第三十五話 新年モーニング
ネットカフェで仕事していたら朝を迎えた一月五日月曜日。正確には終電を逃し、そのまま仕事をして寝落ちからの起床。
七時か。まだ眠い。
ううん。いかんなぁ。気分を入れ替えたいものだ。
そうだ、と地図アプリを開く。
ChatGPTに今年のソロ活オススメを聞いたところ【モーニング】と答えられた。
美味しい朝食を食べてやる気を出そうではないか。
ネットカフェを出ると会社に出勤する人々。仕事始め今日からだもんな。自分は優雅に歩……いや、家に帰ったら仕事がある。結構しんどめの。だからこそのモーニング。
朝8時から空いているお店へと向かう。知らない道を歩くのは、それだけで脳を刺激する。
「……っと」
急に現れたね。ここか。
中を覗く。うんうん、入りやすい。誰もいない。一応、OPENの文字も確認して、いざ。
「いらっしゃいませ」
男性……店名を考えるに店長か?
ぺこり。軽快で心地いい音楽が流れている。
トトト……レジ前に立つ。えっと、メニュー……。
「おひとり様でしょうか?」
……ハッ!
なに店員さんガン無視してレジへ??
「一人です……」
「こちらの二名席か、カウンター席へどうぞ」
視線を気にせず座れそうな……。
「カウンターで」
この馬鹿め! スターバックスのように先注文しようとしてたわ! 思いっきり席にメニュー表ある!
プシュー。
ウォーキングだけでは目は覚めていなかったらしい。
恥ずかしさを一緒に脱ぎ、上着を椅子にかけて座る。
「いらっしゃいませ」
女性店員さんが追加メニューを持ってきてくださった。朝からそんな選べるんですか?
ふむ。今日はモーニング一択……おっ、下調べより価格が上がっている。ちょっと安心。
モーニングは何種類かあった。サンドイッチ系か、トースト系か。
あまりお腹が空いていないので、シナモントーストにしよう。コーヒーとの相性もいいはずさ。
サイドメニューも選べるそうな。サラダ……いや、ヨーグルトかな。正月に虐めた腸を労わろう。
そして、だ。
こちらの店に決めた理由がある。コーヒー豆の種類の豊富さ! 十種類以上から選べてしまう。
ニカラグア? ホンジュラス?
一番迷うところだが、コーヒーは決めていました。差額のお支払いで、セット以外のドリンクが選べる。
自分の好きなビールが分からなくなって、ChatGPTに相談した。【クリーンなドライ】が好きと教えてもらったのだ。
ゆえに惹かれた【クリーンな優しい甘さ】らしい【タイ】に。
タイのコーヒーと、シナモントースト、ヨーグルトを注文。
湯を沸かす音がポコポコと心地いい。一人だからこそ分かる。それ私のコーヒーですね。
「お待たせしましたぁ」
コトン。
おお……おおっ! なんかイメージ写真より、かなり美味しそうだ。
コトン。
砂糖を近くに置いてくれる気配り。ありがとうございます。
写真をパシャリ。ん? サービスに焼き菓子まで付いているじゃないか! こういうのが嬉しかったりする。
よし。いただきます。
まずはコーヒー。色的に浅煎り? 中煎り? 熱くないよな? 猫舌に気をつけて、ツゥッ。
お、おお。なんて飲みやすい。
ChatGPTよ、私はビールもコーヒーもクリーンが合うらしいぞ。飲みやすい。苦味も酸味も適度。タイコーヒー好きです!
「…………」
クリーン感って何? クリーンという表現も、クリーンが好きというのも知ったの数日前。これから探っていくか。
さあ、シナモントーストをいただこう。シナモンの香り好きなタイプの人間です。
手で感じるサクッと感。歯を立てても理想の食感。おや。中はしっとり! 舌触り良い。
パクッ。うむうむ。パン自体が美味しい!
酵母の香り、シナモンの香り、砂糖の甘さ。コーヒーに合うだろう。ツーッ。良きじゃあ。
今は豆引かないし。手軽なドリップコーヒーでタイ豆ないかな? 帰りに置いていないか見るとしよう。
この席から見えるのは、壁の棚にオシャレなコーヒーカップ。地震来たら上から降ってきそうだけれど。
あと、見やすい位置にいちごサンドイッチの案内。注文を受けてから泡立てる生クリームとな? 美味しそうじゃん。こういう一言が決めてになる。
コーヒーを飲もうと視線を落とす。あ。普段はしっかり見るくせに、簡単にしか見ていなかったコーヒーカップ。
自分にピンク色とは珍しいんだよな。渡されても赤色くらいなのに。
ジーッ。性別問わずに使えそうな落ち着いた色味。ソーサはピンクに白レース。赤の花とリボン、緑の葉。可愛らしいな。
カップを持ち上げる。カップを見ようと口元より高く掲げた。黒猫と目が合った。
え──?
あ! この猫! 知ってます!!
ジブリの、魔女宅の、ジジ!
まさかのジブリ食器。
カップを持ち上げたことによって、ソーサにも黒猫がいると知る。
可愛いな!
うん、だけど。何故?
棚には自分好みなオシャレなカップが沢山ある。
いや、嬉しいよ? 何を隠そう猫好きだから!!
うーん。まあ、過去にも動物の箸置きを使う店で猫を置かれたこともあったし。猫っぽいと周りに言われているし。入店時にアタフタしたし。なんか猫って思われたのかな。
トーストを食べ終わる頃、常連の男性が一人、カウンターに座られた。モーニングセットでブレンドコーヒーを選んだそうな。
また心地のいい調理の音が聞こえる。
BGMを聞きながらヨーグルトを食べる。写真には無かった気がする黄桃がモリモリ乗ったヨーグルト。
桃好き。うまぁ。優しい甘さ……蜂蜜だな! 桃と蜂蜜が酸味を抑えてくれて食べやすい。
「お待たせしました」
お隣にもモーニングセットが届いたようだ。タイミング見てチラッ。
ジブリ食器ではない! 男性に合わせたカップ&ソーサ。
故意にジジを私に! 謎は深まる。どうして猫を選んだんですか!?
一人衝撃に震えつつ、ケーキに手を伸ばす。
一口大のケーキ。半分ほど齧る。
美味しい! でも、なんだろう。空気の多さ。これは、あれだ。コーヒーが飲みたくなるやつ!
残りを口に入れ、コーヒーを含んでみる。ホロホロ……。コーヒー、もしくは紅茶があってこそのケーキ。こういうのも好きだ。
全部食べ終え、残りはすっかり冷えたコーヒー。あー、二杯飲みたいくらい。ホットで。
あとで飲めるところ調べないと! こちらの店に来るのは難しい。この出会いに課金したいのに!
もう一杯頼む勇気が出ない私をお許しください。
ご馳走様でした。
身支度を整えながら店内を見る。おおっ、色々な他にもカップあるじゃないか!
黒猫の謎。聞く気は全くない。
おっ。
レジ付近の壁にある。ドリップコーヒーを発見した。鞄を持ち、ゆっくり壁へと歩く。
タイのコーヒーはないのか。残念。でもブレンドも気になる。
綺麗に並べられている一回分のコーヒー。袋に描かれた鳥さんが可愛い。
手を伸ばして…止めた。
綺麗に五袋、横に並んでいる。
「こ、ここから取って良いんでしょうか?」
首を少し捻り、どこ見て聞いてんだか。
なんか心配になったんだよぉ!
「はい、絵柄違いますのでお好きなものを」
女性店員さんが答えてくれる。
ホッと一袋取り、レジにて渡す。
現金支払い中、わざわざ透明な袋に入れてくださった。愛。
「ご馳走様です」
お釣りとコーヒーを受け取ったものの、鞄に入れるタイミングを逃し、入れる動作と共に外へ出た。
コーヒー落とさないように、きっちり鞄に入れてから移動しよう。
「あっ……!」
声を出して笑いそうになる。コレか。すっかり忘れていたよ。
本日使っている鞄には、デカデカと招き猫の絵が。アハハハハ! よく見ていらっしゃる!! 謎が解けた!
ちょっとした笑い話だなぁと、徒歩二十分先の駅へと歩き始めた。
お読みいただき、ありがとうございました!
今回お邪魔したのは「としはる珈琲」さんでした。
次にお邪魔できた際は、猫は持たずに行ってみたいですね。
その日の仕事は比較的平和に終わりました。
閑散期になったので余裕が出てきました( *´꒳`*)
また夏にバタバタし始めます。
次話も最近の話。
個性的なコーヒー飲みます。




