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HELIOSはおひとり様  作者: HELIOS
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第三話 温泉街①

 仕事の依頼がきた。空きがなかったので、休日にその仕事を入れた。何故わざわざ貴重な休み潰したか。ついでに行きたい場所があったからだ。

 日本三大古泉の一つ。豊臣秀吉が愛した名湯。

 温泉が好きなHELIOS。よく一人で入りに行く。早く出るも、遅く出るも自由で気が楽なのだ。ボーッとできて会話の必要もない。小説のネタを考えることもある。

 温泉に入りたい。仕事を終わらせてから、夕方から温泉を楽しむことにした。


「うわ、坂だぁ」

 目的地に行くには坂を登らねばならない。

 駅のロッカーに仕事道具を押し込む。身軽になったので目的地を確認し、ルンルンと坂を登った。

 まずは、温泉の前に腹ごしらえだ。空腹でお風呂に入るのは良くないらしい。立ちくらみしやすいとかなんとか。温泉宿の客室に菓子が置かれているのはそのためだと、ゲーム実況か何かで見た。満腹も駄目らしい。

 貧血気味、低血圧のHELIOS。体質が似ている従姉妹が温泉で倒れたこともある。何か食べねばいかんだろう。

 温泉街は賑わっている。

「この辺りに……」

 たい焼きを焼くような作業場を発見する。これだ。炭酸せんべいの店!

 HELIOSは炭酸せんべいが好きだ。クリームはいらない。シンプルなやつが好き。ほのかに甘くて美味しい。

炭酸泉を使用して焼き上げる軽い食感のせんべいは、パリパリ何枚でも食べられてしまう歴史あるお菓子。

 ここでは炭酸せんべいの焼きたてが食べられるのだ。SNSで知った。なま炭酸せんべい!

 なんでも「なま」が付くと惹かれてしまう不思議。

 なま炭酸せんべいは賞味期限は短い。脅威の五秒!! 焼きたては柔らかく、すぐにパリパリになるようだ。

 食べよう。滅多に来れないのだから!

 注文口を探していると貼り紙を見つける。

「本日は終了しました……」

 はい!? えっ!?

 焼き場に人がいるのに! カチャカチャしてるのは片づけですか!?

 時刻は十七時前。観光地だからと油断した。閉店時間が早すぎる。

 調べが甘かった……。

 あ。嫌な予感。早足で次の目的地へ向かう。

 ちゃんと調べておいた。定休日ではない。閉店時間は十八時。一時間あれば入店できるだろう。

 目的地は茶房の本生わらび餅。また「生」である。こちらもSNSで知った。

 冷水に浸ったわらび餅。それを網ですくう。なんとも涼やか。寒くても食べたい。

 そして、お茶! 茶房というのだから美味しいはず。HELIOSはお茶好きなのだ。

「ん? どこだ?」

 それらしい店が見当たらない。マップを見て現在地も確認する。

「まさか……」

 この閉店準備をしているお店ですか!? なんということだ。早すぎる……。

 顔は無表情だったが、内心膝から崩れ落ちていた。

 仕方あるまい。他に見ていたスイーツにしよう。閉店時間あと数分のジェラート店へ。とにかく急げ。


 ああ、良かった。

 賑わっているジェラート店を見て喜ぶ。店内は狭いが、ジェラートの種類は豊富だ。

 ショーケースのジェラートに目が行きがちだが、視線を上げると何かの賞を受賞したと書いてある。凄いっぽい。美味しさの保証がされた。

「お決まりですか?」

 可愛い女性店員さん。

「えっと……」

 どうしよう。迷う。どれも美味しそうだ。二種は食べたい。

 こういうときは二種失敗を避けるためシンプルなものを一つ。お店の実力が分かる。そして、変わり種を一つ。お店の個性が分かる。

「プレミアムミルクと、白あんほうじ茶ください。カップで」

 ジェラートがカップに擦り付けられるのを見ていると二名席が空いた。ありがたい。満席だったので食べ歩きするつもりだった。ジェラートを受け取り座らせてもらう。

 まずはプレミアムミルクから食べてみよう。スプーンですくうと滑らかさが分かった。優しいミルク味だ。美味しい。

 濃厚さを味わっていると、団体客がやってきた。人気店なんだな。納得。

 お次は白あんほうじ茶。HELIOSは白あんより黒あん派だ。あずきバーが好き。それでも選んだのは茶房に行けなかったためお茶を欲していたからだ。お茶好きのHELIOSが唸らせてほしい。

 少し溶けてきた薄茶色のジェラートをすくって食べる。ほうじ茶が濃い。美味しい! 白あん感は分からないけれど、ほうじ茶の邪魔をしていない。調和というやつか。

 肌寒いがジェラートを美味しくいただいた。ちょうど子供連れの外国人が来たので譲るように席を立った。ゆっくり食べたまえ。

 さぁ、冷えた体を温めに行こう。早く温泉に浸かりたい。


 温泉は二種類。褐色の金の湯。無色の銀の湯がある。どちらかと聞かれれば温泉に入った感がある金の湯を選ぶが、せっかくなら両方入りたい。両方とも入れる所を探したさ。

 ジェラート屋に向かう途中に通ったので迷わず目的地へ来ることができた。古めの旅館。素敵だな。こういう旅館に泊まってみたいものだ。友人に温泉旅館に泊まろうと提案したら「裸になるのが嫌」と断られてしまった。そういう人もいる。いつか一人で泊まっちゃる。

 日帰り温泉は十八時まで。それ以降は宿泊客が利用するためらしい。現在十七時を過ぎたところ。入れてもらえるだろうか。一時間きると不安になる。

 そして、クチコミ。泉質を褒める声が多いが、接客の評価が低い。おひとり様なので厳しくされたら震える。なんかショックが大きい。友人とならば「怖かったねー」と共有にて和らぐのだが、一人だとダイレクトにくらう。

 気合を入れてから扉をスライドさせた。

 誰もいない。あわわわ。宿って感じ。本当に日帰り客が来てよかった!? 大丈夫そ?

「すみませーん」

 消えそうな声を出す。おじいちゃんが出てきた。なんとなく厳しめそうな人。

「日帰り湯いけますか?」

 震えていたと思う。笑顔をくれ。そうしたら安心できる。

「はい、日帰りね。千円です」

 あっ。とりあえず入れるらしい! 声のトーン怖いけど。

 すぐに野口英世を召喚した。

「お待ちください」

受け取ってもらえず放置プレイ。えっ?

 また震えて待っていると、男性店員がや出てきた。お盆に空のグラスを乗せている。息子さんだろうか。千円札を渡す。

「こちらへどうぞ」

「あ……はいっ」

 案内してくれるスタイルか!

 靴を脱いで後ろについていく。

「段差お気をつけください」

 建物の雰囲気に飲まれて周りに気がいく。言われなければ段差に気がつかないだろう。そのための案内か。無愛想だが親切だ。

 何度か段差の注意を受け、奥へと進んでいく。客室らしい場所を通過する。いやこれ、案内してもらわねば迷うやつ! 帰りの心配をする。覚えなくては。

 ようやく温泉の入口が見えた。暖簾ではなく二つの扉。扉の前で止まる。

「お手洗いはこちらです」

 中にはないのだろう。

 店員にグラスを渡された。ん?

「お水はこちらです」

 そこにはウォーターサーバー。紙コップじゃない!

 驚いて固まっているところ、店員は去ろうとする。待て待て待て! なんの説明もなしだよ!? それが普通かもしれないけれど!

「じゅ、十八時までに出たら良いんですよね?」

 それだけは確認せねば。十八時までに温泉から上がるではなく、退館なのかを。

「はい」

 そのまま店員は来た道を戻っていった。

 スマホで時間の確認。一時間ない。チャキチャキいこう。

 脱水しないように水を飲んで、温泉の入口に入った。

 お読みいただき、ありがとうございました。

 温泉街②に続きます。


 今回お邪魔したのは「有馬温泉」です。

 古い感じの温泉苦手な人は、スーパー銭湯もあるので楽しめます。

 前回行ったときは釜飯を食べました。人気店で美味しいです。ただ、一人で食べていたの作者だけでした:( ˙꒳˙ ):


 次話、温泉に浸かります。

 ここからがおもしろ体験。

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