レポート1
「FantasyOnlineWorld?」
『そうそう、真弓も一緒にやらないかって思ってさ』
夏休みが始まって4日目、俺は腐れ縁の夕二と電話していた。
「なんか新しいゲーム機の新作だっけ?」
『結構いい感じらしい、MMORPGがVRでとうとうプレイできるって感じで』
4日後VRSの最初のソフトが発売される。
VRSとはリベレーション社から発売されたVRを仕様する初のゲーム機の名前である。
「ゲーム機の特性上しかたないとは言えオンラインゲームだろ、俺が馴染めるかどうか」
『かなり自由度高いらしいし、パソコンのそれと違ってやっぱり自分で体感してるような感じだから別物と考えてやろうぜ!』
夕二が何故ここまで必死になるかはわからないが、俺もリベレーション社のMMORPGはプレイしていたのもありプレイ願望はあった。
しかし、ゲーム機が新しいため発売日に購入してない俺が手に入れるのは相当先になると思う、次回の発売も現在どの店でも未定だからだ。
「正直、ゲーム機が手に入れるあてがないからできるとしてもかなり後になるぞ」
『そこはぬかりなく、準備済みだ、明日うちに来い』
「は?」
『それじゃあ、俺はやることがあるからこれでな!』
そう言われ夕二には電話をきられた、一体どうゆうことだ。
次の日、俺は夕二の家に向かった。
「きたか、真弓よ」
「なんでどこぞの魔王みたいなこと言ってんだよ」
そんなやりとりをしつつ家に上がらせてもらい、本題に入った。
「それで、なんで俺をよんだんだよ」
「この前さ、抽選で当てる確率上げるために名前貸してくれって言ったじゃん」
そう、春のテストが終わってすぐだったか夕二に抽選のために名前を貸してくれと言われていた。
しかし、なんの抽選かはその時教えてもらえなかった。
「あったな、そんなこと……それが?」
「いろんな抽選を回ってお前の名義で1つ当てることに成功した! お前がやらないといったらどうしようと思ったがやるときいたから渡すぞ!」
そういって箱を渡された。
中にはVRSとソフトダウンロード用のソフトが入っていた。
「どうゆうことだ、これ」
「大丈夫だ、発売日の明後日にならないとゲーム自体は起動できないようになって――」
「そうゆうことじゃねえよ!」
なんで、こんな高価なものをほいほいと渡せるのかと言いたかったが、俺が聞く前に説明をしだす。
「俺はβテスト参加しててその時の関係もありソフトはすでに届いているからな、もちろん機体もだ」
「お前が持ってるのはわかったけど、こんな高いものおいそれともらえるわけないだろ」
「いや、抽選で名前借りてたわけだけどお前の名義であたったし実質的に当てたのはお前という扱いだから問題ない! むしろ俺からの早めの誕生日プレゼントだ」
俺の誕生日は冬なんだが、というツッコミなんてしてられないが、その後も必死と言えるレベルで渡されたため俺も折れてこれをもらうことにした。
「わかったよ、それじゃあありがたくいただくよ、だが俺は正式版からの参加だからすぐには追いつけねえぞ」
「あぁ、それについては心配ない。βテストに参加したからといってデータ引き継ぎはできないからな、序盤の情報が分かる程度だ」
その後も少し話を聞いた後、とりあえず俺のデータ登録をすることになった。
「とりあえずVRSつけて、耳元にあるボタンで起動。そしたら音声案内に従って脳波登録とかいろいろだな、垢の細かいのとかは作っておいてやる」
「了解」
そう言われて、短時間で終わると聞いたからソファで寝転がり起動した。
登録等をすませても30分弱で終わった。
「ほんとすぐに終わったな、ゲームのダウンロードとかは家ですればいいんだよな?」
「そうだな、ゲーム自体は公式稼働してからじゃないと起動はできないらしいけど」
「むしろオンラインゲームフラゲしても誰もいないし気にしねえよ」
その日はその後夏休みの課題をやり、家に帰った。
いや、その表現は間違いだな。
俺のやった課題を夕二が写したとゆうのが正しいだろう。