表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/74

VS水の神獣②

ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記ファンタジー

「はぁ…はぁ…」

息を切らしながら祭壇の間へと辿り着いたイリス。

「女神像の手…でもこれって…!ただの石像じゃ…きゃ!」

石像の竪琴にイリスが触れた瞬間バチっ!と小さな稲妻が弾けるような音がした。

イリスが触れた石像の竪琴が女神像の手から離れ、イリスの手に収まっていたのだ。

「これでみんなを助けられる!」

イリスは竪琴を抱えたまま急いで来た道を戻る。

しかし中庭からミズガルドがまた水面から出て暴れているのが見える。

「ダメ、戻ったら間に合わない!」

そう呟いてイリスは中庭を突っ切って湖のパティオへと走り出した。


「くそ…もう戻ってきやがった」

「イリス様…」

「みんな耐えるんだ!諦めたら終わりだ!」

「少しでも時間を稼げれば…」

「チェーンバインド」

マイア神官長の放った魔法の鎖でミズガルドを水中に再び沈ませようと拘束する。

「くっ…流石に大物を縛るのは厳しいものがあるわね…」

ミズガルドは激しく抵抗し、唯一動かせる口からまた毒攻撃をしようと足掻いている。

「させない!コキュートス!」

アナスタシアの魔法の氷の槍がミズガルドの口を串刺しにして縫い付ける。

「イーグルワインダー!」

マルスの矢が正確にミズガルドの目を射抜く。


「こっちよ!!」


湖のほとりのパティオからイリスが叫ぶ。

そして竪琴を奏はじめる。


…お願い!弾かせて!!


すると竪琴から音色が響き渡り、ミズガルドが動きを止める。


「いまだ!アナスタシア!」

「はい!スノーリフト!」


俺の作戦は竪琴の力でミズガルドが動きを止めたあと、アナスタシアの魔法で足場を作り、それに乗って首を落とすとゆうものだ。


…ブルクラッシュでは斬り落とせない。

一撃でダメだったら…!!


『汝、我を求めよ…力を…与えよう…』


急に意識が持っていかれる感覚に襲われる。

誰だ?なんの事だ?


『我を求めよ…我はセレーネ…オルフェリアの守護者なり…』


セレーネ…様?

今は仲間を守れるなら何だって良い!

俺に力を貸してください!皆んなを守れる力を!!

『ゼニスよ…世界を…』

意識がまた戻ってくる。

はっ!

今のは何だったんだ…?

しかし、何故か身体が勝手に動く。そしてこの言葉と剣を知っている気がする。


「切り裂け!聖水剣コールドブリンガー!」


氷の刃をも纏った蒼き剣。

全てを凍てつかせ痛みすらも凍らせる太刀筋。

パキ…パキパキ…

これが…俺の剣…。

渾身の力でなんとか首を斬り落とす事に成功した。

そのままミズガルドは水上に倒れて動かなくなった。


気づけば剣もいつもの剣に戻っていた。

あの力は…何だったのだろう…アナスタシアの魔法剣のようで…。

でも俺は魔法を使えないはずで…


「まさか伝説級の魔物を倒してしまうなんて…」

マイア神官長も苦笑いを浮かべる。

「あの竪琴が無かったら、きっと俺達は全滅だったかもしれない」

「間に合って良かったです」

「あなたがいなければ私達にはなす術が無かったでしょう。神殿を代表して感謝致します。」

「いえ!私はただ走っただけです!皆さんの方が身を挺して戦って頂いて…」

イリスが謙遜して困った表情をする。

「全員がMVPって事ですね!」

マルスが綺麗に?纏めて皆んなが笑い出す。

いやぁ…本当にきつかった…笑

「兄様のあの氷の剣…いつのまに魔法剣を?」

「いや、分からないんだ…。突然声が聞こえて…無我夢中で気づいたら身体が勝手に。」

「セレーネ様の御加護かしら?」

「あなた達兄妹は特にセレーネ様の御加護が強い家系ですからね…」

「そういえばアナスタシア、お前もいつの間にコキュートスなんて魔法覚えたんだ?」

「初めて使いました」

「⁈」

「蛇の口を塞がなければって思って、イメージしたら咄嗟に出来たみたいです」

口を塞ぐために氷の槍で串刺し…

やはりアナスタシアを怒らせるのは危険だ…。


「ひとまずあなた達は一旦領地に帰りなさい。私は事後処理と湖の調査をします。気になる事もあるわね…。あとでベルに手紙を書いておくからそれを渡してちょうだい。」

「承知致しました。叔母上、何か力になれる事があればいつでもお呼びください」

「叔母様、くれぐれも御用心を…。御無理をなされないように…」

「マイア神官長様、お元気で…」


マイア神官長から母様宛ての手紙を受け取り帰路に着く4人。


「なんだかとんでもな展開になって疲労困憊…」

マルスが馬車の中でぐったりしている。

「そうだな…流石に俺も疲れたな…」

こんなに死を覚悟した戦いは初めてだったしな…。

力不足も感じた。何よりあの声の主と新たな力は…

「ところでイリスとマルスはこれからどうするんだ?」

「そうですね。ヴェルドラに帰ろうと思います。クロード養父様もきっと心配していると思いますし。」

「俺も一度帰ります!それからまたゼニス様と旅がしたいです!」

「マルス!」

イリスが慌ててマルスの口を塞ぐ。

「なんだよ!俺はもっと広い世界を見たいんだよ!」

「でもゼニス様の御迷惑になるでしょう?」

「そんな事は無いよ。マルスは優秀な狩人だ。俺はマルスだったらいつでも歓迎するさ!」

「ありがとうございます!」

「とりあえず一度、神父様にお話ししてからにしてね…」

「分かってるよ!」


その後は皆んな爆睡したのは言う事もなく…


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ