恋のはじまり
ごく普通の領主の家系に生まれた魔力0の騎士ゼニス。魔力が使えない分、剣術に全振りした剣術馬鹿の普通?の騎士がひょんな事から助けた少女との運命の出逢いから様々な仲間と出逢い、世界を救うまでの幻想記。
それから俺達はイリスと俺、アナスタシアとマルスのペアに分かれて馬車に乗り込む。
「………」
お互い無言のまま、気まずい空気が流れる車内。
「やはり、緊張しますね…」
「あ…あぁ…」
「ゼニス様、先程から様子が…体調が悪いのでは無いですか?」
「いや!体調は問題無い!いたって健康だ!」
イリスに見惚れていたなんて口が裂けても言える訳ない!!
「良かったです。」
イリスが微笑む。
外は段々と日が沈み夜の帳が空を暗くしていく。
「イリス…!」
「なんでしょうか?」
「これを受け取ってもらえないか?」
俺は工房で受け取ってきた髪飾りが入った箱をイリスに渡す。
「これは…」
「俺からのプレゼントだよ。開けてみて。」
イリスは驚いた表情で箱を開ける。中から紫水晶の髪飾りが出てくる。
「すごい…綺麗…」
「この間のミズガルドのドロップ品に月虹石があって譲ってもらったんだ。これを加工したら紫の水晶になるんだ。…その…イリスの瞳の色と同じだなって思って…」
「嬉しいです…」
「それにブルーム祭だろ?だからイリスの髪に花を飾りたくて…」
「ゼニス様…」
「もし嫌じゃなかったら…」
「嫌じゃないです!とても嬉しいです!…あの…ゼニス様に付けて欲しいと言ったら…ダメですか?」
「良い…のか?」
「はい。ゼニス様に付けて欲しいです…」
「じゃあ…」
俺は緊張した手でイリスの髪に髪飾りをつける。
「上手くつけれてるだろうか?」
「はい。大丈夫です」
「よく似合ってるよ」
「私、こんなに幸せで良いのでしょうか…」
「どうして?」
「ゼニス様やアナスタシア様と出逢ってから私の世界が急に色づいて…幸せの連続で…いつか全てが壊れて現実に戻る日が来るのでは無いか、目が覚めると全てが夢だったと思う日が来るんじゃないかって…」
「そんな事は無い。イリスの世界が壊れる事があったとしても俺が全力で守るから!」
「!!…ゼニス様…」
「イリスには俺の隣で笑っていて欲しいんだ…これからもずっと…」
「ゼニス様…私なんかで良ければ…ずっとあなたの隣に…」
「イリス…好きだ」
「私も…ゼニス様をお慕いしてます」
馬車の中で俺達は…唇をそっと重ねた…。
外は建国祭の喧騒で騒がしいが馬車の中だけは2人だけの世界が静かに穏やかに流れていた。
唇が離れてお互いの顔を見つめあって笑い合う。
「ゼニス様、これからもよろしくお願いします」
「俺の女神様は誰にも渡さないよ」
甘いひと時を過ごした俺達は王宮に着いた。
「女神様、お手を」
「女神様はやめてください…恥ずかしいです」
「ははは…すまない」
イリスの手を引きながら馬車を降りる。
後ろからアナスタシア達が乗った馬車も到着する。
「着きましたね」
「よし!ではお姫様、お手をお貸し頂けますか?」
マルスがかっこつけて手を差し伸べる。
「ありがとう…ございます」
アナスタシアもマルスの手を取る。
マルスもなかなか様になってるじゃないか。
俺達は招待状を衛兵に渡し、舞踏会会場へと足を踏み入れる。
「すげぇーー!!」
「すごい人の数ですね…」
「今日は国内外から沢山の貴族達も集まってるからな。」
「兄様、少しイリス様をお借りしてもよろしいですか?飲み物を取って参ります。」
「あぁ。構わないよ」
「イリス様」
「はい?」
「兄様と何かありましたね?」
「え⁉︎」
「その髪飾り、兄様からの贈り物ですか?」
「はい…」
「こんなの告白も同然じゃない」
「はい…」
「え⁈告白されたんですか?」
「はい…」
「イリス様は何てお返事したのですか?」
「私もお慕いしております…と」
「キャー!!おめでとうございます!」
「アナスタシア!恥ずかしいから〜//」
「これで本当の姉妹になる日も現実味を帯びてきましたね!」
「まだ先の事は分からないけど…そうなると良いなって思ってる」
「ひとまず、兄様の初恋に乾杯しましょ♡」
「はい笑ありがとうアナスタシア」
飲み物を持って2人は戻ってきた。
「マルス、ここにある物は全て食べ放題だぞ!」
「本当ですか!取りに行ってきます!」
「あぁ。俺らはここで待ってるよ」
「マルスの食欲は無尽蔵ね…笑」
「兄様、私はお邪魔かしら?」
アナスタシアがニヤニヤしてこちらを見てくる。
「お前…まさか!!」
「えぇ。イリス様から聞きました。」
「//⭐︎$#%€@//」
声にならない声が出る
多分トマトより赤くなった自信があるくらい赤面してしまっただろう。
「マルス様は私がここでお待ちしているのでどうぞ。(おめでとうございます♡)」
「イ…イリス!何か食べ物でも取りに行こうか!」
「アナスタシアは1人で大丈夫?」
「はい。私は大丈夫ですのでお気になさらずに。」
「ではちょっと行ってくる!」
俺はアナスタシアを置いてイリスとその場を離れた。




