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トラキアの王子

ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記ファンタジー

レガリアへの帰還途中、アレスが俺に話し掛けてくる。

「さっきは悪かったな。」

「いえ、自分の方こそ殴ってすみませんでした。」

「良い判断だったよ。あんた、どこから来た?この辺の連中じゃねーだろ?」

「自分達はオルフェリアから来ました。」

「オルフェリア?なんでレガリアまで?」

「トラキアで開催される武術大会に出場しようと思ってます。」

「お!あれに出んのか?」

「その予定です。」

「じゃあ勝ち上がってこいよ!そんで俺と勝負しろ!」

「恐れ入ります。」

「あんた、強えーだろ。俺は2度も負けねー」

「え?」

「さっきの獲物は譲ったが、タイマンじゃ負けねーよ」

「期待に応えられるよう頑張ります。」

「俺はアレス・ローランド。あんた名前は?」

「オルフェリアのゼニス・レオンハートと申します。」

「あぁ…どおりで。レオンハート侯爵家だったら納得だな。」

「殿下は当家をご存知で?」

「あぁ。剣術では並ぶ者無しと言われてるからな。そこの次期当主が俺と歳が同じって聞いてたから興味あってな!あんただろ?次期当主って。」

「仰る通りでございます。」

「なら尚更負けられねーな。レガリアのギルドに行って通行証の発行を頼んどく。必ず来いよ!」

「ありがとうございます。」

「あー…あとあんた」

「私?」

「名前は?」

「サーシャよ。サーシャ・フリージア」

「お前も観に来いよ!」

「はいはい。」

「じゃあ俺はここで!闘技場で会おう!」

アレス王子は嵐のように去っていった。

「なんかサーシャ、えらく気に入られたんじゃない?」

「げ!!やめてよ!」

「でも見た目はサーシャのタイプでしょ?」

「イヤ!あんな野蛮な男!!」

「そうかー?俺は似た者同士だと思うけど…」

「何ですって?」

「おぉ〜恐っ!」

「でもタイプよね?」

「だーかーらー!!」

「有りか無しか?」

「有…よりの無し!」

「あ、これは無しよりの有りね。」

「やっぱり見た目タイプだったのね…」

「え、待って!ちょっと、恐い!」

サーシャが来てから本当うちのパーティは賑やかになったなぁ…笑


そうこうしている間にレガリアの街に着き、ひとまずギルドに報告に行った。

なぜか拍手で出迎えられ、握手なんかも求められた。

なんでも俺達に助けられた冒険者が先に報告してくれてたらしい。

ギルドからは討伐報奨金として金貨5,000枚を受け取り、マンティコアの一部を譲渡されるらしい…。ケルベロスの時もそうだったけど、何に使えるんだか…。とりあえずギルドで保管してもらう事にする。

またアレス王子から特別通行許可証も発行され、トラキア王国に行く準備は整った。

「おい、兄ちゃん達!」

俺はギルドにいた冒険者に声を掛けられた。

「俺はそこのシスターに命を救ってもらった奴だ。あの時はありがとう」

「いえ。ご無事で良かったです。」

「生きて帰ってこれたのは兄ちゃん達のお陰だよ。良かったら一杯奢らせてくれないか?」

俺らは男の好意に甘えさせてもらう事にした。

「兄ちゃん達、強いんだな!どっから来たんだ?」

「俺達はオルフェリアから来ました。」

「どうりでここら辺で見ない訳だ。これからどうするんだ?」

「トラキアの武術大会に参加します。」

「あれに出るんか!応援するよ。」

「ありがとうございます。アレス殿下からも勝ち上がって来いと言われました。」

「あの人に目付けられたんか笑 あの人は強い戦士が好きだからな。」

「アレス殿下とは親しいのか?」

「そうだな。よくここで任務終わりに一緒に飲んでるよ!」

「庶民派なんだな。」

「あぁ!あの人は豪快な人だから笑 俺ら冒険者にも分け隔てなく接してくれるよ。昔からそういう人なんだ。」

「古い付き合いなのか?」

「俺はもともとトラキアの騎士団にいたんだ。あの人が15歳の時に俺のいた部隊の騎士団長として来てな。」

「15歳で騎士団長?」

「そうだ。当時からあの人は強かったよ。俺をはじめ、最初は反発もあったんだ。だけどあの人は誰よりも先陣を切り前に出て戦う。そして勝利のあとは豪快に笑いながら酒を飲むんだ。」

「未成年の癖に…」

「ははは…。そういう所も含めて皆んなあの人が好きになっていったんだよ。」

「へー。以外と人望があるのね。」

「ただあの人は第二王子だ。本人が望む望まないは別として王位継承権争いは起きる。そこから距離を置くように1年前くらいに騎士団を辞めて冒険者を始めたんだよ。」

「なるほどな…。」

「前に酔い潰れた時に言ってたよ。自分が王宮にいるだけで無駄な血が流れるって。いつも犠牲になるのは立場の弱い奴だから。だったら自分はいない方が良いってな。だから悪い人じゃないんだ。嫌いにならないでやって欲しい。」

「あの人はあの人なりの苦労があるんだな…」

「まぁちょっと乱暴な所は玉に傷だけどな笑 責任感の強い人なんだよ。」

「色々聞けて良かったよ。」

「あとトラキアに行くなら第一王子派閥には気をつけろ。あれに目を付けられたら厄介だからな。」

「なんかあるのか?」

「ここ最近は王家に意見する奴や王家に仇名すと判断された奴は片っ端から捕まって処刑されてる。出る杭は打たれるってやつよ。」

「忠告、ありがとう。」

「おぅ!また会ったら飲もうぜ!」

男は会計をして出ていった。

「やっぱり雲行きが怪しいですね…」

「目立つ行動は気をつけよう。」

レガリアの長い一日が終わった。

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