我が家へようこそ!
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
「イリス様、お湯加減は大丈夫ですか?」
「はい。気持ち良いです」
アナスタシアとイリスは湯船に並んで浸かりながら話している。
戦いのあとのお風呂は極上である。
「イリス様の髪はとても綺麗ですね」
「ありがとうございます。小さい頃は馬鹿にされたりしたんですよ」
「え!なんで!こんなにキラキラしてお星様みたいなのに!」
「そんなに髪を褒めてもらったのは初めてです。嬉しい…。皆さんお優しい方ばかりで何とお礼をしたらいいか…」
「良いんです!うちはみんなお人好しですから。好きでやってるんだと思います」
「ありがとうございます…」
「イリスさんは何歳なのですか?」
「私は16です。アナスタシア様は?」
「私は15です!じゃあイリス様は私と兄様のあいだですね!」
「ゼニス様は17歳なのですね…」
「そうです。兄様は17歳になので次期領主として一人立ちする歳ではあるのですが、剣術ばかりで女性に見向きもしないんですよ!そろそろ身を固めてもらわないと…」
「あんなにお優しくて素敵な方なのに意外です」
…ゼニス様。
顔が少し熱くなった気がした。
「心配になります…」
「アナスタシア様はお兄様想いで優しい妹さんですね。それにしっかりしていて…孤児院の子達とは大違いで…」
「それは兄様が剣術ばかりだからですよ!笑
そのお陰で私も領地経営の手伝いをする羽目になったのですから!ところでイリス様はよく孤児院にいらっしゃるのですか?」
「はい。普段は教会と孤児院での仕事を手伝わせてもらっています。」
「私、末っ子で下に兄弟がいないで小さい子供と遊ぶのは憧れます」
「もし良かったらいつでも遊びに来てください!子供達も喜ぶと思います」
「本当ですか⁈行きたいです!」
「その時は私がご案内しますね。」
「よろしくお願いします!そろそろ部屋に戻りましょう」
父さんと小一時間話したあと、部屋に戻ろうとした先で風呂上がりのイリスとアナスタシアを見かけて声をかける。
「ゆっくり出来たかい?」
「はい。こんなに大きなお風呂は初めてでした!アナスタシア様とも沢山お話し出来て楽しく過ごせました」
「それは良かった。アナスタシアも随分懐いたもんだな笑」
「あら?兄様の先を越されて羨ましいかしら?」
「おま…!何を言ってるんだ!」
「うふふ。今度孤児院にも遊びに来たいとおっしゃってくれました」
「イリス様に案内してもらうのです!兄様は剣術でお忙しいかと思うので残念ですが…」
「俺も行く(ぼそっ)」
「是非来てください!何も無い所ですけど…」
「ところでセレーネ神殿に行く事なんだけど、明日向かうのかい?」
「はい。明日向かおうと思っています」
「その事なんだけど、今日の件といい何か様子がおかしいんだ。いつもより魔物が多い気がする。それで父さんと話した結果、俺らも護衛とゆう形で同行しようと思うのだけど良いかな?」
「!!そこまでは御迷惑お掛け出来ません!」
「いや、単に護衛とゆうだけじゃなくて、近辺調査をする事になったのだよ。」
「そうゆう事でしたら…何か申し訳ありません…」
「良いんだ!この辺りの安全管理はレオンハート家の役割でもあるからね」
「領主の仕事なんていつもはサボる癖に…(小声)」
「おい。何か言ったか?」
「いえいえ。またイリス様と御一緒出来るのが楽しみです♡」
アナスタシアの奴…
俺だってやる事はやってるだろ!
この間の税務処理の事、まだ根に持ってるのか…。
「ではまた明日。今日はゆっくり休んでくれ」
「はい。ありがとうございます」
「兄様、おやすみなさい」
部屋に帰る2人を見送り、自分の部屋に戻る。
窓の外は白い月が輝いている。
イリス…銀色の髪が濡れて綺麗だったな…。
月の女神ってあんな感じなのだろうか…。
ん?俺は何を考えているんだ?
やましい気持ちなんて全く無いからな!
明日に備えて寝よう!そうだ!寝よう!!