22 決戦前夜
夜になって、彼ピと二人、海岸近くを散歩する。
昼間は、一応念の為に家に篭っているウチのために、日が落ちると毎日こうして外に連れ出してくれるの。
今夜は新月。明かりが少ないこの辺は、月明かりのない夜は星がよく見える。
シブヤの夜も煌びやかで好きだけど……星が瞬く夜空もいいなって、ここに来てから思うようになった。
「アユ、怖いか?」
「え?」
「明日のこと。
準備はしてきたけど、別にアユがやらなくてもいいんだぞ?
賛同してくれる人もいるだろう。応援してくれる人も。
でも、よく思わない人もいるはずだ。
“スマ活”で恩恵を受けてる人にとっては、俺らの試みは面白くないだろうし。」
「うん……そうだね。」
「それに、立場が悪くなる…ってことも、十分に考えられる。
それでも、やるのか?
アユが火の粉を被らなくてもいいんだぞ?」
「……ウチらが仲違いしちゃった日までは、まぁ、ぶっちゃけ、どーでもいいって思ってた。
多勢に無勢でしょ?何しても意味無いって。
それに、ウチが自分のポリシーで“ニコ活”しないみたいに、自分の心に従って、あえて“ニコ活”をしてる人もいるんだろうって思ったから。
自分のポリシーを貫いてるなら、いいの。
でもさ、子供とかは別じゃない?
心が育つ時期に、コントロールされるなんて、絶対にダメ!
素直な心が潰されちゃう!
大人でもね……心のままに喜怒哀楽を表現出来ないなんて、ホント辛いもん。
ウチさ、ななっちの怯えた顔が今でも頭から離れないのよ。
減点の恐怖でさ、あんなに怯えた目をして……」
「ななっちか……確かその事がきっかけで、色々考えるようになったんだよな……俺ら。」
「ウチらがやんなくてもいいこと……かもしれない。
でも、ウチらが出来ることをしたら、未来が変わるかもしれない。
未来、変えたいんだよね。
だ、だってね?
ウチも、あの、いずれ、ママになるかもしれないじゃん???あ、あくまで、仮定の話しだけど!
そ、その時に、子供にはさ、好きな時に好きなだけ、いっぱい笑える社会であって欲しい……から。」
「ふぅん……そっか。……アユ子供欲しいの?」
「あ、あくまで仮定の話しだってば!!!
キラリンちのコスモやキティを見てたら、ちょっとだけ、ウチにもこんな未来があるのかな〜?って思っただけ!
も、そろそろ帰ろ?
もう一度、動画の仕上がり確認しなきゃ!」
「だな。そろそろ帰るか。
俺は……
アユは将来、めちゃめちゃ幸せなママになると思うぜ?
俺も子供大好きだし。心配すんな。」
「ん?え?どゆこと??」
「ん?先ずは明日、頑張ろってこと。
全てはそれからだ!」




