坊ちゃんとメイド
夕食の時間になり、サーシャがアレスを呼びに行く。
「アレス殿下、夕食のご準備が出来ました。」
「今行く。」
「あんたの世話する事になるなんてね〜」
「光栄に思え。なんならそのまま雇ってやろうか?」
「結構です!私は帰る所がありますからね。」
「お前、どこから来たんだ?」
「はぁ?前にも言ったじゃない。私はアルテナ王国第一王女のサーシャ・フリージアよ。本当無知なんだから…」
「は?お前、王女なの?」
「そーよ!」
「王女がメイドの格好してんの?」
「これはたまたまよ!!」
「へー。」
「ムカつくー!」
「似合ってるぞ笑」
サーシャはアレスを睨みつける。
「アレス殿下、お連れしてきました!」
「あらあらサーシャ、どうしたの?」
「いえ!何でもないです!」
「サーシャ、お仕事ですよ…」
アナスタシアの笑顔が恐い。
「はい…」
「では私達はこれで失礼します」
「ナタリア、こいつらもここで飯食わせてやってよ」
「それはいけません、殿下。」
「俺が良いって言ってるんだから良いだろ。こいつらは俺の側仕えにしたんだから♪」
「アナスタシアぁ…」
「サーシャ、我慢よ。」
「承知致しました。坊ちゃんにも戦う事以外にも興味が出来たのは良い事です…」
「坊ちゃんは辞めろ!」
「あらあら…では失礼致します」
ナタリアは下がっていった。
「坊ちゃん…」
「坊ちゃん」
「やめろ」
「坊ちゃん、私達も頂いてよろしいでしょうか?」
「サーシャ…辞めなさい…ぷ」
「てめーら殺すぞ?」
「はーい」
「ナタリア様とはお付き合いが長いんですか?」
「あぁ。ガキの頃からな。俺は母親が早くに死んじまったからな。」
「乳母みたいな感じ?」
「あぁ。」
「ナタリア様って良い人そうよね。」
「あの人はこの城で数少ないの良心ってやつだよ。あの人は俺が守らねーと。」
「へー。アレスって以外と優しい所あるのね。」
「あ?」
「レガリアの街でもアレス殿下は人気者だったものね。」
「そうか?」
「うん。」
「ところでお前らはいつまでいるんだ?」
「兄様が武闘会に出てる期間が一応リミットですね。それまでに証拠を掴まないと。」
「あー。なるほどな。だいたいあと5日って所か。」
「負ければ明日ですし。」
「あいつは負けねーだろ。決勝までは。」
「そう願ってますけど…」
「まぁ決勝で勝つのは俺様だけどな!」
ガハハ!と笑うアレス。
「普通にゼニスじゃない?」
「うん」
「なんならアレスよりアナスタシアのが強そう」
「有りよりの有り」
「てめぇ等…」
「あまりイライラするとハゲるわよ?」
「うるせー!」
「ほらほら坊ちゃん、お代わりはいかがですか?」
「ぜってー許さねー!!」
こうして協力者を得た女子2人であった。
武闘大会2日目は3回戦。
相手は魔導士だった。これも炎の中級魔法主体の攻撃で、サーシャとパーティ組んだお陰で(?)攻撃パターンや魔法の発現のタイムラグとかを把握出来ていたから対処も難しくなかった。
これってどの魔法でも研究すればある程度は対処可能って事だよな。
3回戦を終えて明日はべすと8。
今日から一日一試合だから今日はこれで終わりだ。
「おー!ゼニス!」
「アレス殿下、お元気そうで。」
「お前んとこの女2人、なんか紛れ込んでたぞ!」
「はい。ご迷惑をお掛けしていませんか?」
「あぁ笑 お前等の目的はアナスタシアから聞いた。とりあえずあの2人は俺の所で匿ってる…と言うかうちの管轄で働かせてる。城ん中はほとんどは信用出来ねー。捕まったら終わりだ。」
「ありがとうございます。」
「俺も気にはなってたから探りはいれてる。だからあんま危ない事はすんな。」
「はい。アナスタシアが殿下に話しているのであれば、私も隠す事は無いので。殿下からの報告を待ちます。」
「俺らはとりあえず決勝まで勝ち上がろうぜ!」
「はい。」
「なんかあいつ等に伝える事はあるか?」
「いえ。強いて言うならば、絶対に無理はするなとお伝えください。」
「オッケー!負けんなよ!」
「はい。精進致します!」
挨拶を交わしてアレス殿下は去っていった。
アレス殿下が味方になってくれるのであればあの2人の安全は大丈夫だろう。
ひとまずイリスとマルスにも共有するか!
宿に戻り、イリスとマルスにアレス王子との事を話す。
「一応保護されてるなら安心ですね…」
「そうね。何事も起きなければ良いけど…」
「ひとまず身の安全は保障されてるって事だから。2人の調査だと、やっぱりカエサル宰相が怪しい。そっちは何か街での情報はあったか?」
「そうですね…。冒険者ギルドとか酒場なんかの聞き取りもしたんですけど、これと言って…って感じです。ここ10年で税の徴収が年々重くなり、去年の干ばつの影響で更に食糧難と重税で生活は苦しいと聞きました。」
「王妃様が亡くなってから国王がおかしくなったって言う声は多かったですね。」
「王妃様が亡くなった後からカエサル宰相が政治の実権を握るようになったと言われている。あと少し、何か決定的な証拠があればな…」
「まぁここまで当たりが付けられただけでも収穫っすね!」
「そうだな。2人とも無理のない範囲で引き続き頼む!」
「はい。」




