マルスの試練
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
マルスはシレジアの洗礼を受けるため、エルフの里の奥にある世界樹の祭壇へと向かった。
「マルス様。全てのマナの始まりと言われている世界樹の下では神殿同様の儀式が可能です。」
「洗礼では何をするんだ??」
「まずは風の魔力の有無を調べます。それからシレジアに伝わるアーティファクトの譲渡が可能か調べます。」
「シレジアが落ちる際になんとか持ち出す事が出来たのはそのアーティファクトだけでした…。これはシレジアの、シリウス神の魂です。」
「そうなんだ…。そのアーティファクトってどんなの?」
「白聖穹フレスベルクと言われる弓です。風を操ると言われる大鷲フレスベルクの力が宿ると言われております。フレスベルクに認められた者にしか弓を引けないと言われていて、私には引けませんでした。」
「エルバードもシレジアの末裔なんだろ?」
「私はシレジアの民ではありますが、王家の血縁ではありませんよ笑 私の家柄はただの侯爵家です。」
「侯爵様って偉いんじゃ…」
「国が滅んだ今、爵位なんてなんの意味も持ちませんよ。」
「皆さん、着きましたよ。」
リシュエルが到着を告げる。
とにかく世界樹はでかい。その神殿にあたる部分は世界樹の幹の一部になっている。
大きく口を開けたような幹の入り口から中に入っていくと、祭壇らしきものとフレスベルクと思われる弓が祀ってある。
「まずは魔力測定から行いましょう。」
言われるがままにマルスは水晶に手をかざす。
程なくして水晶が緑色に輝く。
「やはり王家の末裔たるお方。これほどまでに風の魔力が強く、美しい方はお目に掛かった事がありません。」
「マルス様はまた一つ、シレジアの王である証を見せつけられましたね。」
「そうなのか?よく分からないんだけど…」
「ふふ。それで良いのです。」
「ではフレスベルクを手に取ってみてください。」
「こうか?」
フレスベルクに手を掛けた瞬間、頭の中に声が響いてくる。
『汝、我を求めるか?』
「ん?誰だ?」
『我が名はシリウス。北の地を守護する者』
「あ、どうも。俺はマルスって言います。この弓、貰えますか?」
『なぜに求める?』
「これからでかい戦いがあるんだ。この前皆んなに迷惑かけちゃって…。もう誰かに悲しい想いはさせたくないんだ。その為には俺も今のままじゃダメだ。強くならなければ大切なものを守れないから。」
『お主は始まりの王に似ておるな…優しい風の子。』
「俺は親の顔も知らないんだ…。」
『そうか…。我がお主を見守ろう。お主ならこの地を守っていけるだろう。フレスベルクを許可する。マナを取り戻すのだ。』
「ありがとう!」
フレスベルクが翠の光を放つ。
弓に巻き付いていた白い装飾が羽となり、白い鳥が翼を広げたような姿に変わる。弓の中央部分には翠色の宝玉が現れる。
「すげぇ…かっこいい…」
「これが…フレスベルクの真の姿…」
「軽い…それに手に馴染む感じがする…」
「やはりマルス様は名実共に風の申し子でしたね。」
「マルス様、そちらの妖精王の弓ですが…私共にお譲り頂けないでしょうか?そちらは我々エルフの象徴でずっと探していたのです。」
「もちろんです!これ、オルフェリアの宝物庫にあったんです。」
「ありがとうございます!」
リシュエルはマルスから妖精王の弓を受け取り、祭壇に祀った。
すると世界樹の枝が弓を掬い取り、世界樹の一部となる。
「吸収された!!」
「妖精王の弓は世界樹から作られたものなのです。いわば充電している状態です」
「そっか。焦ったー笑」
「ひとまず儀式はこれで終了です。あとはシリウス神殿を取り戻した際に、シリウス神からの御加護を受けに行きましょう。」
「分かりました!」
「では皆さんの所に戻りましょう。」
マルス達は神殿を後にして、みんなの元に戻る。
「ただいまー!」
「マルスどうだった?」
「シリウス神と話したぞ!」
「マルス様は名実共にシレジアの王として認められました。」
「やったな!」
「それがアーティファクト?」
「白聖穹フレスベルクって言うんだ。」
「すげー!かっこいいじゃん!」
「アレスもトール神の持ってるじゃん!笑」
「まだ本調子じゃねーけどな笑」
「ゼニス様、俺の用事は終わったみたいだからいつでも出発出来ます!」
「母上、俺らもいつでも行けます」
「そうね。ひとまず今日は一晩こちらでお世話になりましょう。細かい所を詰める時間も必要ですし。リシュエル様、よろしいでしょうか?」
「はい。歓迎致します。」
俺達は一晩エルフの里にお世話になって、明日出発する事になった。




