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爆弾魔法少女・参上!

ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記ファンタジー

-翌日-

「今日も良い天気だなー!」

「とても気持ち良いですね」

「アナスタシア!あそこに見える山はなんですか?山から煙が出てる…」

「あれはヘリオス火山ですね。」

「火山…?」

「はい。不死鳥が住むとも言われていて、火のマナのヘリオス神殿もあの山の麓にありますね。」

「そうなんですね。すごい高い山…」

「火山が見えたとなるとリンドポートまであと半分ってところかな?」

「ところでマルス様の姿が見えないですね…」

「うへぇ〜気持ち悪い…」

「マルス、酔い止めの薬は飲まなかったの?」

「こんなに揺れると思わなかった…」

「マルス様、今からでも飲んだ方が良いですよ?」

アナスタシアはマルスに薬を渡す。

「ありがとう…」

「お嬢様、大丈夫ですか?」

「無理…死んじゃう…」

あっちはあっちでサーシャ王女が絶賛船酔いの真っ最中だ。

「もし良ければこちらの酔い止めの薬使ってください」

イリスが駆け寄ってクラリスに薬を渡す。

「あ!すいません。助かります」

クラリスは御礼をしてサーシャ王女に薬を飲ませる。

「お嬢様、横になりましょう」

クラリスはサーシャ王女を連れて船室をへと戻っていく。

「度々ご迷惑をお掛けして申し訳ありません…」

クラリスは何度もお辞儀して去っていった。

「お転婆お嬢様の侍女も大変だな笑」

「そう考えるとアナスタシアはしっかり者ですね。」

「私は兄様が剣術ばかりだからその反動ですかね…」

「さて、マルスの介抱でもしてくるかな…」

「こんな感じです。」

「ふふ。兄妹仲が良いのは良い事ですね。」

イリスとアナスタシアは顔を見合わせて笑っている。


しばらく船を進めていくと、さっきまでの晴天から気づけば急に霧が辺りに立ち込めていく。

「嫌な予感がする…」

「兄様…」

「あぁ…これは厄介な敵に会ってしまったかもな…」

その時、見晴らし台の上から船員が叫ぶ。

「魔物だ!魔物の群れに囲まれた!!」

セイレーンの群れだ。

「やっぱりセイレーンか…!」

「この船に冒険者はいるか⁈」

船員が声を掛ける。

「ここは俺達が引き受けよう!船員は乗客の避難を!」

「助かる!無事を祈る!」

現れたセイレーンは5体。

「ち、海の中からだとこっちからは攻撃が届かない…!」

「セイレーンは水魔法耐性があって私の氷魔法も弾かれてしまいます!」

「俺に任せろ!イーグルワインダー!」

二本の矢が鳥の形になってセイレーンへ向かっていく。

マルスが2体仕留める。船酔いで潰れていた奴とは思えない正確さだ。

「よし!マルス頼む!」

「もういっちょ!!」

さらに2体のセイレーンを倒す。

「この調子でいけば…」

その時、残りのセイレーンの一体が歌を歌い始めた。

「く…頭が…割れる」

「精神攻撃…」

セイレーンの歌は聞く者の精神を揺さぶり、動けなくなったり強制的に眠りに落ちると言われている。特に男性への効果が強い。

それに他のセイレーンを呼び寄せる効果もある。

セイレーンの歌声に新たに3体のセイレーンが現れる。

「矢が…射れない…」

「キリが無い」

くそ!ここが海の上じゃなければ…

その時。

ドスドスドスドス!

足音が甲板に向かって響き渡る。

「人が気持ち悪くて寝てるって言うのに…」

「ピーピーピーピーうっさいのよぉ!!」

「ファイアーボール!!」

サーシャが海目掛けて炎の連撃を放つ。

セイレーンの断末魔とともに辺りの霧が晴れていく。

「子守り歌だったらもっとマシなの聞かせて欲しいわ!!」

怒り心頭といった様子でサーシャが吐き捨てるように言った。

「すげぇ…」

マルスは感嘆の声をあげる。

「当然よ!」

サーシャはドヤ顔を見せる。

「ただのお転婆爆弾娘じゃなかったんだな…」

「何よそれ!」

「わわわ…サーシャ様、申し訳ありません!」

「あら、先程はお薬ありがとう。とても良く効いたわ!お名前を聞いても?」

「セレーネ神殿で蒼の乙女の神官をしております、イリスと申します。」

「へぇ…色持ちとはすごいのね。」

「ありがとうございます。他の3人も皆、国王陛下より蒼の騎士を拝命しております。」

「げ!この失礼な男も色持ち?レオンハート家の2人は分かるけど…」

「マルスは弓の名手でその才能を見込んで我がレオンハート家の弓騎士の所属になったのです。」

「ふーん。その身なりからして只の冒険者じゃないとは思っていたけど、色持ちが4人集まってるなら普通の外交って訳じゃ無さそうね。」

いつの間にか観察されてたみたいだな。

やはり只の爆弾姫では無さそうだな。

「まぁ良いわ。その辺は詮索しないでおくわ。」

「ありがとうございます」

「お嬢様、リンドポートからアルテナまでこの方達に護衛をお願いするのはいかがでしょうか?」

「は?私に護衛なんて必要無いわ!さっきの活躍見たでしょ?私の魔法でドーン!よ。」

「でもお嬢様…鞄を盗まれたじゃないですか…」

「あ…あれは油断したのよ!!」

「次にまた何かあれば私もクビになるかもしれません…」

「それはダメよ!クラリスは私の専属なんだから!」

「それではよろしいですね?」

「…クラリスのためだったら仕方ないわね…」

「レオンハート様、皆様、お受け頂けないでしょうか?」

「目的地は一緒だから構わないよ。俺達で良ければ。」

「ありがとうございます。謝礼はアルテナに着いた際にお支払いさせて頂きますのでよろしくお願い致します。」

「承知した。」

「じゃあよろしく頼むわよ!」

「よろしくお願いします。」

「あ、ちょっと提案なんだけど…」

「なんでしょうか?」

「ほら、今は私がアルテナの王女ってバレたらまずい訳なのよ…。それでこの仰々しい御一行で敬語使われてたらバレるじゃない?だからタメ口でお願い出来ないかしら?オルフェリアの友達御一行って設定で!」

「え⁈それは流石に…」

「不敬罪で訴えられません?」

「お願い!お父様にバレたら大変なの!」

「次に問題起こしたらお嬢様は1カ月の学院以外の外出禁止ですね。」

「お願い!!」

「…わかりました。」

「あとで訴えたりするなよー?」

「しないわよ!なんならあんたは最初からタメ口じゃない!!」

「じゃあ改めてよろしくね。サーシャ。」

「よろしくお願いします。」

「アナスタシアは同じ歳よね?敬語は無し!良い?」

「わかりました笑」

「てゆうか、アナスタシアのリップ可愛いわね!どこで売ってるの?」

「これはイリス様に頂いたの。」

「イリスが?」

「はい。私の手作りなんだけど…」

「え!すごーい!私にも作って欲しいー!アルテナでは見ない色だわ。」

「この原料はヴェルドラの森でしか手に入らないんですって」

「へぇー。ヴェルドラねぇ。イリスはヴェルドラ出身なの?」

「はい。私とマルスはヴェルドラの孤児院育ちなんです。」

「そうなんだ…。でも孤児院から王国の称号までもらえるなんてすごい才能と努力したのね!」

「たまたまです…。皆んなのお陰です。むしろこの称号を頂いた以上、称号の名に恥じないようにもっと頑張らなきゃって思います」

「なんか尊敬しちゃう…素晴らしいわ。」

「私達も先日頂いたばかりだから正直まだ実感なんて無いんだけどね笑」

「誰かに必要とされるって羨ましいわ…」

「サーシャは王女なんだから心配いらないだろ!」

「違うわ。私は兄様達と違って魔法も上手く使えない。魔法が使えなければ私は国のために結婚するしか使い道が無いの。必要なのは【フリージアの王女】であって【サーシャ】じゃない。」

「お嬢様…」

「そんな事は無いと思います。現にあなたはさっき魔法で私達を救ってくれたじゃない?私達を助けてくれたのはフリージアの王女じゃなくてサーシャでしたよね?」

「今は…そうだけど…」

「今私達はオルフェリアのお友達御一行ですよね?私達の目の前にいるのはサーシャ。ちょっと魔法の上手な女の子ですよ」

「イリス…」

「爆弾魔法少女って感じだな」

「マルス!」

「…ありがとう」

そう恥ずかしそうに笑うサーシャは本当にただのどこにでもいる女の子だった。

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