爆弾娘と破天荒男
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
リシュエルに案内されて工房にお邪魔する。
「こちらが我々エルフ達の工房になります。」
エルフ達の工房はドワーフの工房とはまた少し雰囲気は違う。
魔糸を紡ぐ職人、縫製する職人、加工する職人と分かれていた。
ドワーフの工房には高炉があって金属を自由に変化させて様々な武具を作るのが特徴的だったが、エルフ達の工房には高炉は無く、素材を生かした物づくりだったり織物が中心って感じだ。
まぁ織物に飛び火したら大惨事だしな笑
「イリス様、こちらで採寸やデザインの打ち合わせをしましょう!」
イリスは奥の作業場にリシュエルさんに連れていかれる。
その間、俺達は工房に併設されてるショップを見たりしていた。
「兄様、マルスとちょっと里の他のお店も見て来ても良いですか?」
「おう。じゃあ自由時間にしようか!」
「はい!」
「じゃあちょっと行ってきます!」
俺はイリス達の方に顔を出す。
サーシャとアレスは工房の商品を見て回っている。
「エルフのアクセサリーって可愛い♡」
「なんか欲しい物でもあんのか?」
「うーん。特に決めては無いけど…」
「贈り物ですか?」
「あ、いえ。エルフのアクセサリーとか魔導具って初めて見るから素敵だなぁって。」
「ありがとうございます。ここに人間が来る事も珍しいですよ笑」
「そうなんですね!記念に何か買って行こうかしら…」
「エルフの慣習はご存知ですか?」
「どんなのですか?」
「エルフでは男性が恋人に生まれ月の守護石を贈る風習があります。あなたを守りますという意味合いですね。」
「へー!ロマンチックですねー!」
「生まれ月はいつですか?」
「私は7月です!」
「でしたらオーソドックスなのは紅水晶ですね。あとは赤い石だったらだいたい該当するかと思います。」
「これ、すごい素敵…」
サーシャは真紅のハート型の宝玉に金色の羽があしらわれた首飾りを見つけた。
「そちらは不死鳥のアミュレットですね。不死鳥は永遠の愛の象徴とも言われています。恋人にはこれ以上無い贈り物になりますよ!」
「ここまで美しい細工は滅多に見かけないわね…。エルフの職人ってすごいわ…」
「ありがとうございます。お見かけしたところ、貴女は火のマナに深く愛されていますね。是非身に付けて頂きたい一品です。」
「じゃあこれ貰ってくわ。」
「え?」
「ありがとうございます。この紅玉の意味は純愛、愛の炎、勝利と言われています。また女性の象徴としての守護石としても人気です」
「ほら。あっち向いてろ」
アレスが後ろからサーシャの首につける。
「え、え、嘘。」
サーシャは顔も真っ赤にして激しく動揺する。
「似合うじゃん!行くぞ!」
アレスは照れを隠すかのように工房を出る。
「アレス!待って!」
サーシャもアレスの後を追いかける。
「アレス!なんで私に…」
アレスは振り返らずに答える。
「好きな女にプレゼントするのに理由なんかいるかよ。」
「え…!」
「女に贈り物なんて初めてだから正解なんて分からねーけど。迷惑だったら捨て…」
「迷惑な訳無いじゃない!!」
サーシャは後ろからアレスに抱きつく。
「私もアレスが好き…」
サーシャは消えそうな声で呟く。
アレスが振り返ってサーシャを抱き上げ、
「俺の方が好きだろ!」
ニカっと八重歯を出して笑う。
「馬鹿!」
サーシャはまた顔を真っ赤にして照れる。
「俺に馬鹿呼ばわりする女はお前が初めてだよ笑 それに俺を守ろうとした女もお前が初めてだ。俺にはお前じゃなきゃダメなんだよ。」
「お前って辞めてよ…ちゃんと名前で呼んで。」
「サーシャ。俺が一生守ってやる。」
「私もアレスを守ってあげるわ!」
気づけば周囲のエルフの民から拍手が湧き起こっていた。
我に帰った2人は耳まで真っ赤にして俯く。
「おめでとう!お二人さん!」
マルスが駆け寄ってくる。
「やっぱりサーシャはアレスがタイプだったのね♪」
「ちょっと!アナスタシア!!」
「冗談♪本当におめでとう!」
「ありがと!」
「お似合いだよ!爆弾娘と破天荒男 笑」
「マルス!!」
「マルス…痛い目に遭いてーのかなー?」
「アナスタシア!行くぞ!!」
「笑笑。あとでイリスにも報告しなきゃね!」
「うん。」
「ピィー!!」
置いて行かれたリーヴェがアレスの頭に乗って怒ってる。
「わかった、わかった!散歩行こうぜ!散歩!」
「私も行こっかな。」
アレスとサーシャと一匹はエルフの森に散歩に出た。




