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北の戦争

ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記ファンタジー

「さて!みんな行きたい所はある?」

「そうね…何があるのかしら?」

「うーん。特に立ち入りが禁止されていなくて他に無いものだったら…王宮図書館かしら?」

「図書館?」

「アルテナの王宮図書館は大陸随一の魔導書の数を誇るの。数だけではなくて、貴重な文献なんかも多く蔵書されてるわね。」

「私、魔法について調べてたい事があるの!」

「イリスが?」

「はい。神聖魔法に関する文献があれば…」

「分かったわ!一緒に探しましょ!」

「私も興味あるわ!」

「アナスタシアは読書好きだもんなー。」

「うん…。あと20年前のシレジアの侵略戦争の文献も見ておきたいわ。」

「じゃあ案内するわね!」


サーシャ達御一行は図書館へと向かった。

図書館の扉を開けると、目の前にはまさに圧巻と言うべき光景だった。

想像を超える本の数々はもはや芸術として美しい建築を見てる気にさせられる。

「うわぁ…凄い…」

「でしょー?確か魔法関連はあっちのエリアだったと思ったけど…」

サーシャが案内してくれる。

「じゃあ皆んなで手分けして探しましょ!」

イリスとサーシャは神聖魔法の文献を、アナスタシアとマルスは20年前の戦争の文献を分かれて探す。

「やっぱりなかなか神聖魔法に関する文献は少ないですね…」

「そうね…神聖魔法に関する情報は神聖帝国の専売特許みたいな物だから…」

「なぜあまり情報が無いのかしら?」

「そもそも神聖魔法は女神由来の古代魔法で一般的な属性魔法とは毛色が違うの。暁の巫女が代々扱えると言われていて、使用者が限定されてる事もあって忘れ去られた魔法と呼ばれてるくらい」

「暁の巫女…サーシャは物知りね!」

「魔法に関する知識は嫌でも勉強させられるの笑」

「偉いわ…私は知らない事ばかり…」

「学院の授業で聞いたんだけど、神聖魔法は主に回復魔法と補助魔法が中心で古代には攻撃魔法も存在してたみたい。ただその扱いには暁の巫女の一族のみが使えるみたい。一般的な神官が使える唯一の攻撃魔法にホーリーがあるんだけど、これはある程度の修練を積めば誰でも身につけられるって聞いたわ。もっともホーリーを習得出来るのは神官長クラスらしいけど。」

「なかなか遠い道のりね…」

「あ!これなんてどう?失われた古代魔法辞典」

サーシャは一冊の本を取り出してペラペラとページを捲る。

「あ…この模様…」

とあるページでイリスが何かを見つけた。

「ん?神聖魔法のページね…」

「サーシャ…これ…」

イリスはサーシャに母親の形見のアミュレットを見せた。

「同じだわ…」

「母の形見なの。」

「イリスのお母さんは神聖帝国に関わる人だったのかしら…?それとも暁の巫女と関係が…?暁の巫女の一族は滅んだと思ってたけど…」

「分からない…」

「この事は他に知ってる人はいる?」

「私を育ててくれたクロード神父様だったら何か知っているのかも…」

「そうね…。今は手掛かりはそれしか無いわね。」


一方、アナスタシアとマルスは戦争について調べていた。

「やっぱりどの文献でもはっきりとした原因は書かれてないですね…。アーティファクトの略奪目的、軍事領土の拡大…。」

「でもおかしくないか?領土の拡大が目的だとしたらなんでシレジアは誰も支配してないんだ?一応ローランドの管轄ではあるにしろ…」

「確かにそうですね…。なんならシレジアを落とした時点でヴェルドラ辺りもトラキア側にあってもおかしく無いのにヴェルドラはトラキアの支配下では無い…」

「俺らもヴェルドラでトラキアの兵士なんて見た事ないぜ?」

「うーん…。今はシレジア王国の人達はどうなったのかしら?」

「噂だとレジスタンスとして祖国奪還に向けて活動してるっていう噂はあるけど、実際の所は分からないな」

「ん…」

アナスタシアは上段にある本を取ろうとしたが届かない…。

「これか?」

ひょいとマルスが軽々しく取る。

頭上からマルスの声が掛かり、アナスタシアの心臓が跳ねる。

「あ…ありがとう…」

「シレジアの歴史か?」

「うん。私、戦争の事も北部地方の事もあまり良く知らないなって」

「俺も良くは知らないからなー。」

文献によると、シレジア王国は風のマナの守護国で風の英雄シリウスの直系であるシレジア家と傍系のジェノバ家から国王が選ばれていたそうだ。代々各家から選出された代表者が風の神殿で洗礼を受け、より風の加護が強い方が国王となるとされていた。

王国歴880年。結果に不服を唱えた当時のジェノバ家当主がトラキア王国と手を結び、クーデターを仕掛けるもシレジア公家に制圧され、以降はシレジア家が国王となる事が決められた。

「これって、トラキア王国との繋がりは以前からあったって事よね…」

「そして20年前の侵略戦争…トラキアでは100年戦争とも呼ばれてたな。」

「それって…120年前と20年前の戦争。何か繋がりがあるような気がする」

「無関係では無さそうだな。」

「シレジアもジェノバも元は同じ風の民よね?彼らから話を聞ければ良いのだけど…」

「生き残りがいるかどうかは分からないな…。案外、俺が生き残りだったりして?笑」

「マルス様が?シリウス様に怒られますよ?」

「酷い!泣」

「ふふ。どちらにせよ、シリウス地方に行かない事には何も分からず仕舞い…って事ですね。」

「そうだな。」

「二人とも、何か分かったー?」

サーシャが声を掛けてきた。

「うーん。気になる事はあるんだけど、北の地方を調べないと分からないわね…」

「そっちは解決したのか?」

「私も気になる事があって…クロード神父様にお話しを聞く必要があるの。」

「どっちも北か…」

「まずは兄様とも相談して今後の事は決めましょう。」

「とりあえずここを出ましょうか!」

サーシャに促されて図書館を後にする。


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