第二十二話 没入型アトラクション①
最近見かける没入型アトラクションというもの。気になるじゃあないか?
場所は東京お台場。昔来たことがある。ショッピングはしたことがない。
没入型アトラクションは十一時からだ。一時間早くついた。カフェでゆっくり過ごそうではないか。
検索......嘘だろ?
ない。営業時間外なのだ。東京なのに!? 観光地なのに!? ちょっと意外。
仕方ないので散策することにした。公園があるらしい。
適当に歩いていると、その公園を見つけた。期間限定なのか夜ライトアップするらしい。気になる 。
ベンチが沢山あるので、ここでのんびり時間を潰すのもいいだろう。
さらにブラブラしていると観光案内所を見つけた。カフェマークがある。もしかして。でも、営業時間は十一時半と書いてある。
中に人いるし聞いてみよう。
入るとカフェスペースがあった。コンセントもある。そこに従業員のお姉さんと、女性客がいた。
「ここに行きたいんですけど......」
女性客は道を訪ねに来たらしい。同じ目的地ですね。
「バス乗り場見えますか? そこを〜〜で、〜〜と行きます」
「ありがとうございます」
会釈をして向かおうとする女性客。待って! 待って!
「あのっ。そこ十一時からですよ」
「......そうですね?」
うわぁ。話しかけ方下手かよ。警戒されてんじゃん。
「私も行くんですけど、そこ通ってきました。周りに何もないですよ。それでここに辿り着いたので」
下手くそめ!! もっとスマートに言え!
「そうなんですか?」
ふむ、と考える女性客。は、恥ずかしい。ので、お姉さんの方へ歩み寄る。
お姉さん! ということなので!
「ここって居てもいいんでしょうか?」
だから下手かよ。脳内一人ツッコミがリアル
に止まらない。
「はい! どうぞ!」
あ、優し。女神?
女性客から逃げるように席に座った。
そして、女性客もこちらで過ごすことにしたようだ。
それにしても彼女も一人没入である。自分意外のおひとり様を見かけると安心する。楽しみましょうね。
ここでコミュ力があれば友達になったりするのであろう。世代違うけど。
そのあとにも同じ目的地、同じ理由で辿り着いたであろう人達が来店する。そしてカフェで注文するではないか。え?
先程とは別の女性客が受付している。
そろりと自分も注文に参加してみる。タダで利用するには申し訳ない。コンセント使ってるし。
眠いので珈琲を頼んだ。カフェイン効かないけど。
「お待たせしました」
珈琲を渡される。
「あ、あのっ。ここって十一時半からオープンでは?」
たどたどしい!
「ふふ、十一時半に閉まるんです」
ん? んへ? そうなのか。先入観が働いた。この辺りのカフェは十一時からなのだ。
しっかり苦い珈琲を飲み干し、いよいよ目的地へ向かう。
建物には人が集まっていた。可愛らしいコスプレに近い格好をした子もいる。そういう格好するのもいいね。世界観に合うだろう。
「チケットをご用意してお進みください」
時間が来たので入場する。
「おお......」
小さな街が広がっていた。二手に分かれて人々は進んでいるようだ。何もわからん。左の方が多いようだ。目的地があるのだろうか?
近くのスタッフに話しかけることにした。
「初めてで分からなくて。どちらに行けばいいですか?」
「どちらでも大丈夫です!」
なぬ?
「こちら地図載っていますので」
新聞風のパンフレットを渡された。ここから雰囲気作りなのだろう。
人数が少ない右を選んだ。人々が達止まっている。ここで待つらしい。
「チャーオ!」
上の階から青年が手を振っていた。可愛らしい。すでに始まっているのですね。
「あれぇ? チャーオ!」
ヘタリアかな。つまりここはイタリア設定。
「その新聞、僕が書いたんだよ!」
お前かい。新聞記者かい。
「ここでの挨拶知ってるかな?」
知らん。
すると、両手と片足上げながらこうするのだとレクチャーが始まった。開演前から結構恥ずかしい。素直に没入できる性格では無い。ぐぬ、努力しよう。
新聞記者と挨拶の練習をした後、開演が始まった。とりあえず奥へと進む。
左を見ると牢屋が二つ。一つの牢屋には捕まっている男が二人。オレンジ色の囚人服を来た男と、何やらオーラを守った白スーツの男。なんなのだろう。
暫し足を止めるが、進展する気配がなく奥に進む。街の中央についた。ステージがある。ヨーロッパ風の石像。
ザワザワ。何か始まるようだ。警察? 自警団? 男女が出てきた。何かが始まる。よし、様子を見ようじゃないか。何も分からないからね!
「こっちへ!」
男の誘導で近くの人達がステージに上がっていく。あ、やべ。視線刺さるぅ。
「君もこっちへ!」
ああ、いきなり? でも行こう。
あまりネタバレせずに書こう。どうやら街の平和を守る人間に選ばれたようで、日頃の訓練が大事だと筋トレが始まった。そう、男女は軍人。
苦手なのに一人一人声を出す。
皆で走る。先頭の女の子達遅いよーぅ。
そして、久しぶりにするスクワット。脚の筋肉が死んだ。学生ぶりだったのてま馬鹿真面目にするから。脚の筋肉こんなに衰えていたとは! この程度で!!
そして、優秀な人にバッチを贈呈。
以上解放。これからも気を引き締めて街の平和を守ろう的な話だった。
「…...まさかの筋トレスタート」
予想外。しかし、参加できたのは良かった。
適当に敷地内をぐるりと歩いて牢屋に戻ってきた。
誰もいない牢屋が開いており、皆が何かを探している。参加してみよう。
「早く探すんだ!」
白スーツの男が頼んでいるらしい。
よし、探そう。何を?
「あの、何を探しているんですか?」
ノリで聞いた。没入しようという意思である。
「鍵だよ! 何を探しているか知らずに探していたのか?」
今来たばかりだもん。でも、鍵ね。了解。
つか、明らか悪人だけど協力していいのかな?
「ありました!」
女の子がみつけたらしい。鍵を開け、男二人が牢屋から出てくる。これ、ダメなやつでは?
「鍵はどこにあった?」
「○○○○️○です!」
「おお、オレに触ってくれるなよ」
いいね。この感じ。
そして、なんやかんやと誘導され、十五名ほどが閉じ込められてしまった。もちろん作者も含まれる。もちろん。
自由になった男二人は消えてしまった。なので、牢屋組で脱出せねばならない。脱出の鍵を握るのは新聞記者。何故新聞記者かって? 見えなかったから知らない。
「助けて! 新聞記者のお兄さん!」
よく通る声で助けを求める女性。キャストかな?
「素敵なお兄さん!」
新聞記者は気がつかないようだ。
「イケメンでカッコイイお兄さん! こっちに来て!」
この人すごい。可愛いな? ヒロインかよ。
「早く来て! あと十分しかない!」
……あ、この人お客さんだ!? 絶対他の人も驚いている。これが没入。見習いたいね。
あと十分というのは、有料アトラクションの開演時間が迫っているのだ。そりゃ脱出せねば大変。
しかし、新聞記者は慌てることなくキャラを貫く。すごい。ごり押すじゃん。
「そこに鍵があるの!」
どうにかこうにか脱出した。女性客は間に合っただろうか。
完全にモブでしたわい。ハハハ。
お読みいただきありがとうございます。
伺ったのは2024年です。多分、ネタバレにはならないはず。
②に続きます。




