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第43話/休日のギルバートと

「やあ、おはよう! 今日は何を狩りにいくんだい?」

 朝食後、一旦ユーツの部屋に集まって打ち合わせをしてからギルドへ行こうと話し合っていたのだが、なぜかそこに招かれざる客が紛れ込んできた。


「……ギルバート兄さん、なんでここにいるの?」

「ユーツ、聖騎士にも休日はあるのだよ。せっかくの休日だし弟達を手伝おうと思って来たのだが、お邪魔だったかな?」

「いや、むしろ迷惑でないのならこちらからお願いしたい」

「ははは、迷惑などとそんなわけがないだろう。王都周辺で狩りなど久しいし、たまには探索者として依頼に挑むのも悪くない」

 メリリの件でかなりダメージを受けていたのでしばらくは三人で挑もうと思っていたが、身内であるギルバートなら良いかとユーツ達は視線を合わせる。


「私達だけなら経験のあるファンゴボアを狩りに行こうと思っていたが、ギルバートがついて来てくれるのならばダーツラビットかゴアベアに挑戦したいと思うのだが、どちらかを狩猟した経験はあるのだろうか」

「もちろんどちらもあるとも。なのでどちらでもいいのだが……少し特殊なダーツラビットにしようか」

「特殊? 一角兎とかと大体一緒なんじゃないの?」


 少し怖気付いたユーツに、ギルバートは慌てて励ますように背中を叩く。

「きちんとした対策法さえ知っていれば問題はないさ! 奴らはこちらに向けて捨て身で飛んでくるからね、丈夫な木の盾を装備していくと簡単に狩れるとも」

「木の盾?」

「普段使っている盾だと弾いてしまったりしてあまり上手くいかないだろうからね。木の盾で受ければ相手が勝手に盾に刺さって動けなくなるから、そこをキュッと締めるだけでいい」

「へぇー。いいね、簡単そう」

「おっと、そんなに油断をしてはいけないよ。向こうは捨て身で襲いかかってくるのだ、きちんと盾で受けなければ平気で体に穴を開けてくるからね」


 想像して無言になってしまったユーツの肩をポンポンと叩き、ギルバートは勢いよく立ち上がる。

「そんなに怯えることはない、この兄が君の盾となろう。それでも不安なら今よりも大きな盾を買うのも有りだろう」

「そうなると、先に防具屋に行く必要があるな」

「そうだね。ほとんど使い捨てになってしまうから中古品でも構わないし、サッと選んでギルドに向かうとしよう!」

「グリムも盾いる?」

「ああ、すまないね。グリム嬢とイオス嬢にはダーツラビットを追い立てて貰いたいから盾はそこまで必要ではないよ。念のため装備しておくのも悪くないが、グリム嬢は素早いからね。無理をして攻撃を受けなくても、避けることが出来るんじゃないかい?」

「うん、多分大丈夫!」

 元気に左右に揺れるグリムの頭を撫でながら、ギルバートは二人にウィンクを送った。



 防具屋で三人分の木の盾を買い、ギルドでダーツラビットの依頼を受ける。

「名目上は三匹だがダーツラビットは群でいることが多いからね、最終的に何匹になるかは分からないな」

 今更不安にさせるようなことを言うギルバートをじっとりと睨みながら、ユーツは防具屋で買ったばかりの小盾を抱き締める。

「皆がいるのだ、不安になることはない。不安ならユーツが魔法でダーツラビットを追い立てる役でも構わないのだぞ」

「僕のスタミナじゃ追い立てるのなんて絶対無理だよ」

 一角兎のときに買った脚装備を撫でながら、ユーツはゆっくりと深呼吸をする。

「大丈夫、盾もあるし」

「そうとも。念のため盾を装備し、私の後ろで万が一がないか見守ってくれてるだけでいい」

「それもどうかと思うんだけどね……」

「仕方がない。モンスターによって相性があるのは当然だろう」

「兄さんはなんでもいけそうだけどね」

「そうでもないさ。私のような装備だと一角兎のような小回りの効く小さなモンスターなどとは頗る相性が悪いからね。ダーツラビットが特殊なだけで」

「まあ、言われてみればそうかも……」

 たしかに大きな盾を装備した状態で足元をうろつく小さなモンスターを相手にするのは難しそうだ。

 けれど普段聖騎士が挑むのは一般の探索者では手に負えないようなモンスターばかりであり、それを考えると大楯は適した装備なのだろう。

 小盾を装備しているイオスですら一角兎と戦うのは大変そうだったし、ダーツラビットも苦労しそうなものなのに名乗りを上げてくれた兄に内心感謝をしながら、ユーツは三人と共に王都の出口を目指した。


「あれ?? 何その装備……」

 ダーツラビットの痕跡を見つけ狩場を決めるなり、ギルバートはヘルムを頭に装備していつもの大楯を木の大楯二枚持ちへと変えた。

「これがオーソドックスなダーツラビット向け装備さ。木の盾を装備していれば勝手に刺さってくれるからね。こちらから攻撃する必要はないのだよ」

 ダーツラビットが群れで草を食べている方に盾を向け、イオス達に視線で合図を送る。

「もちろん追い立てる側は警戒してもらわなければならないから武器は必須だ。逆に私は武器を所持していることを悟られない方が都合がいい」

「ふーん、攻撃手段がないってかなり怖い気もするけど……」

 重たい小盾を両手で持ちながら、ユーツはギルバートの足元をチラリと見る。


「ははは、今までの経験が生きているね。そう、ダーツラビットもこちらの機動力を潰そうとしてくるから脚を狙ってくることも多い。回り込まれないようになるべく気をつけるが、いざとなったらユーツの回復頼みさ」

 なんでもないようなことのようにウィンクをするギルバート。

 しかしユーツの中には一角兎戦で傷付いたグリム達の記憶が蘇り、気分が悪くなってゆく。


「そんな顔をする必要はない。私はこれでも聖騎士だからね、多少のことではどうにもならないさ」

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