VSジュリアス
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
急遽決まった選定の儀。
朝に集合して早速トール神殿へと向かう。
トラキアからトール神殿までは3日程で着くという。
選定の儀の内容は曖昧で良く分からなかったが、強い雷の意志を示した者が勝者となるらしい。
単純な武力って訳では無いらしい。
武力で決まるんだったらジュリアス殿下に勝ち目は無いだろうし…。
でもこの国は武力絶対主義だし…。そこら辺はどう影響するんだろうか?
トール神殿までは砂漠地帯をひたすら歩く。
というか、今回は馬で移動するんだけど。
イリスとサーシャは馬に乗れないから俺とアナスタシアが乗せていく。
確かにこの広大な砂漠地帯だと食糧の自給自足も大変だよな…。
そして暑い…。
夜営をしながら3日、トール神殿に到着した。
トール神殿は7層の塔になっていて、一般参拝は1層。祭事、式典関連は2層、3層が図書館?や宝物庫、4〜5層は神官達の作業場。6層が儀式関連で7層が屋上で今回儀式があるのは最上階の7層であるらしい。問題のアーティファクトは7層にずっと昔から安置されているらしい。ちなみに現国王は雷槍に拒絶されて触れなかったらしい。というより、しばらく触れた人がいないらしい。
これ、両者共に持ち帰れなかったらどうなるんだろ⁇
とりあえず案内されて塔を昇る。
ジュリアス殿下が到着されるまでは6層目で待機。
しばらくして近衛兵を引き連れたジュリアス殿下が到着。
お互い顔を見合わせず、言葉も発しない。
当然と言えば当然なんだけど、すごく気まずい…。
ほどなくして神官長がやってきて簡単な説明をして2人を案内する。俺らはそのまま待機。
あとは文字通り、神のみぞ知る…だ。
「では水晶に触れ、トール神に祈りを。祈りが通じた者が雷霆槍ケラウノスに触れる事が出来ましょう。」
その雷槍は石に突き刺さっている状態だ。
ようはこれを抜けるかどうかの話らしい。
「ジュリアス殿下、どうぞ」
ジュリアス王子が水晶に触れると水晶が黄色い光を放つ。しかしそれ以上は何も起こらない。
「アレス殿下、どうぞ」
アレスも同じように水晶に触る。
アレスの方がより黄色い光が強い。そして水晶から稲妻が走り、その稲妻が槍へと連なっている。
「アレス殿下、槍を。」
アレスは頷き、槍に手をかけようとした瞬間、ジュリアス王子は笑い出した。
「やはりな。やる前から分かっていた事だ。こうなるのを分かっていて父上はこの場を設けたのだな。俺に諦めさせるために!」
「兄貴…」
「だがな、俺はそのまま指を咥えて見てるだけでは無い。俺は必ず勝ち取らないと生きる意味も場所も無いのだ。」
そう言うとジュリアスはカエサルから貰った指輪の力を解放した。
指輪から禍々しい気配が漂い、ジュリアス王子の体を包んでいく。
その黒い煙がジュリアス王子の口から体内に入っていった時、ジュリアス王子はこの世の者とは思えない断末魔のような声をあげる。
「ぐぁぁああ!!…おおぉぉぉ!!」
「兄貴!どうしたんだ!!」
黒い煙がジュリアス王子を全て包んで飲み込み、その中から黒い翼が現れ、全てのモヤを吹き飛ばした。
その中から黒い翼が生えて肌が黒紫に変色し、耳も尖り、体中に呪印が刻印されたジュリアス王子が現れた。
「ひぃ!!」
神官長は慌てて逃げ出した。
「どういう…ことだ?」
「はぁ…なんだか気持ちが良いな。力が漲って来る。もっと前からこうしておけば良かった。」
「兄貴…」
「まぁその槍が無くても強い者がこの国の王になるんだろ?じゃあここでお前を殺せば解決か♪」
「その身体で親父が認める訳無いだろ!元に戻ってくれ!!」
「うーん。カエサルから戻り方は聞いておらんな…。一度だけだと言っていたがこの姿も悪くは無かろう。」
「アレス!!」
俺達も最上階に昇る。
「何⁈これはどういう事⁈」
「闇の力を感じます。…あれはもう人では有りません!まさか魔族化させた…?」
「おい!戻す方法はねーのかよ⁉︎」
「わかりません…ホーリーライトであれば…もしかしたら…」
「早くやってくれ!」
「分かりました。ホーリー…」
「おいおい。勝手に話を進めないでくれよ。それに黙ってそんな魔法を食らうとでも思うか?」
魔族と化したジュリアスは空へ飛ぶ。
「ダークストリーム」
無数の黒い風の刃が俺達を襲う。
「うわぁ!」
「きゃあ!」
不意打ちを受け、各々がダメージを受け、倒される。
「イリス!サーシャ!大丈夫か⁈」
「大…丈夫…です」
「く…」
「アーハッハッハッ!まさかお前を見下ろす日が来るとはな!なんて気持ちが良いんだ。笑いが止まらない。」
「おい!兄貴!やめろ!!こいつらは関係ない!」
「この場にいる者は殺されても良いと言う事だろ?弱い者は蹂躙される。これはトラキアの教えだろ?」
「違う!」
「何が違う?お前もそうしてきただろう?私を踏み躙ってきたようにな!」
もう一度黒い風の刃が俺達を襲う。
「マジックガード!」
イリスがマジックガードを展開する。
「女…邪魔をするな」
ジュリアスは瞬間移動したかのようにイリスの側に行き、爪を下ろした。
ガイン!
俺は間に入り、それを盾で防ぐ。
「こいつはもう人じゃない!躊躇うな!戦え!」
「氷葬剣 プレリュード」
アナスタシアが切り込むも黒き翼で防がれる。
「ファイアーボール!」
ファイアーボールの連撃も弾かれる。
「何なの、あの防御力!」
俺もすかさず切り込む。
「聖水剣コールドブリンガー」
しかし僅かにかわされて上空に逃げられる。
「今のはちょっと危ない技だ。」
くそ…空中だと手出しが出せない。
「おい!アレス!しっかりしろ!」
「なんで…こんな…」
「アレス!!」
俺はアレスの顔面を1発殴る。
「お前が言った覚悟はなんだ?思い出せ!!」
「ゼニス…」
「さて、そろそろ死んでよ。」
ジュリアスは呪文の詠唱を始めた。




