レポート19
アップデート当日、俺は早めに下校をしてfowのアップデートデータインストールを行っていた。
ちなみに、早めに下校といってもやることはちゃんとやって授業も受けてるからな。
『インストールの間に今回のアップデート内容を紹介シまース』
「あら? そんなこともしてくれんだ」
インストール完了までまだ時間があるし聞いてみるか。
『まず第一にマップの拡張が行われマシた。王都につぐ帝都の誕生デース!』
「あれより広いのがでるのかよ……」
『さらに空腹度の実装と新クエスト大量増加、ソレに伴ったアイテムの追加デす』
「まあそれは自分で探すからいいけど、料理の時代がくるぜ!」
その他にも細々した更新や追加を聞いていてインストール完了間近の所で最後の情報を伝えられた。
『私、音声案内のアバターの販売が決定シまシター! 性格などのオプションもありマス。ちなみに初期の性格設定は全てランダムでしタ。』
俺は明日課金用のポイントを帰りに買ってくることを決意した。
そしてインストールが終わりfowの世界へと降り立つ。
『ソレではアップデートで進化したfowのセカいへリーンクオン!』
「さすがに最初は王都だよな、そりゃ」
俺は王都のいつもの場所といえるような場所へ降り立った。
マップを取り出してみてみるとたしかに広がっている。
「帝都ってどっちだ……ダンジョン10をクリアすると入る資格が手に入ったことになってるらしいからもう行きたいんだけど」
マップを持って四苦八苦してると馬と小さな荷車と一緒に見覚えのある人がきた。
「あれ? ユミちゃんこんなところでどうしたの」
「アイさん……なんですかその大荷物」
「帝都の方に拠点移そうと思ってね。お金に余裕があれば転送とか色々使うんだけどこっちのが安いから」
「あぁ……そういう」
荷車の中には武器や鉱石が詰められていた。
いまさらだけど一応手持ちで持てるアイテムの限界は存在する。
ホームとか倉庫を借りることでむき出しにはなるが保管しておくことができるのだ。
「それで、ユミちゃんは?」
「帝都に行こうと思った矢先どこにあるか全くわからなかったですはい」
目をそらしながら言った。
「それじゃ、一緒に行こうか」
「頼みます」
俺はアイさんに同行して帝都へと移動した。
「でっか……」
「これはさすがに私も予想外だ……」
帝都の入り口に付く前に遠くから見た時点で王都の倍の大きさはあった。
「なんか噂では帝都内を移動するためのポータルが設置されてるらしいよ」
「広すぎだろ……なんでそんなの作ったの」
「VRSの第3次増産の予約数から見て王都だけだとキャパ超えちゃいそうって話は聞いたかな」
「なんか納得した」
やはりVRS、新世代のゲーム機でありその初作品である。
俺はアイさんと一緒に帝都の入口を目指して更に歩き始めた。