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fow -Fantasy Online World-  作者: ゆっき/Yuyu*
第3章 イベント開戦……いや海戦!
29/93

レポート29

 アイちゃんに連れられて俺達はある崖にたどり着く。


「なんか、ちょいちょい穴があいてたり岩が出っ張ってるな」

「それが目的なんだよね」

「「えっと、?」」


 俺とランの声が重なった。

 あの穴とか出っ張ってるのが目的ってどういうことだ。


「鉱石なんだけど出っ張ってる岩とか穴の中にある岩をつるはし使って採取するのよ」

「そうゆうことか」

「でもそれならお兄ちゃんと私呼ぶ必要なくない?」

「崖を登攀するようでその状態のままつるはす振ったらまあ武器は持てないのよね、だけどあそこ登攀してる人のみ狙う敵が穴の中にいるのよ」


 つまり崖に掴まりながらバランスとってアイちゃんを護衛すればいいんだな。

 やばい、できる気がしない。


「魔法ない俺って足手まといじゃないか」

「まあお兄ちゃん槍片手で振るのなれてるしまだ大丈夫じゃない? 私が距離ある敵は魔法で迎撃するから」


 お前の火の魔法って遠距離用の使い方してたっけか。

 大技はだいたい剣にまとわせて近接だったような……。


「それで……とりあえず登攀するよ」

「これって素人でもできるもんなのか?」

「その辺はゲームのアシストが入るから大丈夫よ」

「お兄ちゃんはアイを意地でも守ってね」

「お前は!?」

「言わずとも守るよ!」


 うん、なんで俺に釘刺したんだ妹よ。


  

 俺達は崖を登攀してだいたい半分ぐらいの地点まで到達する。

 崖としてはさほど高くないらしいが、実際にこうきてみると正直、十分恐怖感がでる高さだ。


「まずはここ採取するので、おねがい!」

「とりあえず今のところ敵はでてこな……ん? 羽?」

「お兄ちゃん上!」


 ランの声と羽が落ちてきた方向をみると穴から鳥が数匹でてきた。

 明らかにこっちに敵意を持って目を向けてくる。

 もしかして巣を襲おうとしてるとかと勘違いしてるってことじゃ。


「『ファイア・ボール』!」


 ランが火球を容赦なく飛ばす。

 見敵必殺並の容赦の無さだなおい。

 だがその音に気づいてか他の穴の一部からも鳥がでてきてしまった。


「おい、ランこれどうしてくれるんだ」

「アイー、まだかなーなんていってみたり~あははは」

「ま、まだ足りない……っていうかまだ3箇所目よ」


 一応岩の出っ張りを鳥の様子を見ながら移動してはいたりする。

 けどそうだよな、まだ3箇所目じゃそりゃたまるわけがない。


「ランやるぞ」

「了解であります~」

「なんでお前がそんなに絶望顔してるんだよ!」


 鳥が突っ込んできたので槍で対応するが。


「んっ!? ちょっとまってくれ……待てと言っているだろ!」


 勝手に敵に話しかけて攻撃する俺がいた。

 いや、借りた槍が予想以上に軽くて感覚が全然違かったんだよ。

 素振りしときゃよかった。


「お兄ちゃん何勝手にキレてるの!? 『ファイア・スラッシュ』って間合いが取りにくい!」


 片手は体支えるために崖に張り付いてるからそりゃ間合いは取りにくいだろうな。

 正直槍のリーチなかったら俺は戦えてないと思うし。


「しかも数が多いって、のわっ!? っとあぶなっ!」


 鳥の攻撃がかすってバランスを崩して落ちそうになった。

 痛みはほぼないとはいえこの高さから落ちるとか絶対体験したくないな。


「お兄ちゃん大丈夫!? あと数匹だから……『ファイア・ブラスト』!」

「よし、終わりました!」


 アイちゃんも終わったようだ。

 今いる鳥をどうにかしたら撤退しよう。

 そう思った矢先鳥の最後の一匹がつるはしなど道具を片付けて体勢を整えてる無防備のところに突っ込んでいく。


「アイちゃん危ない!」

「えっ?」

「あぁ……こうなりゃヤケだ!!」


 特攻称号を持っている俺の力を見せてやる。

 俺は崖を蹴り槍を鳥に突き刺した。

 鳥は突然の攻撃に反応できず直撃して落ちていく。

 そして崖から離れた俺も落ちていった。


「おにいちゃああん!」

「ユミさん!!」


 なんか最後にそんな声が聞こえた気がするが。

 俺は反射的に目をつぶって落ちていった。




 次の目が覚めた時は崖がまだ目の前にあった。

 どうやら落下ダメージで帝都まで強制帰還にはならなかったらしい。

 HPゲージ赤いけど。

 あとなんか柔らかい感覚が頭にあって……。

 ランっぽい顔が覗きこむようにはいってきてもう一人はえっと。


「あ、お兄ちゃん起きた……といっても15分ちょっとだけど」

「さすがゲームだな……反射的に気絶したみたいになっちまってた」

「それでアイちゃんの膝枕の感触はどうですか?」

「膝まく……っ!?」


 俺は勢いよくおきあがって現在の状況を確認した。

 気絶していた俺はアイちゃんに膝枕されて数分眠っていたらしい。

 

「いや、あのなんかごめんなさい」


 俺は勢いよく土下座をした。


「あ、いえ顔上げて! 助けられたのは私だし、そのほら。とにかく顔上げて」

「あの、ほんとなんかごめん。いや、あのその」


 とりあえず体は起こしたけど顔が見れない。

 絶対俺顔真っ赤だよこれ。

 なんかランもニヤニヤみてくるし。


「と、とりあえず……材料集まったなら、帰ろうぜ」

「そうだね~、お兄ちゃん顔真っ赤だよ~」

「う、うるせぇ!」

「ランちゃん、帰ろうよ。ね」

「アイちゃんもいうなら仕方ないな~っていうかアイちゃんも顔ま――」

「帰ろう! すぐ帰ろう! いますぐ帰ろう! ユミさん戻りましょう!」

「お、おう。そうだな」


 帰り道は一度も顔を合わせることはできなかった。

 落ち着いたのはアイちゃんの店についてからだ。


「いい時間だしそろそろ終わりかな。あ、そうだ槍ありがとうね」

「いえ、手伝ってもらったし。そ、その助けてもらったし。ランちゃんもありがとうね」

「親友の頼みとあらば即参上するのが私、ランちゃんですよ!」

「あ、ユミさん。槍なんですけど多分2日後ぐらいになっちゃうんですけど大丈夫ですか」

「了解。明後日またくるね」

「はい」


 心なしか嬉しそうな返事だなアイちゃん。

 やはり新たな素材で武器を作るとかするとなると嬉しくなるもんだろう。

 俺も何か作らないとな。


「そういえば、お礼って何かほしいものあったりする?」

「え? いや、本当にいいのに」

「じゃあ、とりあえず俺の趣味で何か持ってくる」

「アイちゃんここは受け取っておいていいんじゃないの~」

「た、楽しみにしてます……」


 よし、俺も新しいもの作るの頑張るか!

 この日はこれでログアウトした。

 家の中で蘭にあった時に何故かニヤニヤした顔で見られたが何だったんだろう。


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