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スマイル独占禁止法なんてクソ喰らえ!  作者: 高朋(こうほう)
第二章『忍び寄るナニカ』
4/32

03 “ニコ活”蔓延中

“スマ法”施行から3ヶ月後


今日は仕事がオフなので、久々にギャル仲間のキラリンに会いに行くことにした。


キラリンこと綺星羅(キララ)は、10代でギャル男の(ソラ)とデキ婚をし、今は2才半の男の子、宇宙(コスモ)と、2ヶ月の女の子、姫星(キティ)のママだ。

今日はキティの出産祝いを届けに行くんだけど、キラリン好みの超絶可愛いベビー服と、コスモには国民的ヒーローのパン人間が主人公の絵本をセレクトしたから、喜んでくれるといいなっ!


通勤ラッシュも過ぎて、ゆっくり座れる時間に合わせて

キラリンの住む郊外へと向かう電車に乗ってるんだけど……

ん……?あれ?なんかいつもより、めっちゃ視線を感じる……?え?何?

まぁ、ウチはいつものギャルの格好だし?

振り向かれたり、二度見されるのは慣れてるけれど、なんか違う……

そっとスマホから視線を上げて見回すと……

!!!!!

以前なら、電車の乗客のほとんどがスマホを見てるか、寝ているかだったのに……

みんな、笑ってる……!

しかも、ゆっくり首を左右に振りながら微笑みあってる!!!

え……?

なにこれ?超怖いんだけど!!

やだ、なんかの儀式??

一体どうしちゃったの?


その不気味な姿は見なかったことにして、下を向いて、出来る限り小さく縮こまって、早く早く!ってひたすら祈る。今顔を上げて目が合ったら……この笑顔の集団に囲まれそうな気がして。

次の駅までがやたらと遠く感じて、夏なのに、カラダがガタガタ震えてきた。


しばらくして、ようやく電車は次の駅に到着した。

キラリンの住む団地の最寄り駅は、まだ2駅も先だけど、ウチは電車を飛び降りた。


あの空間には居られない……!


改札を最速で抜けてロータリーに向かうと、ちょうど1台、客待ちのタクシーがいて、運転手さんが「乗りますか?」って、声を掛けてくれた。

あ、この人、笑ってない。フツーの人だ!

キラリンの住む団地を告げ、車に乗り込む。


「今日は暑くなりましたねー」


運転手さんが、話し掛けてくれる。


「ん?お客さん、大丈夫かい?ちょっと顔色が悪いみたいだけど。エアコンの温度変えます?窓を開けてもいいですよ?」


時々バックミラーでこちらをチラッと見ながら話す運転手さんの表情はごくごく普通な感じだ。


「あ、大丈夫です。電車で変な夢でもみたのかも?」


「そうですか。揺れないように走りますから、

お大事にね。」


ぼんやりと外の景色を見ていたら、やっと震えがおさまってきたけど、マジなんだったんだろ、あれ。

白日夢ってやつ?


「もうすぐですよー」


「あ、じゃあ、あの交差点の先で。」


「はい、じゃあ、コンビニのとこに停めますね。」


降車直前の交差点でウチの乗ったタクシーが赤信号につかまった。

料金を見ようとふと前を見ると……

運転手さんが笑っていた。

行き過ぎる車に向かって手を振りながら。


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