真夏の夜の夢
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
食事も終え、歓談タイムになったところで
「イリス、ここの王宮の中庭は行ったかしら?」
「え?まだです」
「夜の中庭の散歩も私のお気に入りなの。良かったら行かない?」
「良いですね!」
「みんなも良かったらどう?」
「そうだな。」
「では行こうか。」
俺達は中庭に出て散策する。
「マルス、あそこのパティオからの景色は良いぞ!」
「え?どこっすか?」
「あの池んとこだよ!この時期は蛍も見れるんじゃないかなー?」
「蛍…見た事ないです。」
「お!そうか!マルス、アナスタシアを連れてってやったらどうだ?」
アーサーはまたウィンクして合図してくる。
「あ…はい…」
「では行きましょう」
マルスとアナスタシアはパティオに向かっていく。
(マルス!頑張れよ!)
「とても静かで落ち着きますね…」
「あ…あぁ…」
「どうしたんですか?何かありました?」
「いや…その…これ!アナスタシアに!」
「え…?」
「ほら!手袋のお返し!まだしてなかったから!」
「私に贈り物…ですか?」
「おぅ!あ…開けてみてくれ!」
アナスタシアは包みをあけて小さい箱を取り出して開けてみる。
「わぁ…綺麗…」
青いピアスが月夜の光を受けて、より一層と輝きを放っている。
「気に入ってくれたかな…?」
「嬉しいです!」
「良かったぁ!」
「付けてみても良いですか…?」
「もちろん!」
「どうですか?似合いますか…?」
「あぁ。アナスタシアに似合うと思って買ったんだ!似合わない訳が無いだろ!」
アナスタシアは真っ赤になって照れる。
「マルス様…ありがとうございます。一生大切にします。マルス様から初めてもらった贈り物…」
「あ…アナスタシア!蛍だ!」
その時、蛍が一斉に光りだした。
「すごい…綺麗…」
蛍達が祝福してくれてるかのように光っている。
2人は蛍の光の中、そっと手を繋いだ。
「どう?中庭は。」
「とても広いですね!」
「そうねー。あの先のベンチからアルテナの街並みが見渡せるのよ!」
「へー!見たいです。」
「ゼニス、アルテナに来てからイリスとの時間はあまり無かったでしょ?私はこれで失礼するから2人でゆっくりしてって!」
「あ…あぁ。」
「じゃあごゆっくり〜♪」
サーシャは2人を置いて戻っていった。
「なかなか気の利いた事をしてくれるな…笑」
「はい…笑 ゼニス様、これをお渡ししたくて…」
「ん?何だ?」
「開けてみてください。」
俺は包みを開けてみる。
「これは…時計?」
「はい。懐中時計です。髪飾りのお礼をしたくて、サーシャに付き合ってもらって選んだのです。」
「俺のために…ありがとう。大事にするよ!」
「私、いつも与えてもらってばかりだから…何かお返しがしたかったので…」
「俺はイリスが隣にいてくれるだけで十分だよ。」
「もし2人が離れてしまっても、この時計が私の代わりにゼニス様をお守りします」
「離さないけどな!」
「はい…//」
「またゆっくりアルテナに来ような…」
「はい。ゼニス様と一緒に…」
「お、サーシャ1人か?」
「はい。お兄様もお一人で?」
「あぁ。ウブな2人の後押しをな。」
「私もイリス達のアシストしてきましたわ。」
「俺も彼女欲しいなー。」
「お兄様は落ち着いた方がよろしいのでは?」
「俺はまだ良いんだよ!」
「はぁ…」
「そういうお前はどうなんだよ!」
「私はそのうち運命の王子様が迎えに来てくれますから。」
「このじゃじゃ馬を迎えに来れる奴がいるのかねー?」
「失礼な!いますよ!どこかに!!」
「変な男にだけは捕まるなよー」
「お兄様も遊び過ぎて刺されないようにお気をつけて!」
「それは怖い…」
「アデルお兄様の所に戻りましょうか…」
各々のミッションを達成した俺らはまたアデル殿下の元に戻って談笑する。
こんな楽しい時間がずっと続けば良いのにな…
「ではこの辺にして、今日はお開きにしようか。明日の朝、宿に迎えを寄越すから我々は王宮で待ってるよ。」
「はい。ご配慮ありがとうございます」
「今日はお食事にお誘い頂きありがとうございました。」
「ではまた明日!」
「失礼致します。」
こうして俺らはアルテナ最後の夜を終えたのだった。




