21 ワンコ参上!
後輩君は、一言で言えば、やっぱり彼ピが言うように“変人”だった。
電車で来るということなので、彼ピが駅まで迎えに行ったんだけど……
「こんにちは〜お邪魔しまーす!」
って言いながら入ってきた後輩君は、パッと見フツーのサラリーマンみたいな出で立ちで、何故かスーツ姿だった。
「こんにちは〜はじめまして。アユミです。
今日はわざわざありがとう……」
「ほう、ほう!!あなたがアユさんなのですね?
自分は、通りすがりの犬です!以後よろしく。
あ、ちなみにですね、ワンコと言うのは、自分の苗字が犬山と言いまして……
自らをワンコと名乗っております。
そうそう!アユさんのSNSは、ここに来るまでの電車の中で、事前に拝見致しましたよ。
中々面白い内容で、チャンネル登録と、フォローをしてしまいました。
フォロバして頂けると、非常に嬉しいですね!
んんっ??おぉ〜これはこれは!
なんて豊かな表情をする方なんだ!
自分は日々生成AIで、人の表情をどう表せるかを試行錯誤しているのですが……やはり生きた表情にはまだまだ全然追いつきませぬ!
アユさんのクルクル変わるその表情……動画でも実に魅力的でしたが、実物は……なんとまぁ!見飽きませんね!」
「おーい!ワンコ〜!アユを褒めてくれるのはありがたいんだけど、そろそろこっち来て座ったら?
コーヒー入ったよ〜」
「おぉ!先輩のコーヒーとは久しぶりですなぁ!
是非ご相伴にあずかりましょうぞ!」
「うんうん。上着もシワになるから預かるよ。
でさ、このPCなんだけど……」
びっくりした!
ワンコもとい、犬山さんは、コーヒーを飲み干すと満足気に微笑んで、PCの前に座り、目にも止まらぬ早さでキーボードを打ち始めた。
そしてしばらくすると……
「先輩、出来ました。説明致しますので、ささ、こちらへ」
そう言って彼ピを隣に呼ぶと説明をしだした。ま、ウチにはちんぷんかんぷんだから、大人しくしてたけど。
「……以上です。
では、何か後で質問などありましたら、遠慮なくご連絡下さい。アユさん!!!」
「は、はい?!な、なんでしょうか???」
「自分は、アユさんと先輩の計画に、とても感服致しました。
自分は先程も申しましたが、生成AIで人の表情を模しているのですが、絶対に越えられない壁も感じているのです。
それはそこに心があるか否かというところです。
今大量発生している“スマイルゾンビ”!
なんと嘆かわしいことでしょう!一番大事な心と表情を切り離すなんぞ、あってはならんことなのですっ!
お二人の計画の成功を、お祈りしております。
……では!またいつかお会いしましょうぞ!」
そう言うと、スタスタと玄関に向かい……
クルッと振り返り、スーツの上着を取りに戻ってきた。
ヤバい……!
とても、嬉しくて、心強いエールを貰ったんだけど……
ワンコさん、めっちゃウケるぅ!!
でもワンコさんのお陰で、準備はほとんど終わった。
吉と出るか凶と出るか、まだ全然わからないけど、
ウチらの思いが一人でも多くの人に届けばいいな。




