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HELIOSはおひとり様  作者: HELIOS
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第十六話 におい展

 今期も講師の仕事が始まった。依頼を受け、本業の片手間に生徒指導している。

「流石、早いね!」

「ありがとうございます」

 我ながら見事な手腕。予定から一時間早く自由になった。

 よぉし、遊びに出かけるぞ!

 講師の日は普段より軽装備なので活動意欲が湧く。目をつけていたあそこに行くぞ〜。

「これから臭い香りを嗅いできます!」

 そう仲間の講師に言い残して出発した。

 本日の目的地は開催終了間際の嗅覚エンターテインメントだ。クサヤ、シュールストレミング、宇宙人の臭いが楽しめるという。

 ちょっと気になったから行っちゃうぞ〜。

 親にはドン引きされた。


 うーむ、大都会。高級ブランドのショップが立ち並ぶ、だだっ広い道路。自分の小ささが分かるようだ。まだ人が少ないのは救いだ。ゴールデンウィークは外国人で溢れていたらしい。

 建物に着き、初めて登る最上階。におい展の顔ハメパネルがあった。

 小さな子供連れ家族は楽しそうである。

 当日券を買っていざ入場。

「うわ! クサッッ」

 奥から聞こえてくる男性達の悲鳴。この先に一体何が……。

 最初の部屋に入ると、そこは第一の部屋に相応しい花々の香り。瓶が置いており、蓋には何の香りが書かれていた。蓋を開けるとにおい嗅げるのだ。

 ええ、全部嗅いでやりましょうよ。思う存分やってやりますわよ。


 クンクン。ほう。


 ライラック好きな匂い。

 蝋梅も好みだなぁ。梅の花はもう少しフローラルかも。

 安定のジャスミン好き。

 ……なんか金木犀微妙だ。おばさん臭する。自然の金木犀は好きなのに何故?  金木犀は神様の香りって、どこかで聞いたような。

 コスモスいい匂い〜。確かにこんな匂いするかも。秋を感じる。

 ツツジ? 蜜を吸ったあの頃の香りがする。においと記憶が結びついているって話、本当だな。

 薔薇は安定。高級感あるよね。

 すでに二十種類くらい堪能したのではなかろうか。鼻が変になる気がする。


 順路に従い進む。次の部屋は反転。先程の部屋、美しい花の香りは絶妙なバランスらしいく、そのバランスを崩した香りの部屋らしい。

 好きな香りプルメリア……オッッ!? 臭いかも。ハワイを全く感じない!

 先程好きだったライラックは強烈。背景にラフレシアが浮かぶ。

 シクラメン……うんこ。

 桜……桜餅食べたい。つまり、好きな香り。

 第二の部屋は、おばさん臭が多い。第一の部屋のファンタジーさよ!

 衝撃を受けたまま次に行くと、鼻リセットの香りが置かれていた。ありがたい。虫除け的な香り?


 次の部屋はテンションが爆上がりだった。

 完全個室の臭いゾーン。待ってました!! 別に臭い好きとかではない。

 無機質なシャワー室というか、二重扉の公衆電話ボックスというか。酷い言い方をすれば小さな拷問部屋のよう。

 いざ!


 まずはエポワスチーズ。強烈な香りがするらしい。存在もお初めまして。

 個室に入って、臭いを閉じ込めているもうい一つの扉を開ける。うっっっすら香る発酵臭。まだ臭くない。

 容器に入ったチーズ。三重の安全対策だったのか。

 右手にポンプがある。ポンプから伸びるホースは容器の中へ。ポンプを押して容器から漏れる臭いを堪能するらしい。直に嗅ぐと大変なのだろう。

 容器の上の蓋を開ける。穴あきになっておりチーズに直接触れない仕組みだ。スンスン。この時点では臭わない。

 ポンプをシュコシュコ。もわ〜ん。

 お……オオ! うん! 臭いが食べれそうな濃厚チーズの香り!! 冷蔵庫で忘れ去られていたカピカピチーズというか、ブルーチーズとかに近い。

 これは食べられそう!

 ルンルンで個室を出た。楽しい!


 お次はクサヤ。名前は知っているが臭いことしか知らない物。

『そこではクサヤも嗅げるんです!』

 と、仲間の講師に言うと……。

『ドブみたいな臭い。とても食べられない』

 かなり臭いと教えてもらった。

 うへへ〜。どれどれ。

 実物は黒っぽい干物。シュコシュコ。クンクンッッ。

 んーーーー? 知っている臭い。なんか美味しそう? ……あっ!? 猫のオヤツだーーッ!

 絶対食べられる! むしろ食べてみたい!!

 後日クサヤを食べたことがある人に出会い、美味しいと聞いたのでいつか食べようと決意を固めた。


 余裕、余裕と臭豆腐。

 台湾旅行の夜市で食べたことがある。美味しかった。それとは見た目が違う気がする。もっと臭そう。腐った瓶詰めにしか見えん……シュコシュコ。あ、平気。沖縄の豆腐ようみたい。

 個室を出る。

 あ、あれぇ? 余裕では?? 最終日が近いから臭いが薄くなっているとか?


 うーんと首を傾げつつ、最後にドリアン。シュコッ。

 フルーツっぽくない。まぁそこそこ臭い。

 台湾旅行で食べる機会があったのだが、友人らが拒否したため食べることは適わなかった。

 美味しいとの声もあるフルーツの王様。

 臭いだけなら食べられそうである。


 次の部屋を進むと別枠なのだろう。

 待ってましたシュールストレミング!

 食べる機会あるなら参加したい。臭いと有名な缶詰。これが嗅ぎくて来たと言える。

 事前調べでは吐いた人もいるらしい。期待値MAX。シュコシュコシュコシュコ! おうっ!?

 ドブ……吐くほどではない。

 容器を覗く。赤みがかったドブ色の魚。

 何故だろう……食べれそうだな? 臭豆腐の方がヤバい見た目をしていた。

 スーーッ。

 これだけでも来たかいがあったものである。近くで開缶式ないかなぁ?

 

 満足しつつ、香水ゾーンに着いた。ムチの後のアメであるな?

 九つくらい置いてあった。蓋を開けると香りが嗅げる。

 ん? クンクン……むむ? 香りが弱いのか、臭いものを嗅ぎすぎたのか。自分の服を嗅いでリセットする。もう一度蓋を開けた。

 これは安息香。男性の好む香りらしい。甘い。女性の香水に使われるイメージあるある。

逆に女性が好む香りは? まぁ納得。爽やかさがあるというか。

 白檀。何だかんだ落ち着く香り。

 乳香。パチュリ。好きな香り。エスニックなのだろうか。

 龍能……墨! 今の気分ではないが、良い香りなのは違いない。


「なっ……」

 先を見ると、いかにも入っては行けないゾーンが待ち構えていた。

ショッキングピンクの暖簾。「フェロモン」と書かれている。AVコーナーみたいだ。とっくに成人しているのに子供に戻った心境である。

 全年齢対象。安心してご入場くださいとのことだ。もちろん入りますとも。

「うおっ」

 ショッキングピンクの世界。両サイドに男女のマネキンがある。「フェロモン」と矢印が指されていた。

 オーケー、オーケー。嗅げと!

 マネキン相手だが妙に緊張するのはショッキングピンク効果だろうか。

 失礼します。そんな感じ。

 まずは男性。クンクン……いるいるこういう男性。

 次に女性。クンクン……。甘めな……風呂上がりのナチュラルさみたいな!

 風呂上がり。うん、二体ともそんな気がする。

 結論、フェロモン、両性好き。


 次は部屋に入った時点で、すでに異様な臭いがうっっすらしていた。

 ムー監修のUMA達、未知の臭いコーナー!

 わはーい。思ったより沢山ある。宇宙人の香り気になっていたんだよね。

 どれどれ、まずは手前にあったニューネッシーの臭いとは?

 ネッシーの瓶を開ける。クンッ。

「ゴフッ」

 くっっさ!? 生臭ァッッ!

 後に調べたがニューネッシーはウバザメの腐乱死体らしい。そりゃ生臭いわな。

 初っ端からこれ、大丈夫? もう止めたいくらい臭かったけれど。

 お次はチュパカブラ。恐る恐る嗅ぐ。

「ッグ」

 くっっさ!! ネッシーとは違う衝撃。なんか青臭い!!

 この部屋パネェぞ!?

 食べ物の臭さとは次元が違う。

 自分の体臭で花をリセットして次に行く。

 宇宙人三種類。クン。クン。クン。うん、それぞれ臭い。仕事仲間は粘液的な臭いがしそうと言っていたが、おばさん臭っぽかったよ。モワッとする。

 黙々と嗅いでいると二週目らしい男性が一直線に近くの瓶を開けた。

「やっぱコイツがダントツ!」

 瓶を適当に置いて出ていった。んにゃろう。

 クルー監視の目がないので、じっくり嗅げるのだが、こういう人がいるから困るんだよね。ちゃんと直して行きなさいっての。

 プンプンと「ダントツ」というビックフットの瓶を開けた。

「グフォッ」

 あー、この部屋に誰もいなくて良かった。変な声出たわ。

 強烈。ウンコ臭だッッ!!!!

 風呂に入らない野性味のある男の臭いという感じだろうか。いやー臭い。

 衝撃を受けた所に「聖人」の文字。衝撃に備えつつ嗅ぐ。

 あっ。エキゾチックな良い香り! 美味しい香りな気がする。ポクポクチーン。チャイだぜコレ!! チャイを飲みたくなる。聖人いいじゃなあい。

 ツチノコを掴む。瓶ね。パカッ。

「ッッうう」

 ウンコ再来。ビックフットの方が臭いウンコかな。小学生男子喜びそう。

 河童……。キュウリ、というか今年も大発生しているカメムシだな!

 天狗は想像つかない。臭いイメージではないけれど。クンクン。墨! 和な香りだ。これなら目の前に現れてもお話できる。

 最後にモスマン。何故だろう。表現できないくせに一番納得する臭いだ。実は会ったことあったりして。


 様々なにおいに出会い、ようやく出口。

においクイズもあったが、ムーが強烈で鼻が馬鹿になって答えを見ても分からなかった。


 出口にはリフレッシュする香りが置かれていた。瓶の底に珈琲豆が見える。深く深く吸い込む。

 珈琲最強だわ。めちゃくちゃ良い香り。


 出口から出ると物販コーナーがあった。シュールストレミングのTシャツに惹かれつつ展示場を出た。


 うーん、鼻の奥に残るチュパカブラ、ビッグフット、ツチノコ。すぐに思い出せる苦手な臭い。

 臭いから遭遇したくないものである。

 お読みいただきありがとうございました!

 残念ながら投稿時には展示は終わっています。

 一人でもかなり楽しめたので、また開催してほしいです。

 数年前にHIKAKINさんも行かれたようで、YouTubeで見れます。


 クサヤ買いましたよ。焼くと近所迷惑なのでパウチタイプのを三本買いました。見た目から猫のおやつ。開けると愛猫も寄ってきました。

 猫的には臭くないらしくずっと嗅いでいました。

 日本酒片手に食べてみたところ、最初はドブ! でしたが癖になってきて、特に中心部が美味しかったです。日本酒あう。

 すでに二本開封し、あと一本楽しみにとっています。温めてみようかな?

 YouTubeで見かける瓶詰めのクサヤも買ってみたい。臭いが違うのかもしれません。

 クサヤの工場見学でクサヤ液を舐めさせてくれるようで気になりました。


 展示会の後はにおいに敏感になったようでした。

 鼻鍛えられました?


 次の日、シュールストレミング気になる仲間の友人が嗅ぎに行きました。「チュパカブラくせぇ!」とのこと。

 チュパカブラ残るんですよ……なんででしょう。



 次話、ちょっと変わったクラフトビール。迷子になりました。

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― 新着の感想 ―
す、すごすぎます……! シュール〜は昔その話を聞いて、吐くのが何より苦手な私からすれば恐怖の対象です(´;ω;`) どんなにおいしくても難しい……最初に食べようと思った方本当にすごすぎます。 世の中に…
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