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HELIOSはおひとり様  作者: HELIOS
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第三十六話 発酵コーヒー

 (わたくし)にはブームがある。先日、美味しいタイコーヒーをいただき、ものぉすごく……スペシャリティコーヒーが飲みたいわけですよ。

 明日のお仕事先は、お洒落なカフェが多い駅。いつもは、この近くのティーハウスを狙うが、今回はコーヒショップを探す。

 無いな? 純喫茶はあるが、そうじゃない。


 諦めて帰り、別の駅で探そう。何処かあるはず。

 そう思っていた今朝。コーヒーセンサー。

 うおっ!

 ガラス張りのコーヒーショップ。開店準備をしている。テーブルを拭くお兄さんの姿。その姿勢だけでいい店と分かってしまう。

 なにより、ガラス越しに見えた注文口。ここはスペシャリティコーヒーの店だ!


 仕事仲間の活躍により、早く仕事が終わりった。ウキウキで朝の道を通る。

 ここじゃあ!


 珈琲。コーヒー。こーひー。


 ここまでコーヒーに飢えるのは珍しい。確実にブームが来ている!

 ブームの時に飲むのが美味しいんだわ。

 休憩中に調べたが、オープンして半年らしい。運命的だね。

 店内を覗く。カウンター席だけかな? 緊張するけど、えいっっ。我に美味いコーヒーを飲ませたまえ!!


「いらっしゃいませ」


 爽やかイケメン兄さんだ。

 注文しようとレジの前に立つ。

「店内ご利用ですか?」

 っあ、あ。

「はい」

 メニューには、カフェラテとかアイスコーヒーとか書いてあるけれど、ほぼ見ず。左側六種の豆の詳細を見た。

「そちらはハンドドリップです。全部浅煎りで、香り試していただけます」

 この兄さん仕事できるな? フッと思った疑問に対し、聞こうか迷うことなく答えをくれる。

 全部浅煎りとか神かな? そんな店初めてだよ。

 豆の説明は英語でたる。苦手ーーッ。

 えーっと? 右からコロンビア、コロンビア、コロンビア?

「右からここまではコロンビアなんですけれど、こちら四種は発酵ロットです」

 発酵? 記憶がジワワッッ……。発酵コーヒー!

 去年の思い出が蘇る。


 発酵コーヒーを知ったキッカケは、コーヒー好きな仕事相手。

『君、紅茶好きだろ? なら! 浅煎りコーヒーが好きだと思うよ』

 そう進めてくれたのは、後に深煎り派だった私を浅煎り派にしたオジサマである。

『最近、発酵コーヒーにハマっていてね。飲みに行かない?』

 美味しい店があると連れて行ってもらった。

 それは、漬物のような香りがするコーヒー。苦手な人も多いだろう。私も驚いた。

 だが、コーヒーのイメージをぶち壊す強力な一杯。

『美味いだろ?』

 ニッコニコで聞かれた。めちゃくちゃ美味しかった。もう一度一緒に行った。

 同じ店に行った理由。もちろん美味しかったから。そして……近くに無いんだ! そもそも美味しい浅煎りが飲める店が少ない! あっても中煎り。

 発酵コーヒーと調べてもヒットしない!

 何故ならコーヒーは全て発酵しているから。

 違うんだ! 発酵臭する面白いコーヒーが飲みたいの!


 そんな私に理想な店。

 スラスラ読める英語力はない。右から香りを確認していく。

「フルーツの香りがします。このイラスト通りの香りがしますよ」

 お、お兄さんっ。

 反応薄くてごめんなさい。

 イラストにはフルーツの絵が描いてある。

「こちらは、本当にメロンの香りがします」

「エッ」

 本当に驚いたがね。メロンとコーヒー?

 どれ試香。プシュッ。わあ。メロン。

 コーヒーとメロン。あまり体験しない。好みとズレるかもしれないが、ありなのか?

 残りも嗅いでみる。左側は発酵系ではないらしい。

「こちらはクリーン、こちらはウォッシュド」

 それはChatGPTに教えてもらった、私好みのやつ。 え! クリーンもウォッシュドも飲みたいんだが!?

「普段ならクリーンなんですよね……」

「はいっ」

「あっ、いえっ」

 お兄さん待って! メモ取らないで! 呟いただけだから!! 雑にボール投げてすみません!!

「発酵も気になるので、もう少し考えます」

 ううむ。

「こちらは〜……」

 この兄さん熱量。素晴らしいな。

「こちらは本当にフルーツと一緒に発酵させてた共発酵です」

 うん!? そういうのもあるんだ?


 はい、気になりましたねーーーー?


「…………」

 ッぐ。分かったよ自分。気になったら決まり。

 絵にはバナナ、チョコレート、ミルク。

 バナナ似た香りのビール苦手だが? コーヒーならいける? いったれ。

 何が好きで、何が苦手か。知るのも必要。それは大人の楽しさ。

「これで」

 冒険心のままに。

「ケーキも一緒にいかがですか?」

 下調べではキャロットケーキが美味しいとあった。食べたいけれど、仕事場でシュトーレンを食べてきた。甘さに酔う気がする。

「大丈夫です」

 今回はコーヒーを楽しもう。


 二階もあるらしく、席まで届けてくれるそうで、黒の螺旋階段を登った。

 ヒョコ。なんとまあ、居心地良さそうな。木材の温かみ。

 二階でもカウンター席を選んでしまう。コンセントが嬉しいね。

 上着を脱ぎ、一息つく。


 テンポのいい音楽を聞きつつ数分後。

 お姉さんがコーヒーを届けてくれた。

 ありが……、お?

 木のトレイに白の陶器が二つ。飲み口が少しすぼまったカップに茶色の液体が四分の一程度入っている。

 そして、徳利?? カップも取っ手がなく、まるで蕎麦猪口と蕎麦徳利。なんだこれ!

 わ、わ、わ。好き〜ぃ。

 こだわりがあるのだろう。

 トレイには名刺サイズのカードも添えられている。これは下で自分が選んだコーヒーの解説。

 助けて、ChatGPT。

 写真を撮ってChatGPTに送る。待つ間もないが、コーヒーを飲もう。

 カップを持つ。果物のような酸っぱい香り。酸味苦手だけど、大丈夫かな?

 スッ。

「…………!」

 ──余韻。はあ。

 発酵コーヒーといやぁ、これよな。複雑な香り! 楽しい!

 好み的に苦手かと思ったが色々な香りがして飽きない。

 冒険して良かった。

 ふう。ChatGPTの返事を見てみようか。

 このコーヒー。一番のクセである【バナナ果汁(モスト)と一緒に発酵】だって? お兄さん言ってたやつ!

 【個性強め】なのは間違いない。ツヨツヨだ。

 スクロールしていくと、味の解説もしてくれるらしい。なになに?


 第一印象、バナナ。

 中盤、ミルクティー、チョコレート。

 後半、黄桃系の酸味。

 後味、クリーン。


 へえ? では、その辺を意識して……。

 バナナ……ビターチョコレート……酸っぱさ……スゥッ。

 あ、あってる! ChatGPTすごい!

 一人で来ているのに「本当だね!」言いたくなるドンピシャな表現。

 自分の舌を育てる方向でも使えるのか。やるな?

 味わいつつコーヒーを飲む時間。いい体験ができている。

 選ばなかった珈琲についても、詳しく知りたいところだ。ラインナップ写真撮れば良かったな。

 そこは、次回のお楽しみだろう。次、確定で来られるのは……春か。まだまだ先だな。


 一杯目と同じ水位にすると、二杯目、三杯目と飲むことができた。三杯目を名残惜しく思いつつ、チマチマ飲んでいる。焼酎かな?

 冷えてくると酸味が強くなった気がする。酸味は苦手だが、嫌な感じはしない。

 キレがいいからだろうか? ハッ! 後味クリーンだからいいわけだ!

 少しずつ自分の好みが分かってくる。

 こうして一人の時間を過ごす。今年も楽しくなる気しかしないな。やりたいことが溢れるよう。

 美味しいものの力は凄いのだ。

 食器を返却し、螺旋階段を降り始める。上から見下ろすと、一階の棚にはトロフィーがズラリ。何のトロフィーか分からないが、実力に納得

「ありがとうございました!」


 最後まで爽やかな兄さん。

 ペコッ。ご馳走様です。

 駅へと歩き出す。せっかくブーム中だし、帰りに家用ドリップコーヒー買っていくか。

 お読みいただきありがとうございました!

 今回お邪魔したのは「EINScoffee」さんでした。

 発酵コーヒーについてもう少し。

 来店後に気になって調べました!

 今回いただいた珈琲、回想に出てきた漬物臭がする珈琲は、共発酵らしいです。

 他に培養発酵、制御発酵があるんだとか。

 次回は洗練された味だという、制御発酵を狙います。


 次話、書きためた話を投稿します。

 珈琲の次は紅茶でしょう。

 あの癖強ティールームへ。

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― 新着の感想 ―
発酵コーヒー! 初めて聞いたかもです。 後味が変化していくなんて面白いですね(*´ω`*) 食の世界ってすごいです。 仰る通りで自分の好みを知ることが新たなおいしいものに出逢う秘訣なのかも。 キャロッ…
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