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冒険者バブル

この世の中には冒険者と呼ばれる小汚い連中がいる。

一攫千金を夢見て洞窟や廃墟、果ては墓などを漁るネズミのような…いや、まさしくネズミ人間どもだ。

そんな社会のダニどもに仕事を斡旋してやるのがアドベンチャーギルドの役割だ。

依頼は大別してギルドからの依頼、スポンサーからの依頼、王国からの依頼、民間業者からの依頼だ。

ギルドの依頼とは言うまでもなくアドベンチャーギルドが独自に収集した情報を元に宝が眠るとされる場所にダニどもを向かわせ取って来させる。

王国からの依頼は主に魔獣退治が含まれる。

遥か昔魔王と呼ばれる魔獣の王がいた時代に溢れたモンスターども。

野生化して土着し森林や山岳地帯にいるが度々人間を襲ったりする。

世代交代により魔獣も昔に比べれば弱くなった。

しかし現代のカス冒険者共ではその弱体化した魔獣とすらマトモに戦えない。


アドベンチャーギルドはその昔、冒険者ギルドといった。

今は民間で運営されているが、始まりの頃は国営だった。

王国が運営していた時代。

もちろん俺が生まれる遥か前の話だが当時は今の状況とは随分と違ったらしい。

魔王が出現し魔獣が街や村を襲い王国領に侵略してきた時代。

世界は闇に包まれた。

王国の兵士達が挑んだが魔獣の数は途方もなく多く王国は志願兵を募った。

その中で個別に少数精鋭で魔獣に挑む人間達も現れ人手不足に追い込まれていた王国はそうした勇士達を纏めるための組織を創設。

直接王国の軍に加わらず少数チームでそれぞれが魔獣に挑む勇士達は組織の下で独自に魔獣達と戦ったという。

その組織が冒険者ギルドの前身に当たる。

やがて魔王はそんな勇士達によって倒された。

しかしそれで終わった訳では無い。

魔王は倒されたが各地に残った魔獣の退治や魔王側が残した金銀財宝を狙って冒険者と呼ばれる人間達が各地に現れた。

魔王が倒れた事により勇士達を管理していた組織は解体される筈だったが商人達によって民間組織として移り冒険者ギルドとして運営されるようになる。

国営の頃は手厚かった待遇は消え去り労働者としての冒険者達はゴロツキや浮浪の徒が集まり人的な質の低下を招いた。

しかし魔獣退治にも高額の報酬が支払われ金銀財宝を得て一攫千金を夢見る冒険者が爆増し世に冒険者バブルと呼ばれる黄金時代が現出した。

だがそれは長くは続かなかった。

人魔獣を倒せる力を持つ冒険者達はギルドの待遇に不満を持ち次々と引退し、残ったのは大した力を持たない冒険者達だけが残った。

そして絶滅させる筈だった魔獣は増えていく事になる。

魔王側が残した財宝も殆ど取り尽くされ残っているのは入手困難な場所にあるモノばかりになった。

冒険者バブルの終焉と共にギルドの待遇は更に悪くなり、マトモなスポンサー達も降りてギルド解体騒ぎにまで発展した。

冒険者ギルドは新たなスポンサー探しを行い、金を出すスポンサーの発掘に努めた。

その結果が今の異常とも取れるスポンサー達に繋がる。

新たなスポンサーを迎えそれまでの悪名を払拭するため冒険者ギルドからアドベンチャーギルドに改名。

今や古王国の財宝や墓荒らしが主流になるほどに仕事内容も悪化し劣悪な環境と低い報酬が当たり前になった。

所属冒険者が死のうが生きようがどうでもよい流れに至り、スポンサーや客が冒険者達の誰が次に死ぬかを賭けて大いに楽しみ巨額な金が動く場にもなっている。


「あー、いい加減に辞めてーな」


心底そう思う。

しかし金は良いし管理者側だから楽でもある。

だがスポンサーや客の狂気には付いていけないトコロもある。

自分も搾取する側にいるという安心感はあるが狂気に取り込まれて自分もそっち側にいるという不安感もある。

いつの間にか異常を異常と思わなくなっている自分自身に何か危機感のような漠然とした不安があるからだが。




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