最強武闘会・参戦!
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
翌日、俺は武闘大会に、サーシャ達は王宮に向かった。
俺は会場のコロシアムに着き、出番を待つ。
円形のコロシアムは360度観客に囲まれていて既に沢山の観客が入っている。
年に一度の大会で賞金目当てや名誉の為に有象無象の冒険者や騎士達が集まっていた。
「今年も沢山のお集まり、ありがとうございます!これからルールの説明をします!ルールはKO方式。どちらかが戦闘不能とみなされるか降参の時点で試合終了です。原則殺し合いは厳禁。しかし万一命を落としても責任は負いません。武器や装備品は自由となっております。自分のベストを尽くして覇者の称号を勝ち取ってください!」
結局殺しは自己責任って事か…。
「では、武闘大会の開催をここに宣言します!!」
ウォォォーーーー!!
怒号のような大歓声に包まれる。
すごい熱気だな…。
俺の初戦はレガリアの冒険者か。
俺の出番が来て舞台に上がる。
…うん。初戦は楽勝。俺も強くなってきたな。
今日はダブルヘッダーだから温存して戦えたのは良かったな。
その後の二回戦も難なく勝ち上がり、俺は明日のベスト16に駒を進めた。
サーシャ達は大丈夫かな…
「今日からお世話になります。よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いね!最近退職者が後を絶たなくて手が回らないのよ…。ではあなた達の部屋を案内しますね。」
侍女長に連れられて歩いていく。
「歩きながらで申し訳無いんだけど、簡単に説明するわね!あなた達には別館の担当をしてもらいます。主に各部屋の掃除と料理の配膳をしてもらいます。担当する部屋割は朝に割当をします。今日は私と一緒にやりましょう!」
サーシャはメモを取る。
「はい、着いたわ。ここがあなた達の部屋よ!」
2人分のベッドとワードローブがあり、グレードの高い宿の客室みたいな感じで普段泊まる宿より全然良い感じ。
(サーシャやアナスタシアの自室に比べたらそれは貧相だけど…)
生活自体は快適に過ごせそうな部屋だ。
「ありがとうございます。」
「これが制服ね!制服に着替えたら突き当たりの部屋に来てちょうだい!」
侍女長は部屋を出てパタパタ走っていった。
「なんか普通に快適な部屋じゃない?」
「ね!しかもメイド服とか一回着てみたかったの♪」
2人はきゃっきゃ言いながら着替えを済ませて侍女長の後を追った。
「今日はこの大広間の掃除をしましょう!ここは主に食堂ね。テーブルや調度品を吹き上げて、床の箒と水拭きね。道具はあそこの部屋に入ってるわ。ここまでで質問はあるかしら?」
「いえ。問題ありません。」
「あとはやりながら教えていくわね!」
「よろしくお願いします。」
「一つ質問よろしいですか?」
「何かしら?」
「なぜ人手が足りなくなったのですか?」
「えぇ…。最近粛正があったのよ…。」
「粛正…ですか?」
「ようは陛下やジュリアス殿下の意向に沿わない者達がリストラされたり処刑されたりしたのよ。」
「そんな事が…」
「それで逃げ出すように辞めて行った者も多いの。」
「ナタリア様はお辞めにならなかったのですか?」
「私は母の代からここでお世話になっているの。私も物心ついた時からここで働いているわ。簡単には辞められないわ…」
「そうなのですね…」
「以前はこここまで酷く無かったのよ。王妃様が亡くなってからね…。」
「王妃様はいつお亡くなりになられたのですか?」
「ジュリアス殿下が6歳、アレス殿下が3歳の時かしら。だから今から15年くらい前かしら。」
「さぞ悲しかったでしょう…」
「そうね…。王妃様はとてもお優しい方だったの。私達使用人も大好きだったわ。20年前の戦争も王妃様は最後まで反対されていましたね。王妃様が亡くなってから陛下もかなり気を落とされて…。」
「お察しします。」
「その頃かしら?カエサル宰相が陛下に代わって仕切るようになって、ここ5年程は皆が粛正を恐れるようになったのよ…。」
「カエサル宰相もこの国に仕えて長いのですか?」
「そうね…長いと言えば長いと思うわ。それこそ20年前の戦争の少し前だったかしら?中央から派遣されて来たんだったかしら?」
「中央といえば神聖帝国でしょうか?」
「そうよー。どういう経緯かまでは流石に分からないけど。あ、それは乾拭きで良いわよ。」
「わかりました。」
「とりあえず本館に行く事があれば気をつけなさいね。目をつけられたら牢屋行きよ。」
「こちらの別館は大丈夫なのですか?」
「別館はアレス殿下の居城だから心配無いわ。」
「げっ。」
「サーシャ?どうかしたの?」
「げっふ、げふ…埃が…」
「大丈夫?サーシャ?」
「イタ!」
アナスタシアがサーシャの尻をつねる。
「あらあらサーシャったら…部屋で一旦落ち着いてきたら?」
にこやかに笑うアナスタシアが恐い。
「そ、そうね!私一旦外に…」
そう言ってサーシャは一旦部屋を出る。
「いたた…アナスタシアったらあんなに強くつねらなくても…」
サーシャは尻をさすりながらぶつぶつ文句を言っている。
「は?お前ここで何やってんの?」
「え?」
サーシャの目の前に見覚えのあるガタイの良い男が見下ろしている。
「ア…アレス…殿下…ご機嫌よう」
「そんな格好で何してんだ?」
「あ…これには深〜い訳がありまして…」
「てめぇ…何企んでやがる…」
「ア…アナスタシア!!」
「何よ…また何か?ナタリア様、少し失礼致します」
アナスタシアはナタリアに一礼して外に出る。
「なんなのよ…あ。」
「お前もか…一体どういう事か説明してもらおうか?」
額に青筋を浮かばせながらアレスが尋問する。
「2人とも、大丈夫ー?は!!アレス殿下、お帰りなさいませ。」
「おい、ナタリア。こいつらちょっと借りてくぞ」
「は…はい。どうか寛大な御心で…」
サーシャとアナスタシアはアレスの自室に拉致されていく。
「で、どういう事か説明しろ。」
サーシャはアナスタシアに救いの眼差しを向ける。
アナスタシアは意を決してアレスに話す事にした。
「殿下、担当直入に申し上げます。トラキア王国に邪教徒との内通の疑いがあります。私達はその調査に来ました。」
「は?邪教?」
「先日のレイドの際にあった魔石を覚えていらっしゃいますか?」
「あぁ。あの黒い石か?」
「はい。先日、セレーネ神殿とメリル鉱山で同様にあの魔石によるスタンピードが起きました。」
「狙いはなんだ?」
「オルフェリアとアルテナ両国での調査の結果、恐らく各神殿のマナの弱体化が目的では無いかと。」
「マナの弱体化か。」
「それで次に狙われる可能性があるのはトール神殿、もしくはトラキア王国では無いかと。それで私達が先行して調査、神殿の保護を命じられてきました。」
「なるほど。それでお前達は使用人として潜り込んだと?」
「はい。他に手立ても無く…」
「はぁ…俺もその石に関しては調べている所だ。」
「進捗はいかがですか?」
「あの石の設置はカエサル宰相の指示だったみたいだ。それで成果があれば王都でも採用しようってな。」
「またカエサル宰相ですわね…」
「知っているのか?」
「私達はそのカエサル宰相が何らかの鍵を握っていると考えています。」
「どこまで知ってる?」
「20年前の戦争のタイミングで神聖帝国から派遣され、王妃殿下の御逝去以降は政治を意のままにしているとか。教会への支援金も止められたと聞いています。全てが怪しいと思いませんか?」
「…俺もカエサルには何か裏があると疑っている」
「何か証拠が掴めなければ私達は動く事は出来ません。」
「カエサルと兄貴は蜜月だ。簡単に尻尾は掴ませてはくれないだろうよ。」
「アレス殿下に御協力頂く事は可能ですか?」
「何だと?俺に兄貴を裏切れって?」
「これはもう身内だけの話ではありません。」
「アレス…お願い…」
「お前…!その格好でやめろ!」
「え?似合ってない??」
「馬鹿やろ!とりあえずそっちは俺が探っとく。お前らは絶対に本館の方には行くなよ!」
「ありがとうございます。」
「あいつらに捕まったら俺もやすやすと手出し出来ない。それだけは忘れるなよ!」
「肝に銘じます。」
「アレスありがと♡」
「チッ、ナタリアー!」
「はい。お呼びでしょうか?」
「こいつらを俺の専属の侍女にしろ。俺がいない間はナタリアの指示に従わせろ。」
「ありがとうございます!殿下、これ以上辞められたら困りますからね!」
「わかったよ!とりあえず飯にしよう!腹減った」
「承知致しました。あなた達も手伝って!」
「「承知致しました」」
2人はナタリアと共に夕食の準備に向かう。
「メイド服はヤベーだろ…あぶねー」
アレスはサーシャのメイド服姿に萌えていたのだった。




