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Update

ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記ファンタジー

謁見を終えて、控えの間に通された俺達は各々動揺を隠せないでいた。

「お養父様…」

「イリス…こんな形で話す事になってすまない…」

「良いのです。育てて頂いた事だけで感謝はすれど憎む事はございません。ただ…混乱していて…」

「いきなり帝国の跡継ぎと言われてもな…」

「イリス。お前の母君はお前の幸せだけを願っていたよ。運命に翻弄されたとしても、お前の望む道に進めば良い。お前が望むのであれば、私はいつでもヴェルドラの森で待ってるから。」

「お養父様…」

「そうね。イリスは私達レオンハート家にとっても身内同然。私達レオンハート家もオルフェリア王国もあなたを守るわ。」

「それにあなたは私の部下でもあるのよ?あなたの事は私が責任を持つわ。」

「皆さん…ありがとうございます」

「イリスは良い人達と巡り会ったのだな。」

「イリスの事は俺が守ります。」

「ゼニス様…」

「私もイリス様を守ります。ずっとお側でお守りします。」

「アナスタシア…」

「イリスはイリスよ!イリスが何者であっても私達の友情は何も変わらないわ!」

「そうだな。俺らの絆は変わらないさ!アルテナの王女様もここにいるしな。」

「ちょっと!なんか棘があるわね!」

「たまにサーシャが王女って事を忘れる時があって…」

「王女だって人間よ!」

「サーシャ、マルス…ありがとう…」

「とりあえず今まで通り、イリスはセレーネ神殿所属のシスターとして扱いましょう。」

「そうね。それが良いわね。」

「では我々は先に領地に戻る。気をつけて行きなさい。」

「私も神殿に戻ります。」

「イリス、運命なんかに負けちゃダメよ。あなたは1人じゃない。それだけは忘れないで。」

母様がイリスを抱きしめる。

「ベルナデッタ様…ありがとうございます。」

両親とマイア神官長を見送り、俺らだけになった。

「なんかとんでもない状況になったな…」

「まずはトラキア王国の事を考えよう。」

「あそこはアルテナの魔法至上主義とは違う、武芸における実力至上主義だから…血の気が多い連中が多いんだよ」

「邪教の事もある。細心の注意を払おう。」

その時、控えの間の扉が開き、文官らしき御老人がやってきた。

「では宝物庫の方に御案内致します。皆さんもこちらへ。」

文官に案内されて宝物庫へと向かう。

「こちらが宝物庫ございます。こちらの中からお選びください。あの扉より奥は厳重な結界で守られている閲覧禁止区間となりますので御注意ください」

そう言われて俺達は宝物庫の中を見て回る。

確かに国宝と言われるだけあって市場には出回らないであろう高価な物ばかりだ。

各々ひと通り物色したあと俺は刀身が青白く輝く一振りの剣が気になって手をかけた。

「そちらは聖剣カリバーンですな。初代オルフェリア王が使っていたともされる聖剣です。水竜の加護が宿ると言われていて、持主を護るとも言われていますね。」

「へぇ…」

手に吸い付くような感覚。悪くないな。

「これにします!」

「承知致しました。」

俺は早速腰に付けさせてもらった。

「こちらはどういう剣なのでしょうか?」

アナスタシアが文官に呼びかける。

アナスタシアが手にしたのは青い宝玉がついた銀の装飾が美しいレイピアだ。

「こちらは水精剣カスタリアでございます。こちらも水の加護付きの小剣で水の精カスタリアそのものが剣になったとも伝承があります。」

「とても軽いわ…私はこれにします。」

「どうぞお持ち帰りください」

やはり水の加護のレオンハート家は水の魔力に惹かれるのだろうか?

「マルスはどうだ?」

マルスの方を見ると、マルスは一つの弓を抱えて見つめている。

「こちらは妖精王の弓ですね。こちらは風の加護が付与されていて、狙った物は外さないと言われております。」

「なんか懐かしい感じがするんだ…初めて会ったのに初めてじゃないような…不思議な感覚」

「良い弓だな。マルスに良く似合ってるよ。」

「俺…これにします!」

「はい。承知致しました。」

マルスは大事そうに弓を抱えている。

「イリスは決まったか?」

「すいません…私はまだ…。」

「焦らなくて良い。ゆっくり探そう!」

「ありがとうございます。私はベルナデッタ様から頂いた杖がありますし…」

「悩むな…」

「ゼニス様に選んで頂いてもよろしいですか?」

「それなら…このローブなんてどうだ?」

俺が選んだのは白のローブの少し変形タイプのもので、全体的なシルエットは花弁のようにも見える。ところどころに金の刺繍が施されていて上品なローブだ。

「こちらはアンティアの聖ローブでございます。花と純潔の女神の祈りが込められていると言われていて、神聖魔力の増加と闇魔法耐性、毒耐性が付与されております。」

「どうだろうか?」

「はい。気に入りました!」

「皆様お決まりになりましたな。控えの間にお連れ致しましょう。」

各々武器やローブを頂き控えの間に戻り、今後について話し合う。

「俺らも宿に戻ろう。」

「ゼニス様、ちょっと外出して来ても良いでしょうか?」

「どうした?」

「グレタおばさんの所に顔出しておきたくて…」

「お!そうだな。今夜はドワーフの酒場で夕飯にしようか!」

「ありがとうございます!」

俺らは宿に荷物を置き、ドワーフの酒場へ向かった。


「こんにちはー!」

「まだ開いてないよ!…あんた達!」

「グレタさん!ガンゾさんからこれ預かってきたよ!」

「あんた!兄さんは元気してたかい?」

「それが…」

グレタさんにガンゾさんとの一連を説明する。

「ありがとう…あんた達は命の恩人だよ…ありがとう…ありがとう…」

「グレタさん、顔上げてよ!俺らもグレタさんの役に立てて良かった!」

「無事で良かったです。ガンゾさんも元気になりましたし、これでまた美味しいコーヒー飲めますね!」

「そうだな!俺らも食い逃げにならなくて済んだし笑」

「ありがとう。よし!今日は全部この店の奢りだよ!好きなだけ食っていきな!」

「やったー!ありがとー!」

他の従業員のドワーフにも感謝され、俺達は誇らしげだった。

「マルス、良かったな。」

「はい!」

こうして俺らはドワーフの店で文字通り満腹になり、宿へ戻った。

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