これにて終演」
「ちくしょう……髪結の槍使い……め」
そういって最後の一人が消えていった。
そして運営からのメッセージが入る
『イベント終了です。お疲れ様でした。勝利チームはAチーム』
俺達のチームの優勝だ。




