レポート22
「えっと……どういうこと?」
「俺のリアルの妹です」
アイさんに呼ばれてランも来ていたらしいので紹介する。
「えっ……えっ」
「どうしたのよ、って痛い痛いあんた筋力ステ高いから洒落にならないから!」
なんか困惑して落ち着かないようにアイさんがランを叩いてる。
「ラン。どういう関係?」
「同級生の同じクラス」
「………………年下!?」
「年下です……今まであんな口聞いてすみません」
「いや、いいよ。ていうか誤解したのこっちだし」
勝手に年上かと思ってた。
大人びた雰囲気なきがしたから。
いや可愛いところもあったから若いとは思ってたけどさ。
「と、とりあえず……手伝っていただけるとありがたいです」
「うん、別にあんまり年とか気にしないでいいよ。今まで通りで」
「は、はい……」
ちょっとなんとも言えない空気になりつつ荷物の移動を手伝った。
その間に元の感じには戻ったけど呼び方がさん付けになった。
逆に俺はさんがちゃんになった。
帝都の中心部から少し離れた開けた場所に立ててある2階建ての家につく。
ここがどうやらアイちゃんの店らしい。
引っ越しが終わって2階の住居スペースみたいな所でお茶してる。
俺の料理スキルで紅茶を入れることでマスターほどではないが中々いい評価をもらえた。
そんな風にお茶してる時にランが話を出してきた。
「そおいえば、お兄ちゃんはなんか用があったんじゃないの?」
「あぁ、そうだった。防具の相談きたんだ」
俺は改めてアイちゃんに相談する。
「防具がほぼ初期のまんまだからどうにかしたいんだよね」
「そうなるとまず金属系の鎧か皮系の鎧か、はたまた服みたいなものにするかで変わるわね」
「あぁ、そっか……」
「ユミさんの戦闘スタイルだと服みたいなのか皮系がいいと思う」
俺は少し考えてからランの方を見る。
今はワンピースだ。
そもそもどんな戦闘スタイルなんだろう。
そんな風に見てたらランが聞きたいことがわかったと言ってるように話す。
「私は魔法剣士よ。武器とか防具に魔法付与したやつ使ってるってことだけど」
「魔法付与?」
「ようするに魔法の属性とかを武器にまとわせて戦ってるの。まあ武器とかも魔法剣いつかは欲しいけど」
「剣士なのか……そんな防具で大丈夫なのか」
「これはアバターよ。戦うときは金属鎧だから」
俺は実際にアバターをわかりやすく着てる人も今まで見てなかったから半信半疑だったがやっぱりこれがアバターなのか。
「となると俺は服系かな……あと露店まわるか」
「武器の方は大丈夫? 私から買ったやつそのまま使ってるみたいだけど」
「大丈夫だよ。まあ後で違うの頼むかもだけどお金とか目的できてからかな」
「お待ちしてます」
しかし、服系か。
たしか【裁縫】スキルで作るみたいだったけど、知り合いにいないんだよな。
このさいSP余ってるし自分で取ろうかな……でも死に技能にしたくない。
「ねえ、アイちゃん。【裁縫】とかの他にそれに似た技能ってあったりするの?」
「え? 【装飾】とかそれの派生で【魔法細工】みたいなのはあるみたいだけど」
「装飾か……」
少しランを見てからアイちゃんを見る。
防具など服装が作業のための特化みたいな感じでなんというか……
俺から見たらもったいない。
せめて何もしてない時はおしゃれとかしてるのが見たいという願望まじりだけど、そう思う。
「なあ、ラン。アクセサリーとか欲しいか?」
「え? そりゃ欲しいけど。効果なしでもこのゲームおしゃれとか結構できるし」
「アイちゃんはどう?」
「私はあんまりそういうの似合わないから。柄じゃないし」
「えぇ~、ぜ――ったい可愛くもなれるし美人さんにもなれると思うのに」
「あ、それはわかる。アイちゃんってどっちもできるタイプだよね」
ランも同調してくる。
アイちゃんは少し恥ずかしそうに顔を赤くしてる。
「よし、とりあえず自分ように【裁縫】と趣味で【装飾】技能とるかな。しばらくはこっち育てよう」
「お~。いいのできたら頂戴ね。お兄ちゃん」
「おう、任せておけ。もちろんアイちゃんにもね」
「えっ!? いや、そんな申し訳ないよ」
「いいからいいから、結構武器で世話になってるしさ」
俺はアイちゃんのそれ以上の反論を聞く前に帝都の服飾ギルドへとダッシュした。
さて、これから忙しくなるぞ。




