20 海辺の町で
海からの風が気持ちいい。
季節外れの海辺の町には、訪れる人も少なくて、
時間がゆっくりと流れている感じ。
ここは、かつて彼ピの祖父母が住んでいた家。
今は家族がたまに来る用にリノベーションしてあるの。
ここら辺には監視カメラなんかないし、近所はおじいちゃん、おばあちゃんばっかりだけど、誰も“ニコ活”なんかしていない。
ここに着いた日の翌朝、玄関先にはちょっと不格好だけど、とびっきり新鮮な野菜が届けられてて、びっくりしたなー
彼ピが、これ、たぶん裏のじぃちゃんとばぁちゃんだ!って言って、挨拶をしに行ったけど…
帰りに美味しそうなお刺身をお土産に貰ってきたのには笑ったわ!
前の晩に、ここの家の電気がついてたから…って、
二人で用意してくれたみたい。
ウチも挨拶に行きたかったけど、彼ピに止められた。少し様子を見てからね?って。
それから数日。
私たちは今ここで、スマ・クソ キャンペーン用の動画の撮影や編集などを進めている。
ここには動画撮影や配信用のライトもないけれど、
あるもので工夫して撮影は終了した。
YouTruとTikToxicとInstaGloomで動画投稿、それと同時にXXにポスト。
それぞれのSNS用の準備もいよいよ大詰めだ。
で、今日の午後は、ここに彼ピの後輩君が来る事になっている。
「実は大学の後輩に、ネットで生活してるヤツがいてさ。フェイクニュースの解析AIとかやってる変人で。そいつをここに召喚するわ。
スマクソ キャンペーンの動画やポストを普通に投稿したら、速攻居場所が割れちゃうから、念のため。
信頼出来る奴だし、俺らの計画を知った上で、協力したい!って、快く引き受けてくれたんだ。」
「そうなんだ!ウチはそこまで気が回らなかったよ。そっか…IPアドレスとかで、ここのことがすぐバレちゃうんだ!こわっ!」
「うん。俺もそこら辺は詳しくないからなー」
私のSNSのアカウントを使って始めるスマ・クソ
キャンペーンだけど、ウチらだけじゃなく、沢山の人の協力があって始動出来るんだよね。
ただ、ただ、感謝しかないわ。
キャンペーン発動のXデーは明日の正午。
このことは、仲間達にはもう伝えてある。
…そろそろ後輩君が着く時間だ。




