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スマイル独占禁止法なんてクソ喰らえ!  作者: 高朋(こうほう)
第三章『シブヤ事変・混沌』
8/32

07 綻び

“スマ法”施行6ヶ月後……

街はカオスと化していた。


公共交通機関…電車やバスの中では、首振り人形の様にあたりを見回し、笑い合う人々の姿が日常化した。

インパウンドの観光客の中には、その異様な姿を真似したり、それらの光景を面白おかしくライブ配信する者が多数現れた。


大都市のターミナル駅には、笑顔で周りを見渡しながら歩く人達が溢れ、転倒事故が相次いだ。

先日のエスカレーターでの将棋倒し事故で、多くの怪我人が出たことは記憶に新しい。

そのため駅では『スマ活中の転倒事故が増えております。スマ活をされるお客様は、足元に注意し、周りをよく見て安全に行いましょう!スマ活中の……』と繰り返しアナウンスが流れているし、駅構内及び周辺の通路では、段差を無くす工事があちらこちらで急ピッチで進められた。


美容整形外科では、笑顔に見える表情への整形を希望する人が軒並み列をなしていた。

整形が難しい人々の間では、涙袋メイクならぬ“笑いジワメイク”や“タレ眉メイク”が流行し、ナチュラルシワペンとか汗でも落ちないタレ眉用アイブロウとかのコスメも飛ぶように売れているらしい。


更に、人と直接触れ合わない仕事……

例えば第一次産業に従事する人や、機械のオペレーションが仕事の人達からは不平不満が飛び出して、離職する人が増えていき……

遂には、裁判官、判事、弁護士などの仕事や、ソラのような消防士や救急救命に関わる人、葬祭関係の仕事に携わる人も、仕事柄笑顔はNGだからと言う理由で、転職希望者が後を絶たなくなった。


『スマイル独占禁止法』の、笑顔のパワーでモチベーションをあげよう!という目論見は、既に綻びを生じ始めていたのである。


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