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部長とは、部活動の『長』である。  作者: 銀煤竹
00-00 序章 ~嵐の前の静けさって言うのは、嵐になってみないと分からなかったりするもので~
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00-02 高等部3年生・大学部1年生

「「「「…?」」」」


皆の視線が集中する中、恐る恐るといった様子で僅かに開いた扉から少女が顔を覗かせる。


「ご、ごめんやす。お邪魔してもええ…?」

「月野先輩!」


月野ツキノサヨ】は九鬼達の1つ上、高等部3年の少女だ。丸みのある輪郭と黒が強い灰色の髪長いはポニーテールの位置で1括りに。オレンジ色の瞳は若干たれ目で、140cm台のという身長もあって若く見られがちで、少し眠そうな様子が拍車をかけて幼く見せる。見た目と同じくおっとりしていて優しい女の子だ。


見知った顔にハッとして、扉を開こうと獅戸が1歩踏み出すが、手をドアノブに掛ける前に勢い良く扉が開く。


「私も来たよ!こんにちは」

「天笠生徒会長まで!?」


顔を覗かせた少女の後ろからドアを勢い良く開いた人物が笑顔を向ける。

彼女は【天笠アマガサホクト】月野と同じ3年生で、高等部生徒会長でもある。緑が強い黒髪と、赤茶の瞳。肩につく高さで切りそろえられていて、毛先を軽く内巻きにしている。女性の色気と活発さを併せ持つ凛とした女性である。


とりあえず2年生達が1歩引いて2人を室内へと招きいれた。


「月野先輩はともかく、生徒会長は珍しいですね。部長に用事ですか?」


九鬼が室内にある椅子を勧めながら問いかけると天笠は一度頷いて、赤茶の瞳を真っ直ぐ九鬼へ向けて。


「そだよ。ちょっと部長に用事。そしたらサヨも行く用事があるっていうから、一緒に来たの」

「用事…とはいったい…」


草加が先を尋ねようとしたとき、今度はノック無しで扉が勢い良く開いた。


「ちょっと二人とも酷くない?僕も行くって行ったのに!待っててくれても良いじゃんか!」

「…来たか、猫先輩」


ふざけも入った半泣き状態で飛び込んできたのは【猫柳ネコヤナギテトラ】大学部1年の男子だ。光沢のある碧の黒髪を伸ばし、後ろでゆるいミツアミをしている。鮮やかな緑色の瞳、一応眼鏡はかけているが度は入っていない。一学高等部の前生徒会長で、在校時の副会長が天笠だったため彼と天笠は良く漫才のようなやり取りまでする仲だ。


「…おや?皆さんおそろいで」

「猫先輩、何の用事ですかー?」

「…ちょっと天笠、先輩になんて態度とるの?この子は」

「ホクトちゃん、喧嘩はあかんよ?」

「喧嘩じゃないよ、サヨ。遊んでるだけ★」


室内が一気に賑やかになった。

先に来ていた2年生達が部長は会議室で話中と伝える。

とりあえず部室にある椅子に腰掛けて、話が終わるのを待つことになった。


「それにしても、やっぱり部長はモッテモテだねぇ。早く予約取らないとって思ってたのに。もう先客が居たとは」


深く背もたれに寄りかかりながら猫柳が声を漏らすと、九鬼が苦笑いを浮かべて同意の意味をこめて頷く。


「そうですね。なんでもそつなくこなす人だから、いろんな所からヘルプがかかるみたいですよ。この前、高等部の職員室の空調を修理してましたし」

「え、マジで?…それくらい業者に頼めばいいのに。この学校金持ってんだからさ」


九鬼の言葉に食いついた守屋が率直な意見を述べると草加が眼鏡を押し上げながらニヤリと笑い。


「偉大だな。…さすが眼鏡同盟の仲間だ。僕もいずれ、いろんな人に頼られる、そんな存在になりたい」

「え?眼鏡同盟?草加、何それ。ってか、僕も眼鏡なんだけど!面白そうだからその同盟入りたい」

「ダメですよ。猫柳先輩は伊達眼鏡でしょ?眼鏡が無いと生きられない人たちのための、眼鏡を愛する同盟なんだから」

「…なん…だと…?」


男性陣の話を聞いて、フッと天井を見上げた天笠は思い出したというより確認の意味をこめて、視線を戻して


「そう言えばこの部室も部長が作ったって本当?」

「そうらしいですよ。私も聞いた話なんですけど」


天笠の質問に獅戸が反応すれば壁にかけられた一枚の写真を指差して。


「ほら、あの写真です。なんでも、この園芸部は部長が中等部の時に立ち上げたらしいんですけど、当時はビニールハウスで活動してたんですって」

「うちも、其の話聞いた事ある。友達と設計図を作って、こんログハウスを建ててしもたらしいって。…噂やけど」


指差した先にあるビニールハウスの写真は、確かにこの場所でとられたものだ。誰が撮影したのか人物は写っていない。上体をひねって見ていた天笠は感心のため息を吐き。


「ふぁ~…、ホント何でも出来るんだね。でも、なんで園芸部だったのかな?もっと他に…そうね、たとえばお手伝い部とか…ってこんな部活無いけど…もっと別なものでもやれたと思うわけよ。ねぇ?猫先輩?」

「え?ん?何?」


女性陣の会話で突然話を振られた猫柳は訳が分からずに聞き返す。と別のところから返事が聞こえた。


「始まりは単純に、めぇ空気のためだべな」

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