第二十三話 没入型アトラクション②
次は童話の世界。人が少なくて行ってもいいのか分からなかった。(ここ良いんですかねぇ?)と首を傾げておいた。
「こちらどうぞ!」
流れるままに並ぶ。
ヘンゼルとグレーテルの世界を楽しめるらしい。足元は中央に線が引かれている。魔女側とヘンゼルとグレーテル側。
「二つのルートがあります。魔女ルートはオリジナルストーリーです」
オリジナルとは? 気になるのは魔女かな。迷う人達を置いて先頭に立つ。
先へ進むと、大きな本があった。それはスクリーンで、一般的なヘンゼルとグレーテルの、森に迷子になるまでを見た。ここから二手に別れるようだ。
「一番に行こう」
「うんっ」
なんかキャピってるカップルが先頭に入っていった。あの、先頭ここにいます。まぁ、影が薄いのはいつものことだし良いけどよ。自分達の世界への没入はほどほどにな。
進むとプロジェクションマッピングによるストーリーが繰り広げられた。おお、素敵。動きが滑らかだ。
この魔女の声……甲斐田裕子さんでは? 良い!! すごく合ってる!! 一人興奮していた。反響する大人っぽい声。好き。耳が幸せ!
一話見る事に先へ続く扉が開く。扉に近い人から進むため、誰が先頭とかは関係なくなる。良かった。
「ママ〜ッ!」
うーん。魔女ルートを見た感想。映像は凄いが、共感できない残念な性格の自分。
見終わった足でもう一つのルートを見る人も多いようだが、次へ行ってみよう!
奥へ行くと飲食店で歌とダンスが始まっていた。賑やかである。遠くから鑑賞するも良し。店で没入するのも良しだ。
遊園地でもパレード興味ない人だからだろうか。楽しめない。いや、凄いんだけどね。役者さん達凄いよ本当に。
小腹が空いてきたな。ここのメニューを見てみよう。……んー、もう少し手軽なフード希望です。テーマパーク価格だね。
もう少しお腹が空いたらフード食べよう。
地図を見る。上の階もあるらしい。階段を見つけて登るとジャックザリッパーの没入。えー、気になる。
誰もいない。一人でテクテク並ぶ。スタッフさんの数の方が多いっていうね。
「ギャーァァ!」
出口から叫ぶ女の子達が出てきた。ん? 嫌な予感。並んじゃったけど。
「先にお進み下さい」
暗い雰囲気のBAR。良いっすね。確認とってパシャリ。
「キャァァァァァァー!」
ん?
バタン! バタン!
「ウワァァ!」
んん?
この雰囲気知ってる。お化け屋敷と同じ!
「あのぉー」
目の前にいたお姉さんに声をかける。
「これって怖いやつなんですか?」
困った顔するじゃん。
「BARのマスターからジャックザリッパーの話を聞くという……ンッ、はい」
あ……ホラーなやつなんですね。役に入っていて言わないスタイルなんすね。
お姉さんはスッとロープを取り出した。
「っ……」
そのロープ知ってる。皆で持って進む用のやつ。
ホラー確定だァ……待って待って?
後ろを見た。スタッフ達の生暖かい意識を感じる。
誰もいるはずないですよねーー!! さ、さすがに一人は怖いって。ひ、引き返せますかねぇ!?
「もう少しお待ちください」
「は、はい」
タイムリミットいつだこれ……。覚悟を決めろ。行けるさ。一人なら強気スイッチ入るはず。大丈夫大丈夫。お化け屋敷、結構体験してるし?
すると、背後から賑やかな声。
た、たすかったー!
しかも人数多い。
「ロープお持ちください」
あー? 先頭? 全然行けますよ!
二番目の女の子もおひとり様らしい。より心強い。
ロープを持ってすぐ。ホラー没入は開始した。
……うん、怖かった。でも、結構冷静でいられた。楽しかったかも。にしても、一人没入の危機の方が怖かったな。いいビビり体験した。
ようやく腹が減ったので片手で食べられるブリトー的なものを頼んだ。ガッツリ食べても良かったのだが、追加の有料体験の時間を考えた結果だ。……この味好きだなぁ。
食べ追えると、人が並んでいるのが見えた。初めてたどり着いた場所。第五人格のゲームが没入体験できるらしい。
あれかー。あんまり知らないんだよね。けど、知るきっかけになるかも。人少ないし体験してみよう。
一人で待っていると説明書を渡された。なるほど、殺人鬼に捕まらないよう解読機を解読。脱出ゲートへ向かうと。脱出までのタイムが短いと高得点。ん? 参加人数によってポイントが違う。……一人もありますね? だ、大丈夫かなぁ!? 無知なのに一人は嫌だ!
すぐに人が集まった。安心。五人で殺人鬼に挑むらしい。
「こちらをどうぞ」
スマホのようなものを渡された。これで解読したりするらしい。
「お待たせしました!」
中へ入る。ゲームのキャラらしい女性達が説明してくれる。メイク、アニメ声、ゲーム的な動き。すげー。中国人らしい観光客は興奮していた。それだけ有名なゲームなのね。
「スタートなの〜」
ゲームが始まった。真っ暗な部屋に入ると、早々奥に布をまきつけたような殺人鬼が見える。二メートルくらいある。でかい。普通にホラーだわ。
作者の代表作にモンスター登場するけれど、自分より大きい異形って怖いんだな。主人公達ごめんな。
殺人鬼にどこまで近づいていいか分からず、ロッカーに隠れようか迷う。他の人達もアタフタ。
意外と普通に動いても大丈夫らしい。
奥の部屋で機会を見つける。解読! ちゃんと仕事こなせた。
さらに奥の部屋へ行く。ん? 待て待て。全員参加じゃねぇか。江戸川コナンボイスで、どうぞ。
出ようとしたが、殺人鬼が唯一の入口前にいた。詰んだ!!
ゆっくり殺人鬼が部屋へ入ってくる。これ、近く通っても許されるんだろうか?
じっとしておこう。捕まるのも一興。
「アアアアアア……」
左下に蹲る中国人らしき人。隣にいたんですね。そんなに怖がらなくてもさー?
ハッ。これが没入力!?
こちらに殺人鬼がやってくる。ロッカーに隠れる人。息を殺す人。音に反応する殺人鬼相手に、隣は声を出しながら震えている。
こっちくるやつだわーーーー。
囮になるので、皆さん逃げてください。
ジワジワ、ゆっくり殺人鬼が私達二人に手を広げる。部屋の角なので逃げ場がない。
「キャ、キャー!」
落ち着きなよ。没入してますなぁ。
多分、逃がしてくれるんだと思うんだけど……。せっかくなら捕まってみたいなんて。
「んー」
もう捕まるな。固有スキル発動! 固有スキルというものがある。私は未解読の場所が分かる。残りあと一つ。画面に表示された。
殺人鬼は私と中国人らしき方、どちらを捕まえようか悩んでいる。
「ワー!」
殺人鬼さん。中国人らしき人捕まえた方が楽しそうですぜ?
と、思ったが怖がらせないためなのか、あまりにビビらない私が良いと思ったのか、両肩を掴まれた。まさかの選択! ソフトタッチですね?
ゆっくり連行される。やっさしー。私も大人しく歩きますぜ。
「みなさん! 残りはあそこの部屋にあります!」
言うの許された。殺人鬼の誘導により椅子に拘束される。捕まると大幅減点。申し訳ねぇ。
「……」
殺人鬼は離れていった。
お、おーい。
「だ、誰かぁー」
助けきて来てほしー。
「ッ……」
「あ、ありがとうございます」
会話する余裕ないほど慌てた様子のおば様が助けてくれた。
そこでタイムオーバー。警告が出る。またまた全員参加で殺人鬼に追い詰められゲームオーバー。アハハ。
次はもっと上手くできそうだが、もう満足である。初回が一番楽しいだろう。
中央のステージに戻ってくるとペンライトを持った人達がいた。これはアイドルのライブの予感。
少しだけ時間があるので途中まで見ることにした。ハッチャケ凄いお兄さんの指導でダンスの振り付けをする。一人だとちょっと恥ずかしい。
左隣にはコテコテのオタク姿の男性達。チェック柄のシャツ。白のフェイスタオルをかけ、眼鏡に汗ばむ額。体型むっちりからガリまで。リアルなのかコスなのか分からない。
「ピヨピヨピヨーーッ!」
頭にヒヨコの覆面。パンイチのムキムキな人が出てきた。
ぴえヨンだーーーーーーッ!?
今日一のテンション。
アニメ【推しの子】に登場する覆面系筋トレYouTube。年収一億のぴえヨン先輩である。
天井のスクリーンにはB小町の三人が映し出された。わー! わー! 大きな画面で見るB小町可愛くないか? 有馬かな!
そのままライブを楽しみたかったが、有料没入体験が待っていたので途中退場。
もらった黒いバンダナを口元に巻いて、いざ没入!
有料没入体験はシャーロック・ホームズを選んだ。登場人物についていくらしい。
初めはサーカスの団長の様子を見た。目の前で演技をしてくれる。大勢に囲まれて一人で演技とは緊張するだろう。
にしても、声がいい。松風雅也さんに似ている。後に神谷浩史さんに似た声をもつキャラもでてくる。
「キャー!」
上の階で第一の殺人が起きたようだ。その辺から皆バラバラに動き始めた。
殺人現場を見に行く人、他の登場人物キャラを見る人。一人のキャラの追っかけも楽しいのだろうが、手当たり次第に見ることにした。
まるでドラマを見ているよう。掘り下げたいキャラが入れば長く張り付けばいいだけのこと。
殺人現場を目撃した人もいるらしい。
そして、結構歩く! 意外と広い。
シャーロック・ホームズについていこうとしたら、その長い足でスラスラ歩いていくではないか。健脚! 役者さんすごいな! どこ行った!?
頑張って追いついても、物語は進んでいる。
物語の終盤。ついにホームズが見事な推理を披露。名探偵コナンのようにスッキリとした話が聞け……──。
会場から出て、ストンと椅子に座る。
「わっからねぇ」
なんと、事件の真相は分からない。得た情報で謎解きをするらしい。
とっても手持ちの情報が少なすぎる。おひとり様には無理ゲーでは?
仲間がいれば情報を共有して謎を解けるのだろう。
どこかに答え載ってませんか?
楽しかったけれど、歩き疲れた疲労にモヤモヤ感。
でも、これがリアルだよね。
一通り没入を楽しみ。 外に出る。一気に現実。
なんだろう。もう少し夢を見たいかも?
時間を見る。十六時。よっしゃ。行くか。
その足でディズニーランドへと向かった。去年知ったこと。一人ディズニー意外と平気だってね!
①に続き、お読みいただきありがとうございました。
今回……2024年に伺ったのは「イマーシブ・フォート東京」でした。
ネタバレに気をつけながら書きましたが、現在は作者が訪れた時とは違うものが体験できるみたいです。今際の国のアリスとか、気になる。
作者が没入力なさすぎて、なんとも言えぬ終わり方になってしまいましたが……。このタイプの体験はまたやりたいです。
去年あった、京都映画村のとか楽しそうでした。
このあと、東京ディズニーランド。シーの方に行きまして、 青い限定カクテルをいただきました。
一人ディズニーできたら、なんでもいける気がしてきます。
次話、ウルケル。




