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翌日。昨日来店した金髪巻き髪の女子学生が、再びフランの元へと訪れた。
「言われたとおり学校で探したらいましたわ! 運命の人が!」
「それは良かったです」
興奮した様子で結果報告をする女子を、フランは営業スマイルで見つめる。
「笑顔がすごく素敵でぇ……♡ 絶対に結ばれたいんですの♡」
女子はズイッと身を乗り出し、フランの前で両手を合わせ目を輝かせた。
「だから惚れ薬を作ってくれません!?」
「え」
「もちろんお金は払いますわ!」
返答を待つまでもなく、ウサギのぬいぐるみを付けた学生カバンからポンッと札束を取り出される。
「お引き受けいたします」
内心ガッツポーズをしたことなど微塵も出さず、フランはにこやかに了承した。
「うふふ! 頼みましたわぁ~~~っ」
スキップして退店する女子を見届け終えると、テーブルに置かれた札束をガバッと掴み、嬉しさと興奮でフランは身震いした。
「す、すごい……っ! これは気合い入れて作らないと!」
勢いよく立ち上がったフランは、さっそく本棚を漁り始めた。するとドアベルが鳴り、シアが来店した。昨日とは違いトリオール王立学院の制服姿だが、仮面は依然として着けたままだった。
「こ、こんにちは……」
シアの姿をつま先から頭まで確認したフランは眉を寄せた。
「学校でも仮面を着けてるの?」
「いえ、外してます」
(私を信用してないってことね。別にいいけど)
シアの返答に特に何かを感じることなく、フランは本来の目的に向けて作業へ戻った。
接客としては随分な態度をとられたにも関わらず、シアは気にすることなくフランの傍へ行き、目隠しを指すように自分の目元を指差した。
「昨日も思いましたがよくそれで見えますね」
「もう慣れただけ……っ」
喋りながら手を伸ばし、高い所の本を取ろうとするが届かない。そこにスッと腕が伸びてきた。
「俺は転びまくったのにすごいな」
隣に立ち、何食わぬ顔でシアはフランに本を手渡した。
「……どうも」
ぶっきらぼうにフランは本を受け取り、ページをめくった。
シア「何を調べてるんですか?」
フラン「惚れ薬の作り方」
シア「ほ!?!?」
予想外の言葉に、シアは口を尖らせ、顔を真っ赤にして驚く。




