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スマイル独占禁止法なんてクソ喰らえ!  作者: 高朋(こうほう)
第七章『シブヤ事変・変化』

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26 審査官も悩むンです……

スマイル監視審査会は混乱していた。


審査対象になり、ドローン監視下にあった人物

(審査番号:S-MILE/0726・アユミ)のスマイルポイントが不可解な動きをしていることと、時を同じくして、同じような妙なポイントの変動をする人が全国のあちらこちらに出てきたからだ。


「これは一体……どういうことだ?」


「この、アユミという女性ですが、主にシブヤの若者に人気の配信者でインフルエンサーです。

彼女は減点の累積がもう、処罰の対象レベルとなっていたのですが……

先日SNSにアップロードした動画がバズっていまして、その動画の視聴数、インプレッション、高評価の数が爆上がりしています。

更にはXXやInstaGloomの彼女のポストや動画には、

笑顔の画像付きの返信が次から次へとされていまして……

それらの結果、加点ポイントが急激に上がっているのです。」


「ほう……それは彼女が心を入れ替えて“スマイル活動”に勤しんだ結果……ということで、いいんじゃないのか?」


「それが……ですね。

彼女が発信しているのは『スマイル独占禁止法なんてクソ喰らえ!キャンペーン』略して『スマ・クソ・キャンペーン』というものでして……これは明らかな法令違反で減点ポイントです。


しかし、動画の中で何万もの人々に笑顔を振りまいているので、このケースはどう扱えばいいのか、意見が分かれるところでして。現場も混乱しているのです。」


「なるほど……

参考資料として、この女性の投稿や動画などは見られるのか?」


「はい。こちらにご用意してあります。」


………はぁ。これは一体どうしたものか。

私の立場上、『スマ・クソ・キャンペーン』などという、ふざけた動画は断じて許さん!直ちに本人確保の上、適切な処罰を……!!

と部下たちに命ずるべきなのであろう。


だがしかし……

あの動画の中で彼女が訴えていることは、決してスマイルを否定しているわけでない。

むしろ、“笑顔を見せて”と推奨している。


そして、市井の様子の変化を『スマイル独占禁止法』施行当初から見ている我々は、実はわかっている。

民主主義国家でありながら、この法律が人々の言動や思想、精神までをも縛り付け、蝕んできていることを。


彼女の主張は……間違っては……いない。


「(審査番号:S-MILE/0726・アユミ)の件については、スマイルポイントの減点・加点の推移を見守るに留め、彼女を監視下から外すこと。」


「はい。わかりました。そのように申し伝えます。

……他の『スマ・クソ キャンペーン』の賛同者についてはどう致しますか?」


「どうもこうもない!とりあえず今まで通りだ。

減点がかさんだら警告、加点が増えたらそれに応じて

『マイカポイントの付与』

もう、それしかないだろう?

彼女たちは、暴動やデモなどの過激な行動をしている訳じゃないのだから。


……我々だって人の親だ。子や家族の笑顔は守りたい。

そうだろう?

こんなこと、大っぴらには言えないけどな。」


「はい。私も……そう思います。

しかしながら、我々審査員は……管理、取り締まる立場なんですよね……」


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