アルテナの3兄妹
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
サーシャ達と別れたあと、俺達はその足で王宮に向かった。
オルフェリア国王の書状のお陰で城内にはすんなり入れたが何やら城内が騒がしい。
通された部屋で待つ事、1時間…。
扉が開いて、1人の男性が入ってきた。
「遅くなってすまない。私がアルテナ王国第一王子のアデルだ。」
「お初にお目に掛かります。オルフェリア国王陛下の勅命でやって参りましたゼニス・レオンハートと申します。」
「同じくアナスタシア・レオンハートと申します。」
「レオンハート騎士団所属、マルスです。」
「セレーネ神殿から参りましたイリスと申します。」
アデル王子は真っ赤な長い髪を一つに束ねた美男子だ。魔法力は他の追随を許さないとされ、圧倒的な力を誇る。それに人格者とも知られている。
現国王が高齢で療養中であるため、第一王子のアデル殿下が政務を、第二王子のアーサー殿下が軍部を統括しているらしい。
「遠路はるばる御苦労だった。オルフェリア国王からの勅命とは?」
「はい。こちらが陛下から承った書状でございます」
「拝見しよう。」
アデル殿下が書状を確認して険しい表情になる。
「こちらがその例の魔石でございます。」
「ふむ…。詳しくは分析してみないと分からないが闇魔法の付与がされているのは明らか。意図的にスタンピートを起こす為に使われたか…」
「スタンピート…」
「我が国でも最近魔物の増加が見られる。先日、メリル鉱山で崩落事故が起きたのだが、魔物の仕業との報告もあって魔法騎士団を調査に行かせてる所なのだが…」
「何か問題でもありましたか?」
「調査団との連絡が途絶えた。」
「それは…」
「詳細がまだ掴めないのだが、最悪の事態も考えられる。これ以上の被害を出さない為に、弟のアーサーが追跡調査に向かった所だ。」
「アーサー殿下自らでしょうか?それは危険なのでは…」
「近隣の村にも被害が出ている。何より鉱山の停止はアルテナにとっては死活問題なのだ。」
「それは何故でしょうか?」
「アルテナを支えているのは魔法だけでは無く、魔導具の発展にもある。魔導具の生産には鉱山での採掘がとりわけ重要な意味を持つんだ。鉱山が麻痺すればいずれ魔導具の生産と供給が滞るだろう。そうすれば極論、アルテナ王国自体の無力化も可能となるという事だ。」
「もしそこまで計算されていたとしたら…」
「国家の存亡に関わる事態になる。それにセレーネ神殿での一件を考えると、ヘリオス神殿も危うい。そちらにも警備を割かなければならない。」
「お兄様…」
「サーシャか。今は会議中だ。」
「私もメリル鉱山へ行きます!」
「何を言っているんだ?お前はまだ半人前だろう。危険な場所と分かっていて許可するはずが無いだろう」
「アーサー兄様単独ではあまりにも危険過ぎます!」
「お前が行って何か変わるのか?アーサーの足手纏いになって共倒れになったらどうする?」
「でしたらこの者達の同行をお許しください」
「何だと?」
「私は先刻までこの者達と行動を共にしておりました。オルフェリアの蒼の称号に恥じない強さをお持ちです。」
「他国の騎士を無断で借りられる訳が無かろう!」
「それではアーサー兄様が!」
「先鋭ながら、発言を許可して頂けますでしょうか?」
「なんだ?発言を許す」
「私達はオルフェリア王の勅命でアルテナには参りましたが、我々の役目は書状をアデル殿下にお渡しする事までです。その後、【友人】のサーシャ殿下と【たまたま】鉱山方面に観光をしに行った…という事にしてはいかがでしょう?」
「それで良いのか?」
「はい。友人の願いであれば友として答えない道理はありません。」
「お兄様!お許しください!土地勘は私がいれば効率的に鉱山まで行けます!」
「オルフェリアの騎士達よ、本当にそれで良いのか?私達の為に危険を犯すと言うのか?」
「はい。承知の上です。」
「友人のサーシャが望むなら、私達は彼女の助けになりたいと思います。」
「…分かった。すまない。ただし、サーシャの安全確保が最優先!危険を感じたら直ちに帰還せよ!」
「ありがとうございます、お兄様!」
「サーシャ!」
「はい」
「これを持って行きなさい。」
アデル殿下は自らの指から指輪を抜いてサーシャに渡した。
「これは我が国に受け継がれる魔導具で魔法力を高め、持つ物の能力を引き出すと言われている。必ず無事で帰ってきなさい。」
「ありがとうございます…必ず無事に帰ってきます!」
「それではオルフェリアの騎士達よ、妹達を頼む!」
「「は!」」
そして俺達は足早に王宮を出て、手配された魔導船に乗って鉱山へ向かった。




