19 しばしの別れ
インターホンを鳴らすと、リョウさんに似た雰囲気の弟さんが出てきて、ビックスクーターのキーを渡してくれた。
「兄から聞いてます。ガスは満タンにしてあるのと、簡単な点検もしときました。自分、修理工なんで。」
「そうなんですね!ありがとうございます!お借りします。」
途中で用意したお礼のお菓子の包みを渡し、早々においとましようとすると……
「あ、あのっ!
兄から、アユさんの彼氏さんだって伺ってたんですけど……
自分の彼女がアユさんの大ファンなんです!
あ、自分もなんですけど!
あの、もうYouTruは更新されないんですか?」
「あ〜えっと……更新は近々すると思いますが……
ちょっと待って貰えます?」
素早くアユにLimeすると、ここに来るという。
「こんばんは〜!はじめまして!
いつもリョウさんにはお世話になってます!
アユミです。
今日は突然、押しかけちゃってすみません!」
「あ、あ、アユ??え?本物??
ヤバっ!めっちゃ美人……!
あ、あ、い、今、彼女が家に来てるんです!
ここに呼んでもいいですか?」
「うんうん!どぞーー
そうそう、弟さんと彼女さんのお名前は?」
「自分はセイジ、彼女はユイナですっ!
ちょ、ちょっと、待っててくださいねっ?!」
「はぁ〜アユってマジ、天然人たらしよな……
ホント、その性格、尊敬するわ。」
「ふふふっ!それはお互いさまじゃない?
だってさ〜嬉しいじゃん!?
YouTru観てくれてたんでしょ?
もう、仲間じゃん!
あ、来た!セイくーん!ユイピー!」
「きゃーーーーー!本物のアユだ!!!
うそ、うそっ!!!
今日会えるなんて思わなかったーー!
あ、アユさん!めっちゃファンですっ!!」
「あはは、ユイピーはじめまして!アユです!
いつも観てくれてありがとう〜!
ん?あれ?その服……うちの新作??」
「あ!そ、そうです!予約販売でゲットしました!
アユさんがモデルしてたし……」
「いや〜ん!ありがとうっ!
服、ユイピにめっちゃ似合ってるよ!
それ、デザインも可愛いけど、着心地もいいでしょ?
ウチとおソロだよ?」
「ええっ!そうなんですか!嬉しいっ!!」
「ねね、記念に写真撮ろ? ?
あ……!そうだ!!
ユイピは、キラリンってわかる?
ウチのギャル仲間でショップ店員だったんだけど……」
「キラリンさん?!もちろん知ってます!
アユさんの動画にも時々出てましたよね?
私、前にショップで一緒にチェキ撮って貰ったことあります!」
「へぇ〜そうなんだ!じゃあさ、ユイピ、すこーし待ってて?」
ウチは車に戻ると、キラリンに事情を話した。
「え?マジ?行く行く!コスモもキティも外の空気吸わせたいし、みんなで行くわ!ソラ、いいかな?」
「おぅ!キティは俺が抱っこしてくから、キララはコスモと先に出て。」
「了解〜!アユ、ごめん!コスモの靴とってーー」
あはは。なんか、こーゆーのって、わちゃわちゃしてて、めっちゃ楽しい!
コスモの可愛いあんよにパンパンマンの靴を履かせて、
チャイルドシートからヒョイって降ろして……
「よし!コスモ〜ママとウチとお手手繋いで行くよ〜」
外に出たコスモは、初めこそキョロキョロしてたけど、直ぐにちっちゃな身体で、グイグイウチらを引っ張って行く。
生命力の固まりよなぁ……子供って!
「えっ?ええっ???
アユさんと……キラリンさん……?!」
「ジャーン!サプラーイズ!!
キラリンも一緒だったから、連れてきたーー!」
「ユイピちゃん、ばんわー!この子はコスモ!
ウチの王子だよ!後ろにいるのは、ダーリンのソラと
キティ姫!よろしくっ!」
「わぁ!キラリンさん……結婚されてたんですね!!
もうママなんだ!!私、同い年なんです。
すごい……!めっちゃリスペクトですっ!!」
「あはは、ありがとう〜!」
その後、みんなでビックスクーターを囲んでプチ撮影会をした。
セイくんもユイピも、もちろんウチらも、
誰もが自然の笑顔のすっごいエモい写真が撮れた!
その写真をみんなで共有して……
ここでみんなとはしばしのお別れだ。
ウチらが出発の準備していると、ソラが車から2つのリュックを持ってきた。
「コレ、俺らからっす。二人とも今は家には帰んないでしょ?数日分の着替えとか入ってます。使って下さい。」
「アユの分は私のセレクトだからねっ?
着替えとスキンケア用品とかも入れといた。
下着のサイズもバッチリだから、安心して?
……アユ、ウチらはずっと仲間だから。
スマ・クソにも、もちろん協力する。
誰もがこの写真みたいな笑顔を取り戻せるよう、
祈ってる!
くれぐれも無理はしないでね。アユ!!」
「うん!キラリンありがとう!!
ウチにはみんなも彼ピも居るから大丈夫だよ!
ソラも、ここまで送ってくれてありがとうね。
このリュックも、使わせてもらうねっ!」
「よし、アユ、行くぞ。しっかり掴まれ。
俺がお前を守るから、安心しろ!」
キラリン家族と、セイくん・ユイピに見送られ、ビックスクーターは走りだす。
車通りも少ない、街灯もまばらな道を彼ピと進む。
これからどうなるのか……まだわからないけど、きっと大丈夫だ!
ウチらには仲間がいるから!!




