心の傷痕
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
「食事の準備が出来ました!」
みんなで食卓に集まる。
「レジスタンスの方達がいないわね。」
「私、呼んできます。」
イリスは席を立って呼びに行く。
「エルバード様、フィン様、食事の用意が出来ました。」
「いや、私達がお邪魔する訳には…」
「私達は構いません。食卓にまで戦争を持ち込まれるおつもりですか?私は生まれた時から家族はいません。でも失うばかりではありませんでした。それを教えてくれたのが今の仲間達です。一歩踏み出す勇気を教えてくれたのも仲間達。食卓を囲む事が新たな一歩となるかもしれません。お料理も冷めてしまうのでどうぞ。」
「…。」
「ありがとうございます。」
2人もイリスの後に付いて食卓に座る。
「では、皆さんいただきましょう!」
「マルス、いっぱい食えよ!」
「はーい笑」
「皆さん、私から一言よろしいでしょうか?」
「なんですか?」
「アレス殿、先程は刃を向けてしまい、申し訳ありませんでした。トラキアのした事は今も許せません。しかしここにいる同胞を救ってくれた事は事実。その礼儀を欠いてしまった事に謝罪したい。そしてマルス様のご友人に失礼致しました。」
「気にしてねーよ。俺は俺だ。まだ王になった訳じゃねーけど、これから自分なりの答えってやつを見つけるだけだ。俺はそれしか分からねー」
「エルバードさん。俺もいきなり王家の人間だなんて言われても正直ピンと来ない。でももし俺が王家の人間だったとしたら、少なくとも友人と戦うような選択はしない。一度壊れたのなら新しい関係を築いた方が建設的だし、俺はアレスとだったら良い未来を築けると思う。」
「承知致しました。」
「とりあえず冷めちゃうから食べましょう!」
「いただきまーす!」
「おい!リーヴェ!俺の飯、横取りすんな!」
「ピィ!」
「なんかあの2人、兄弟みたいね笑」
「うん。楽しそう笑」
「リーヴェのご飯はこっちよー!」
「エルバード殿。こんな未来も悪くなかろう?」
「そうですね…。次の世代がきっと新しい未来を照らしてくれると信じます。」
世界もこんな風に皆んなが笑って美味しい食卓を囲めるようになれば、きっと不用な争いなんて起きないんだと思う。多分、本当は簡単な事なんだ。
食事を終えて、今後の話をエルバードさんが話す。
「今はオルフェリア、エルフの里、そして我々シレジアのレジスタンスとの会談が行われていました。議題は北部地方の統治とシリウス神殿の奪還について。邪教の事は我々も独自に調査していました。恐らく今やシリウス神殿は邪教の巣窟となっています。神殿を取り戻す事は北部地方の奪還を意味します。そこでシレジアの再興を議論していた所でした。ですのでマルス様の回復を待って、マルス様にも会議に出席して頂けたらと思っております。」
「分かった。2、3日中には出発しよう。」
「この会談にはアレスもトラキアの代表として出席すべきだと思う。神殿を奪還するならトラキアからも圧力を掛けられれば成功する確率は増える。正直、シレジアとエルフの連合軍だけでは戦力が足りないのは否めない。」
「仰る通りです。さすがベルナデッタ様の御子息。」
「だとしたら尚更シレジアはアレス様やトラキアに敵意を向けるのは得策では無いですね。」
「言葉もございません。」
「では準備を進めましょう。私も同席しましょう」
「クロード神父がいれば心強いです!」
「ゼニス様、その間にドーラのお墓を作っても良いでしょうか?」
「もちろんだ!」
「お養父様、レティシアお母様のお墓の側に作りたいのですが…」
「あぁ。案内しよう。」
ドーラのお墓は教会の奥にある共同墓地の少し離れた一角にあるレティシア様の隣に作る事になった。
「リーヴェ、お前の母ちゃんにサヨナラするんだぞ。」
「ピィ…」
「助けてあげられなくてごめんね…。でもドーラと約束したから。私達があなたを守る。そしてドーラの分もいっぱいの愛をあげるからね。」
「ピィ〜!!」
リーヴェはイリスの胸に飛び込む。
「やっぱりこいつ、言葉理解してるよな。」
「またドーラに会いに来ようね。」
「ピィ!」
そしてマルスの体調も戻り、エルフの里へと再び向かう事になった。




