ドラゴン爆誕!
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
その頃、イリスとクロード神父は交代でヒールを掛け続けた。
しかし進行を食い止める事は出来ず、バロールの刻印は少しずつ広がっていった。
ゼニス達がエルフの里に向かってから3日。呪い受けてから4日目。刻印は上半身を覆い、下半身へと伸びていった。
みんなに焦りの色が浮かぶ。
「お養父様…どうしたら…」
「私達は信じてやれる事をやるしかない。お前は少し休みなさい。」
「私もまだ大丈夫です。マルスは私を庇って呪いを受けたんです。私が倒れても絶対に死なせない。」
「それじゃあ皆んな共倒れになる。いいから休みなさい。」
「イリス…一旦休もう?お願い…」
「サーシャ…分かったわ…。お養父様、よろしくお願いします。」
イリスは一度別室に下がる。
イリスが横にらなろうとすると、荷物から物音が聞こえた。
「何かしら…」
物音のする方に行くとドラゴンの卵が僅かに揺れていた。
「え!!まさか…」
イリスは卵を抱えてサーシャ達の元へと戻った。
「卵が!卵が動いてるの!」
「え⁈産まれる⁈」
「分からない…。でも動いたの!」
「イリス、それは?」
「トラキアで出逢ったブラックドラゴンのドーラから預かったの。ドーラはレティシアお母様にお仕えしていたみたいなの。」
「なんと!!あのドラゴンか!」
「お養父様もご存知でしたか?」
「あぁ!私もよく知っているよ!懐かしいな…。ドーラは元気だったか?」
「ドーラは亡くなったの…。最期の力を振り絞って帝国から逃げて来たって。それで卵を託されたのです。」
「そうか…。とても聡明なドラゴンだったな。これもレティシア様のお導きか…」
その時、卵に亀裂が走った。
「イリス!」
卵が割れ、中から小さなブラックドラゴンが産まれた!
「ピィー!」
眠そうな小さなドラゴンはひと声泣いたと思ったらフラフラと飛び、アレスの頭の上に着地した。
「「えっ!!」」
「あ?なんだ?」
なぜか子ドラゴンはアレスの頭がお気に入りらしく、頭の上で落ち着いてしまった。
「おいおい、俺は母ちゃんじゃねーぞ?笑」
「なんでアレスなのかしら…どっちかと言ったらママはイリスじゃないの…?」
「私もちょっと複雑…」
「まぁ見る奴が見れば分かるってやつか⁈そっかそっか。お前、俺が好きか!」
なんだかアレスは嬉しそうだ。
「イリス!こいつに名前付けてやれよ!」
「あ、うん!何が良いだろう…」
「アレスJr.はどうだ⁇」
「「却下」」
「何だよ…2人して…」
「この子、男の子だよね…」
「リーヴェ…どうかな?」
「ピィー!!」
「あ、なんか喜んでるみたい!」
「おい、アレスJr.」
アレスJr.と呼ばれるとアレスの頭をガシガシ齧る。
「分かった分かった!リーヴェな!」
リーヴェと呼ばれると子ドラゴンは嬉しそうに喉を鳴らす。
「あなたの名前はリーヴェよ。よろしくね!」
「ピィ!」
リーヴェ満足そうにアレスの頭で遊ぶ。
「こいつ、なんで降りねーんだ?」
「なんかアレスJr.は嫌だけどアレスが好きみたいね。良いじゃない。可愛いんだし。」
「ドーラも元はトラキアが故郷って言ってたし、何か感じるものがあるのかしら?」
「うーん。」
アレスは複雑な表情をしながら座り込む。
「ドラゴンって何食べるのかしら?」
すると、何かを見つけたようにリーヴェはアレスから降りてマルスの方にヨチヨチ歩いて行く。
マルスに向かってリーヴェは大きく息を吸い込む。するとみるみるバロールの刻印が小さくなっていった。
「どういう事⁈」
「そうか!高位のドラゴンは闇を喰らうと言われておる。こやつがマルスの呪いを喰ったんだ!」
しかしまだ産まれたばかりだからか、全ては食べ切れずゲップをしてまたアレスの頭に登り、寝てしまった。
「おいおい…俺が寝る時はどうすんだよ…」
「しかし、これで時間は稼げる。それに少しずつでも呪いを喰らってくれれば消えるかもしれん。」
「リーヴェ〜!なんて可愛い子なの♪」
「ありがとう…リーヴェ…」
「私達も少し休もう。」
翌朝、リーヴェはアレスの腕の中でしっかりしがみついて寝ていたのであった。
アレスと寝たのはこの時だけで、基本的には寝る時はイリスと一緒。
しかしリーヴェが起きたら基本的にはアレスの頭が定位置らしい。
アレスはもう諦めて好きにさせている笑
なんだかんだアレスはよくリーヴェの世話をしている。多分アレスは動物好きなんだろう笑
まだ産まれたてのリーヴェには食べ切れないのかマルスの呪いはまだ完全には消えず、予断は許さない状況は続いている。
リーヴェのご飯は基本的には干し肉や果物を食べている。外に出ると虫なんかも食べている。
雑食なんだな。
日中はアレスやサーシャとお散歩に出かける。
孤児院では子供達に大人気。
そんな穏やかな生活が続いてマルスが呪いを受けて7日目の朝。ついにゼニス達が帰ってきた。




