06 大っきくて温かい手
あれからどのくらい経ったんだろう?
軽く肩を叩かれて振り向くと、彼ピがそこに居た。
「アユ、お待たせ。遅くなってごめん。
大丈夫?歩けそうなら行こうか。」
彼ピに手を引かれ、図書ルームを後にする。
いつもはウチが腕を絡めたり、服の裾を摘んでいると、
「仕方ねぇな〜」って手を差し出してくれるけど、絶対に彼ピの方から手を繋いでくれることはなかったのに!
大っきくて温かい手に包まれながら、今日あったことをポツリポツリと話す。
「そっか。そんなことがあったのか……
確かに最近は、加点目的の過剰な“ニコ活”が流行ってるよなー
んで、アユは、キラリンの子供まで巻き込んだ“ニコ活”に不安を覚えたって……そういうこと?」
「うん、まぁ、それもある。
キラリンはさ、すっごい子供好きでね。
10代でコスモを産んでから、周りがまだ遊んでる時もさ
ソラと2人でコスモのために頑張ってたんだよ。
キラリンの実家はお堅くてね、結婚した時に縁を切られてるから。
だからそんなキラリンが、あんなに“ニコ活”に必死になってるのが、怖い。
何がキラリンをそうさせてしまったのか。
流行だけじゃない気がするんだよ。
今の世の中の雰囲気?っていうの?
同調圧力なのか……洗脳なのか。
電車の人達もさ、全員がキモい笑顔で首振り〜なんてことを、本当にしたかったのかな?
誰かが“ニコ活”してて、してない自分が変にみえるかも?
とか、やってなかったら、減点されるかも?って、仕方なくやってる……とか。
そういう人も……いるんじゃない?
“ニコ活”……
あっちこっちに伝染るなんて、そんなの、なんかヤバいウイルスみたいじゃん?
ねぇ、ポイントの為の笑顔なんて嫌だよ。そんなの見たくないの。気持ち悪いんだよ!!!
ウチはそんなの絶対にしないから!
ウチは笑いたい時に笑う。我慢もできないし、したくない!」
「うん。そうだよな。アユの言いたいことはわかる。
今日は怖かったな。
でもさ、アユ、気付いてた?
もう、すっかりいつもの調子を取り戻してるよ?
Limeが来た時は、心臓止まるかと思ったし、さっきの
アユはスッゲー泣きそうな顔してたけど……
もう、大丈夫そうだな。
さ、帰ろ?俺、めっちゃ腹減ったしーー」
ビックスクーターを運転手する彼ピに、しっかりとしがみつく。運転中はおしゃべり出来ないけど、伝わる体温がウチを安心させてくれる。
来てくれてありがとう。
話を聞いてくれてありがとう。
決めたよ。ウチはウチのスタイルでいく!
これからも。




