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水平線の中の小さな事

作者: 香月小町

「あ―だり……」


「またかよ。

部活は放課後だろ?

今は朝だぞ。あ、さ。」


「だってよ―……」


桐田晴彰はこのところ所属する野球部の愚痴を言うのが、習慣になっていた。


「仮入の時と違いすぎるんだぜ?!

筋トレばっかだし、ボールには触らしてくんねぇし。」


「ばーか。

ったりめ―だろ、そんなこと。」


「いてっ。

叩くことないだろ―」

不満そうに口を尖らせる晴彰。


「毎日毎日同じ愚痴を聞かされる俺の身にもなってくれよ。」


「んなこと言ったって…」


「はい席つけ―。」


「あ、じゃな。」

「ん。」


我ながらいい友人をもったと思う。

彼、矢萩とは中学になってから付き合っている奴だが、なかなか波長があい一緒にいて楽だ。


(それにしても……)

野球は小学校のとき遊びでやっていたが、こんなにハードだとは思わなかった。

正直これに中学生活を尽くすのはどうかと思う。


「遅れてすみません!」


教室中の目が後ろのドアに向いた。


息を弾ませながら入ってきたのは河内ひなだった。


「ね、寝坊しまして…」

クスクスと笑い声がもれる。


「早く席に着きなさい。」


「ひな大丈夫?」

「おっちょこちょいだね―。」


「アハハ……」


河内はいわゆるドジキャラ的な存在だ。

バレーボール部に入っているが、そこでも下手な部類に入ると矢萩が言っていた。


(なんで入ってるんだろ。)


バレー部は女子の中だと学校一厳しいので、晴彰は常々それを疑問に感じていた。


放課後


「あ―部活行きて……」

「変わり身の早い奴。」


矢萩が苦笑するのも無理はない。

数字のプリントをやり忘れていたため、やり終わるまで帰さないと言われたのだ。


「お前も運が悪いな。

よりによって数字なんてな。」


「矢萩…

教えてくれ。

全くわからん。」


「ばーか、俺も暇じゃないんでね。

しっかりな、桐田君。」


そう言うと奴は鞄片手に教室から出ていった。

暇じゃないと言ったのは吹奏楽部に入っているからだ。


(ったく…)

しかしわからん。

どうしてもわからん。

しかし終わらなければ帰れない。


やむなく数字と格闘し始めた。


「終わった―!」


自分一人になった教室で晴彰は勝利の雄叫びをあげた。


時刻は午後5時。

今日は部活も休むと伝えてもらったし、久々に早く帰れる。

ウキウキしながら帰り支度を始めた時だった。


「ガラッ」


後ろを向くと朝と同じく河内が入ってきた。


「あ…桐田君。」


「忘れ物か?」


「うん。水筒忘れちゃって。」

そう言うと自分の席で探しだした。


「なあ。」


「ん?」


「なんでバレーボール入ってんだ?」


「ん―…

好きだからかな。

楽しいよ。」


“好き”


河内を動かしていたのはそれだったのか。

その言葉は意外にもすんなり胸に入ってきた。

「桐田君は野球好きじゃないの?」


不意を突かれるとはこういうことを指すのだろう。


(好き?野球を?好き……)


「あ、ああ。」


「そうだよね!

そうじゃなきゃ入ってないもんね!」


なんだか置いてきぼりになった気分だ。


「あ、ヤバ。

もう行かなきゃ!

バイバイ!」


「お、おう。」


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どーも。

桐田の友人の矢萩です。


なんか最近桐田が野球部に積極的になりました。

それとよく目が河内の方に向いています。


何か知りませんか?


聞いたら、

「な、野球部と河内のことは関係ないぞ!」


とかなり焦った様子でした(笑)

アホですね。



ありがとうございました!

感謝感激あめあられです!!

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