レポート15
あれから5日が過ぎて学校が始まる直前とも言える日、俺はいつもと変わらず朝食を作っていた。
あれから技能を何か取ろうと考えたが決めきれなく日常でやってることを探したが普段やっていることってなんだ。
普段からやっていることと言ったら料理に読書にゲーム、後は課題とかか。
しかしゲーム内で読書するのもなんとも言えないしかといってやっているのはゲームだ。
課題? ゲーム内で何故やらなければいけないのだ。
いや必要に応じて大人に助言を貰いたいとかならまだしも俺はちゃんと終わらしてるし。
…………となると料理か。
料理スキルなんてあのゲームあったっけ?
『本日も盛大にリーンクオン!』
いつもどおり音声案内はハイテンションだった。
そして俺は王都につき探索を始める。
俺が知っているのは鍛冶スキルがとれる鍛冶ギルドの場所ぐらいで他のギルドは言ったことがないし興味も強くは持っていなかった。
ていうかこのゲーム鍛冶ギルドとか存在してるのにもかかわらずMMORPGでよくあるプレイヤー達の集まりもギルドって呼ぶからたまに混ざるな。
まあいいや、とりあえずスキルがとれるクエストがギルドの他にもあるという噂を聞いたことがあるから探してみるとしよう。
「見つかんねえ……」
2時間近く王都を歩きまわって少なくとも4分の1は見落としなく周ったはずなのに収穫はなかった。
これはどうすればいいのか……。
そうやって悩んでいると、何やらいい匂いがしてきた。
匂いなのかはわからないが嗅覚に近い何かを刺激するものがゲームに組み込まれているんだろう。
その気配をたどって行くとそこには喫茶店のようなものがあった。
「なんだここ?」
扉を開けて中に入るとまさに喫茶店だった。
少しバーのような雰囲気もありカウンターも存在する。
まあバーとか俺いったことないから想像上のだけどな。
「いらっしゃい。まあこちらへ座れ」
カウンターのほうを向くと黒いコートをきた筋肉マッチョでサングラスをかけた男に声をかけられた。
店主なのだろうか?
「初めてきたんですけどここって?」
「俺が経営している喫茶店だ。だがメリットがほぼないため客は中々来ない」
店内を見回すとたしかに客はほぼいない。
「メリットがないってのはなんで?」
「料理技能をとって喫茶店をはじめてみたが料理のメリットが今はほぼない。料理によってステータスが上がるのは一定時間に限る上に空腹度というものはないため必須ではないからだ」
「あぁ、たしかに」
空腹度とかないんじゃ娯楽でしかないもんな。
「何か飲むか? 初来店サービスだ」
「え? じゃ、じゃあコーヒー系お願いします」
「オッケイ!」
渋かっこいい声でそう言ってコーヒーを挽きはじめた。
少しして俺の前にコーヒーをだしてくれる。
「オリジナルブレンドだ。どうぞ」
「…………美味しい」
現実で飲んだことないような不思議な風味だがくどくなくとてもまろやかな美味しさがある。
俺の好みの味だ。
「こんなところに迷い込んで来る奴は、決まってなにか悩んでいる。俺にはなさるなら聞いてやろう」
「うーん……実は自分で新しく取る技能を探してたんだけどとれるクエストとかどこにあるのかって思って」
「なんの技能だ?」
「料理の技能なんだけどまずこのゲームにあるのかって思ってた。でもこの店に来てあることは分かった」
喫茶店を開いて料理とコーヒーなどの飲み物も作れる技能が存在することがわかった。
「料理技能はアイテムを使ってSPを残しておいて挑戦していれば取得できる」
「え?」
「フライパンとガスコンロをやろう。SPが残っているならこれで料理に挑戦していればいつか技能取得ウィンドがでてくる」
「あ、ありがとうございます。……本当にいいの?」
「料理仲間にはまだ指の数程度しか合っていない増えるのは嬉しいんだ」
「マスター!」
このマスターはとてもいい人だ。
そしてすごいかっこいい人だ。
これは俺も料理の道をゲーム内で歩んでみせよう。
そんなことを考えていたらフレンド申請がマスターから飛んできた。
「何かあったらメッセージを飛ばせ。料理のアドバイスならしてやる」
「本当にありがとうございます!」
俺はその後、第3ダンジョンへ向かって植物を主軸に料理挑戦を始めた。