エルフの魔導具
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
「それとイリス様、サーシャ様にお見せしたい物があります。」
「え?なんでしょうか?」
イリスとサーシャは顔を見合わせる。
「私達エルフはこの大陸で最も魔力の高い種族です。我々が作り出す魔導具や装備品は神官や魔道士との親和性が非常に高いのです。要り用があれば差し上げます。」
「え!良いのですか?」
「はい。シレジア奪還は世界樹やエルフの里の安全に関わるお話し。私達も協力は惜しみません。」
「よろしくお願いします。」
「では宝物殿に御案内致しましょう。」
リシュエル様に連れられて、一同で宝物殿に行く。
3度目の宝物庫。もはや宝物庫マスターでは?
「イリス様のお召しになっているローブはアンティアの聖ローブですね?」
「はい。リシュエル様もご存知でしたか?」
「はい。それもエルフが作った物です。そちらも素晴らしい逸品です。これを超えるローブもなかなか無いと思います。」
「そうなのですね。そんな素晴らしい物を頂いていたなんて…。」
「イリス様に良くお似合いですよ。優れた魔導具は持ち主を選ぶと言われております。そのローブがイリス様を選んだのでしょう。」
「なんだか恥ずかしいですね笑」
「色々ありますから、ゆっくり見て行ってくださいね。」
「はい。ありがとうございます。」
「サーシャ様は気になる物はありましたか?」
「そうね…」
「サーシャ!」
アレスがサーシャを呼ぶ。
「何ー?」
「これなんてどうだ?」
「あ…」
アレスが選んだのは炎そのものを押し込めたような目の醒めるような真紅のローブ。ところどころに金の刺繍と装飾がされている。
「やはりサーシャ様はこちらと引き合いましたか。」
リシュエルも納得顔だ。
「私もサーシャ様に是非こちらを見て頂きたかったのです。これは不死鳥の法衣ですね。文字通り、不死鳥の羽を織り交ぜて作られたローブで不死鳥が認めた者以外が着用すると燃えてしまうと言われています。」
「げ!すげー危険なやつじゃん」
「その代わり、着用出来たら素晴らしい恩恵が得られると言われております。即死耐性、炎耐性、炎魔法強化、魔力強化が主な加護ですね。着てみますか?」
「おいおい、大丈夫か?燃えるなんて洒落になんねーぞ?」
「…でも私、着てみたい。大丈夫な気がするの。」
「危ないと判断したら私の方でディスペルで対応致しますね。」
サーシャは意を決して不死鳥の法衣に袖を通す。
「燃え…ねーな。」
「やはりサーシャ様は炎に愛されていますね。お見事です。実はこのローブは数100年もの間、身につけられた者がいないんですよ笑」
「リシュエル様…笑いながら話せる事じゃ…」
「すいません。こんな歴史的瞬間に立ち会えるなんて嬉しくて笑」
「アレス、どう…かしら?」
「あぁ。すごい似合ってるよ。やっぱりサーシャは赤が似合う。」
「あ…ありがとう…」
「サーシャ、すごい素敵!サーシャの為に作られたみたい!紫も似合ってたけど私もやっぱりサーシャには赤が似合うと思う!」
「嬉しい♪デザインもドンピシャだけど、軽いのよ!私も気に入ったわ!」
「そちらはサーシャ様に差し上げます。と言うよりサーシャ様以外に着れないでしょう。」
「ありがとうございます。」
「他にも何かあれば声掛けてくださいね。」
「あの、杖とかありますか?私、みんなと違ってアーティファクトは無いんです。ヘリオス神のアーティファクトは既にお兄様がお持ちなので…」
「なるほど…こちらにある物であれば全然構わないのですが、サーシャ様に見合う杖となると難しいですね…。」
「そうですか…。」
「何か素材や触媒を用いてサーシャ様専用に新たに作られてはどうです?」
「私専用の杖?」
「はい。元々アーティファクトも作られた物ですから。」
「そうね…。ガンツさんに頼んでみようかしら?」
「後ほど炎と親和性の高い素材なんかは紹介させてもらいますね!」
「はい!ありがとうございます。」
「イリス様はいかがですか?」
「あの、こちらは何でしょうか?」
イリスはトルソーに掛けられたままの一枚の布が気になった。まさにオーロラを纏ったような薄ピンクの煌めきが美しい布。
「そちらは暁の女神が纏っていたとされる衣を再構築した物で暁の巫女に献上する予定だったみたいですね。しかし製作がなんらかの理由で打ち切りになった模様で、生地だけが残されている状態です。」
「すごく綺麗な生地ですね…」
「これは銀嶺蝶の蚕から紡いだ糸にエルフ達が魔力を通しながら魔糸にして、月虹石と陽光石の欠片を粉末上にして織り交ぜた布ですね。銀嶺蝶は世界樹の樹液でしか生きられない稀有な蝶でこの糸は世に出回る事はほとんどありません。」
「なんだかすごい事は分かりました…」
「イリス様はレティシア様の御息女ですから暁の巫女と言う事になりますね。こちらの布を使ってローブを仕立てるのはどうでしょう?」
「いえ!こんな貴重な生地なんて恐れ多いです!」
「千年の時を経て、ようやく完成する暁の巫女の衣…ロマンがあるじゃありませんか!」
サーシャの時も思ったけど、この人の魔導具に対する熱量半端ない。
普段からは想像出来ないんだよな…。
「エルフの長が良いって言ってるんだから良いんじゃないか?笑」
「でも…」
「イリス様!私達の悲願ですよ!!」
エルフの悲願っていうよりリシュエルさん個人の悲願じゃ…
「わ…わかりました。お願いします。」
イリスは押され負けした感じになる。
「では工房の方に御案内しましょう!皆さんも是非ご一緒に!」
リシュエルさんの熱量に押されて俺らも工房に連れていかれる。




