05 SOS
人気のない公園でスマホをひらき、震える手でLimeのメッセージを送る。
【助けて!もう、動けない!!!】
直ぐにスマホが着信して震えた。彼ピからだ。
「アユ!!!!大丈夫??どしたの?
キラリンんとこに行ってたんじゃないの?」
「行った、行ったけど逃げてきちゃった。怖くて。」
「怖くて逃げた??アユ、何があった?怪我とかしてない?今どこ?」
「怪我とかはない。キラリンの団地のそばの公園にひとりでいる。」
「そか……
アユ、そこに居たら暑いだろ?
その公園のすぐ近くに市の図書ルームがあるから、そこまで行ける?
好きな絵本を持って、自習ブースに篭れば視線は気にならない。出来る?」
「……うん。彼ピの声で少し落ち着いた。
図書センター……だっけ?そこへ行ってみる。
それからどうしたらいい?」
「動かず待っとけ。ソッコー行くわ!」
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アユは“スマ法”が施行されてから、随分神経質になった。
見た目はギャルでアレだけど。
元々機微に聡いアユは、“スマ法”下で変わっていく世の中を恐れていた。
彼ピの笑顔はウチだけのモン!なんて言ってるけど、アユの危惧はそれだけじゃない。
「あ〜しくったわ!今日ひとりで行かせるんじゃなかったーーー!」
俺は先輩から借りたビックスクーターを走らせ、アユの元に向かった。