表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HELIOSはおひとり様  作者: HELIOS
1/28

第一話 ヤムウンセン


 今夜は晩御飯を食べて帰ると決めていた。出張先近くに本格タイ料理を見つけたからだ。

「ヤムウンセン〜」

 なんて言いながら店に直行。誇張じゃなく、本当に声出しました。恥ずかしい。言ってから背後確認したよね。

 そう、お目当てはカオマンガイでもトムヤムクンでもない。ヤムウンセン。ご存知だろうか。甘辛い酸味のある春雨サラダだ。ずっと食べてみたかった!

 知ったのは激辛グルメドラマ。むせ返るほど辛いサラダとはなんだ!? という興味。タイミングが合えば食べようと狙っていたのだ。ようやくその日が来た。今日は寒いから帰ろう、なんて考えは無い! お腹空いた!!


 マップを頼りにお店に着いた。タイの国旗が掲げられている。二階らしい。ここからではお店の中が見えない。よく知らない土地。一人で入るには勇気がいる。

 一階には看板とメニュー表が置いてあった。チラリ。

「ここにする」

 おひとり様ディナーセットがあるではないか! 色々食べたいHELIOSにとっては嬉しい。何よりヤムウンセンがセットに含まれている!!

 というわけで入店。うわぁぁ、貸切だ。

 お店の人に指を一本立てる。カウンターに案内された。

 店内にはアジアンな音楽が流れている。歌詞の意味は分からないけれど明るい曲。いい感じだ。

 メニューを手にとる。下で見たけれど、もう一度じっくり確認。サラダ、スープ、メイン料理、ドリンクで、ディナーセット千五百円。かなりいい。

 サラダは二種類から選べる。ソムタム━━青パパイヤサラダも好きなのだが、絶対ヤムウンセン。

 スープは定番トムヤムクンにする。酸っぱ辛いエビのスープ。世界三大スープの一つである。

 メイン料理も定番カオマンガイにした。辛いサラダ、辛いスープなので優しいものを選んだ。

 ドリンクは仕事終わりの生ビールに惹かれつつ、スイカソーダを選ぶ。グァバジュース、ティーソーダと迷ったが……。スイカジュースは飲んだことがあっても、スイカソーダは知らない。飲んでみよう。

 メニューが決まった。女性店員さんが近くにいたので声をかけずとも来てくれる。店員さんが伝票に注文を書き込む。

「ヤムウンセン、トムヤムクンの辛さどうされますか? 普通ですか?」

 フフン、そこは下調べ済みだ。辛さは三段階。しかし、普通とは?

「普通はどのくらいですか?」

 何段階目? 二かな?

「辛さは一〜五で、普通は一です」

 普通が一!! しかも五段階!? 増えてるじゃん!

 下調べとは。

 トムヤムクンなんて頼んでいるが、HELIOSは辛さ耐性に自信が無い。そのくせ本場の味を求める。一が普通ならば……。

 目的を思い出そう。食べたいのはドラマでの激辛ヤムウンセン。

「ヤムウンセンが三。トムヤムクンは二でお願いします」

 ひよったか? いやいや。タイ人の辛さ耐性を考えたまでよ。二と三でも十分辛いはず。

 以前タイ料理屋で、友人の目の前でグリーンカレーに苦しんだことがある。味を楽しむ余裕なぞない辛さだった。

 今日は辛い料理二品だぞ。安全にいこう。

「パクチーはお入れしても大丈夫ですか?」

 おお、そこまで聞いてくれるのか。好きなのでコクンと頷いた。

 パクチー苦手な人多いよね。実はHELIOSも食べられなかった時期がある。嫌いな食べ物代表としてパクチーをあげたくらいだ。嫌いなのに台湾旅行に行ってパクチートラップにかかりまくった。あれにもパクチー、これにもパクチー。アイスにもパクチーは驚愕したな。

 食べられるようになったキッカケは「パクチーは爽やかな香り」という紹介を見たこと。爽やかとは? と食べていたら爽やかさが分かって好きな香りとなった。辛いものにパクチーはベストマッチ。

 パクチーが食べられると、香辛料が効いたエスニック料理は全般に美味しく頂ける。

 

 外の景色を見ながら空腹を感じる。そういえば、お昼食べ損ねたのだった。

 少ない時間でも駅蕎麦なら食べられるかと思ったが、慣れない地域の電車乗り換え。思いっきり反対のホームにいた。

 何も食べないよりは、と自販機を見るとコーンポタージュ。トロミが程よく腹を満たしてくれた。


 お昼ご飯コンポタの私は空腹であった。

 お料理を待っていると来客があった。ご夫婦だろうか。

「〜〜〜〜?」

「〜〜〜〜!」

 聞こえたのは外国語だ。タイ人っぽい! 現地の人が食べに来る店! これはもう当たりだろう。期待アップ。

「スイカソーダです」

 ドリンクが運ばれてきた。イタリアンソーダか!

 フレーバーシロップを炭酸水で割った飲み物。

 スイカ果汁に炭酸を想像していた。お馬鹿さんめ。

 シュワシュワ炭酸水が入っているグラスの底に、かき氷のイチゴシロップのような赤。綺麗だ。イタリアンソーダ好きだし、スイカ味は初めてなのでナイスセレクト。

「よく混ぜてくださいね」

 心の中で返事をし、ストローで赤いトロトロを混ぜる。綺麗で勿体ないが、美味しく飲むには混ぜなくてはいけない。粘度が高め。うーん、混ざらない。オラオラオラ。

 完璧に混ぜる必要もないので、ストローの先を底から二センチほど浮かせて飲んでみる。

「おいしー」

 好んでスイカを選んでこなかった人生だが、今夜は選んで良かったな。

「お待たせしました」

 お料理早い! 感謝!

 目の前に置かれたトムヤムクン、カオマンガイ。そして……ヤムウンセン! わぁ〜!

「こちらのソースもお使いください」

 四種のソースも置いていかれた。おお。こちらは下調べ通りだ。

 えへ。さて。箸を割り、いただきます! ヤムウンセン! 

 まずは見た目を楽しむ。細い春雨にパクチー。大きめカットのイカ。ミニトマト。ビジュアルがいい。ドラマでも言っていた。

 どれ、と箸で一掴み。おっと、柔らかい。え? もしかして……。ヤムウンセンって温かいサラダなのか!? 知らなかったー。勝手にヒンヤリ系だと思っていた。

 驚きはしたが、むしろ期待値は上がる。念願の一口目パクリ。

「これだぁ〜!」

 甘辛い。ナッツも入っていて香ばしい。イカの旨み。パクチーの爽やかさ。良いねこれ。……あれ? 意外と辛くないぞ‼️

 ドラマのようにゴッホゴホならない。これは五でもいけただろう。でも、美味しいから初回はこれで良いのだ。パクパク頂ける。


 ヤムウンセンを食べ尽くす前にトムヤムクンへ移動する。辛さは二段階目。こちらも辛さ足りずか……?

 レンゲでスープをすくう。大きな海老が入っていた。嬉しい。キノコが多めだ。季節を意識?

 キノコと真っ赤なスープを一緒に飲んでみた。

 ピリ辛で美味しい〜! 辛さベスト!

 辛いヤムウンセンが食べたかっただけなので、トムヤムクンはこれでいい。


 メインに参ろう。カオマンガイ。

 盛られたお米の上に蒸し鶏。そこに茶色のタレがかかっている。キュウリとゆで卵付きだ。

 まずは薄く茶色がかった米だけいただく。鶏ガラスープで炊かれたお米は優しい味。正直このままお米だけ食べていられる。作りたい欲求すら湧き出るではないか。

 まぁ、お米だけ食べて蒸し鶏を食べないわけにもいなない。一緒に食べると美味しいと知っているのだ。食べますとも。

 スプーンに上手くお米とタレがかかった蒸し鶏を乗せ、一緒に口へ運ぶ。

 はい、美味しい! 知ってた!

 ここで満足するなかれ。四種のソースがあることをお忘れか。無くてもいいソースだが、提供されたからには試したい。しかも、お店で手作りだぞ。

 ソースはオリジナル、定番、ベーシック、スイートチリ。説明文をよく読む。オリジナルはお店の味。定番はタイで人気の味。ベーシックは辛くない。スイートチリソースは甘さと辛さがプラスされるという。

 順番にかけてみた。どれも美味しい。個人的に定番がカオマンガイに合うな。

 このソース達。生春巻きを頼んでも楽しめそうだ。

 スイカソーダでお口をリセット。付け合せを食べ忘れていたのでキュウリを一つ食べる。

「んっ!?」

 スイカを強く感じた。

 あ、そうか!

 もう一度スイカソーダを飲んで、キュウリを食べる。同じウリ科。スイカの皮の辺りをムシャムシャしている気分だ。

 スイカの漬物好きなんだよなぁ、なんて考えながら美味しく食べた。


「ごちそうさまでした」

 おなかいっぱいになった! 美味しかった!

 念願のむせ返るヤムウンセンではなかったが、好きな味付けだと知れた。次は辛いのを食べてみよう。

 お会計を済ませる。

「足元の段差お気をつけください」

 ドアを開けてくれる女将さん。お優しい。

 頭を下げて退店した。

 唐辛子の効果か、お腹がポカポカ温かい。

 明日の仕事も大変だ。美味しいものを食べるためにも頑張るぞー!

 お読みいただきありがとうございました!

 今回お邪魔したのは大阪「Thai Kichens」さんでした。


 本編に出ていた激辛グルメドラマは「ゲキカラドウ」です。見ていると辛いものが食べたくなります。絶対に食べられないのに( ゜∀゜)アカーイ


 もう一つオススメドラマがあります。「ソロ活女子のススメ」です。一人行動が好きなHELIOS。これやってみたーい! と参考になります。


 ドラマのソロ活とはレベルが違いますが、楽しく書かせていただけたらと思います。

 ソロ活を書こうというよりは日記。自己満ですね。


 投稿遅いHELIOSですが、二話目は書き終わっています。よろしければお付き合いくださいね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
たんばりんさんの活動報告でご紹介されていて伺いました。 そしたら第一話からヤムウンセン! 私も大好きなので、楽しく読ませて頂きました(´ω`*) すごくおいしそう……! 大阪、今度万博に行く予定なので…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ